システマティックレビューとネットワークメタ解析による関節リウマチに対する生物学的製剤の治療効果の比較
Comparative effectiveness of biological medicines in rheumatoid arthritis: systematic review and network meta-analysis including aggregate results from reanalysed individual patient data
Kirsten Janke1, Katharina Biester, Dietmar Krause, Bernd Richter, Christoph Schürmann, Katharina Hirsch, Helmut Hörn, Michaela Florina Kerekes, Petra Kohlepp, Beate Wieseler

1Drug Assessment Department, Institute for Quality and Efficiency in Health Care, Im Mediapark 8, Cologne 50670, Germany.
BMJ. 2020 Jul 7;370:m2288. doi: 10.1136/bmj.m2288.
メトトレキサート剤が無効である関節リウマチ患者に、メトトレキサートとどの生物学的製剤を併用するのが有効なのか厳密に行われた治療比較研究がない。そこで、本研究では、2017年までに実施された報告や論文のデータ、及び2017年2月までに蓄積された慢性関節リウマチの主要転帰に関する個別患者のデータベースのデータを集めて再解析するシステマティックレビューとネットワークメタ解析を用いて治療効果の比較を試みた。分析対象として臨床研究の選択基準は、24週以上のメトトレキサート療法無効後に生物学的製剤とメトトレキサートの併用療法を行った成人の関節リウマチに対するものであり、かつ無作為化比較対照試験のものとした。45件のみが基準に適格な研究論文ないしデータと判定された。45件中、十分に類似した条件で比較できる患者のものは35件だけであった。この35件の患者データを再解析し、メトトレキサートと生物学的製剤8剤を用いた併用療法の有効性評価を行った。臨床的寛解または低疾患活動性(それぞれclinical disease activity index≦2.8、≦10)に関して、「アナキンラ(anakinra)」は他の生物製剤7剤より有益性が低かった。また、「セルトリズマブペゴル(certolizumab pegol)」は他の生物学的製剤7剤より重篤な有害事象又は感染症の発生率が高かった。しかし、生物学的製剤8剤のどれと併用しても、関節リウマチの活動性、重篤な有害事象、感染症の発生率については95%信頼区間でみると有意差は顕著ではなかった。本研究には、限られた臨床治療試験の間接的な比較に基づいたものであり直接に患者を使って研究したものではない、また最近承認された「ヤヌスキナーゼ阻害薬(Janus kinase inhibitors)」は研究対象の薬剤として評価していないという課題がある。
コメント
関節リウマチに対する生物学的製剤が多数登場している。メトトレキサート療法の効果がない場合、メトトレキサートとどの生物学的製剤を併用した方が有効なのかを、厳密に比較検討した研究がないので、既存の研究データを用いた系統的レビューとネットワークメタ分析で評価したものである。メトトレキサートが無効であった患者に対して、その後の治療をメトトレキサートとどの生物学的製剤を併用しても、有効性の差が大きくないことが示された。本研究は、生物学的製剤の種類が増えて、関節リウマチの生物学的製剤の選択にあたって臨床医が判断に迷うことが多くなっているが、生物学的製剤の選択判断に役立つのではないかと思う。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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