関節リウマチ疾患を発症していない者における腸内細菌叢とその遺伝的リスク因子との関連性の検討:横断研究
Associations between gut microbiota and genetic risk for rheumatoid arthritis in the absence of disease: a cross-sectional study
Philippa M Wells1, Adewale S Adebayo, Ruth C E Bowyer, Maxim B Freidin, Axel Finckh, Till Strowig, Till Robin Lesker, Deshire Alpizar-Rodriguez, Benoit Gilbert, Bruce Kirkham, Andrew P Cope, Claire J Steves, Frances M K Williams

1Department of Twin Research and Genetic Epidemiology, King's College London, London, UK
Lancet Rheumatol 2020; 2: e418-27
関節リウマチは慢性炎症性自己免疫疾患であるが遺伝子の多様な変異との関係も指摘されている。また、腸内細菌叢との関連も指摘されてきている。その点をイギリスの双子研究のTwins UKコホートを使って検討した。コホートの登録者の中から、すでに関節リウマチと診断された患者とその双子の相手を除外して、1,650人について遺伝子型解析は血液検体、腸内細菌叢の分析は糞便検体を使ってデータを得た。この者の関節リウマチに関連するゲノムワイド関連解析を行い、233の塩基多型をもとに遺伝子リスクスコア(PRS)を作成した。このスコア(PRS)の妥当性については、関節リウマチの確定患者からなるバイオバンクの2,686人を使って検証した。腸内細菌叢の分類は、糞便検体を使い16S rRNAの遺伝子配列を使ったアンプリコンシーケンス変異体(ASV)を使って行った。この両検査をSCREEN-RAコホートの関節リウマチ患者の第一近親者の検体を使って妥当性を検証した。その方法を使って、Twins UKコホートの1,650人に対して分析を行った。その結果、プレボテーラ属(Prevotella spp)の細菌叢を有していることと関節リウマチの遺伝子多型変異体が持っていることとの間に、正の強い相関関係を認めた(Q<1×10-7)。SCREEN-RAコホートの対象者(n=133)においても同じ結果が得られた(Q=0.0011)。また、プレボテーラ属の細菌叢を有していることは関節リウマチ発症前でも認められた(Q=0.021)。
コメント
次世代シーケンサーが普及したことで培養を経ずに直接腸内細菌叢を検出できるようになった。腸内細菌叢はこれまで想像していた以上に多様な細菌種で構成され、多様な疾患との関連も報告されてきている。本研究は、関節リウマチについて、腸内細菌叢のプレボテーラ属細菌叢(Prevotella spp)が、発症するリスクが高い個人を含む関節リウマチがない場合においても関節リウマチ遺伝子型を有していることとの関連を明かに示したものである。関節リウマチの宿主の遺伝子型が、発症前の腸内細菌叢の微生物相のプロファイルと関連し、その解析が早期診断や予防の手がかりになる可能性を示唆している。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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