イタリアの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症の流行中心地域における重症の川崎病様疾患のアウトブレイク:観察型コホート研究
An outbreak of severe Kawasaki-like disease at the Italian epicentre of the SARS-CoV-2 epidemic: an observational cohort study
Lucio Verdoni1, Angelo Mazza, Annalisa Gervasoni, Laura Martelli, Maurizio Ruggeri, Matteo Ciuffreda, Ezio Bonanomi, Lorenzo D'Antiga

1Paediatric Department, Hospital Papa Giovanni XXIII, Bergamo, Italy.
Lancet. 2020 Jun 6;395(10239):1771-1778. doi: 10.1016/S0140-6736(20)31103-X. Epub 2020 May 13.
イタリアの中でベルガモ県は新型コロナウイルス感染症の流行の中心地であった。ベルガモ県の第三次医療施設のHospital Papa Giovanni XXIII病院の小児部門において2015年1月1日から2020年4月20日の間に川崎病様疾患と診断した患者を、流行前の者をグループ1群、流行後の者をグループ2群とし、流行後に川崎病様疾患患者の発生率が増えたのかを検討した。川崎病の診断基準は、米国心臓協会の指標に基づいた。川崎病ショック症候群(KDSS)は循環機能障害の存在によって定義した。マクロファージ活性化症候群(MAS)は、小児リウマチ国際試験機関の診断基準に基づいた。新型コロナウイルス感染症の感染者は、鼻咽頭及び中咽頭のぬぐい液の逆転写定量PCRで診断した。既感染者については、血清中の新型コロナウイルスに対するIgM・IgG抗体測定で診断した。
グループ1群は、2015年1月1日 - 2020年2月17日の間の19例(男児7例、女児12例、年齢3.0歳)。グループ2群は、2020年2月18日 - 4月20日の10例(男児7例、女児3例、年齢7.5歳)であった。10例中8例はIgG陽性又はIgM陽性であった。1群と2群を比較すると、一月当たり発病率は0.3と10、平均年齢は3.0歳と7.5歳、心臓合併症は2例と6例、KDSSは0例と5例、MASは0例と5例、ステロイド補助療法が必要であった症例は3例と8例であった。いずれも有意差を認めた(P<0.01)。
コメント
川崎病は、日本赤十字社中央病院に勤務していた川崎富作(2020年6月5日死亡(95歳))が、1961年(昭和36年)に報告した小児の疾患である。1978年よりWHOの国際疾病分類に掲載されている。病因はウイルス説など感染症などが疑われているが、まだ不明である。日本では、年間に1万5千人くらいの発症者がある。本報告では、新型コロナウイルス感染症が流行した後に、川崎病様疾患の発生率が30倍も高かった。また、流行後の発症者は、MASなど激しい免疫反応を有し、年齢が高く、心臓合併症を持つ者の割合が高いなど重症型の川崎病の発生率の高かった。新型コロナウイルスは、川崎病様の疾患が増え、しかも重症者の割合が高いので、流行時に注意が必要である。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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