助成事業

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2021年度 第27回 助成事業報告

昨年度に引き続き、今年度の助成金贈呈式も中止とさせていただくことが決まりました。
選考委員長より今年度の選考経過をご報告しておりますのでご確認ください。
また、籔本秀雄賞受賞者をはじめ数名の助成受贈者の皆様にご協力いただき、インタビュー動画を制作いたしました。
研究課題について、コロナ禍での研究活動について等 国内外でご活躍の助成受贈者の皆様にお話を伺いました。ぜひ最後までご覧ください。
<目次> 

理事長挨拶
 2021年度 第27回 医学研究助成および国際交流助成、知識の普及啓発事業助成受贈者の皆様、この度は誠におめでとうございます。
 本来であれば助成金贈呈式に皆様お集まりいただき、受贈者の皆様お一人お一人をご紹介させていただくところではありますが、昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大防止のため式典の開催を見合わせることとなりました。
 財団創設より27年、毎年度このように助成事業を行うことができますのも、ひとえに当財団の事業活動に対する多大なるご理解とご支援、ご寄附の賜物でございます。この場をお借りして感謝申し上げます。
 今後も地道に努力を重ねられている難病研究者の皆様をご支援できるよう努力してまいりますので、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

公益財団法人大阪難病研究財団
理事長 角 源三
選考経過報告
 2021年度助成事業(医学研究助成、国際交流助成、知識の普及啓発事業)と、第3回籔本秀雄賞の選考経過を報告致します。
 まず始めに、今年度の助成を受けられます皆様に心からお慶びを申し上げます。助成金を有効に活用され、難病の治療につながる研究成果をあげられますことを期待しております。また、優れた研究課題をご推薦いただきました推薦者の先生方に、心より御礼申し上げます。

 本年3月に開催された大阪難病研究財団の理事会において、難病研究の促進のための助成を今年度も行うことが決定されました。助成の趣旨は、「国内外での難病研究に対して積極的に助成することにより研究を促進し、難病治療の問題・課題の解決を図る」というものです。助成額は1件あたり100万円が上限です。助成対象は若手研究者とし、原則として40歳以下としています。今年度は、本財団が、平成7年に研究助成を始めて以来、通算27回目になります。理事会の決定を受けて公募を行いました。その結果、医学研究助成へ81件、国際交流助成へ2件の応募がありました。
 選考委員会では、7名の選考委員が全ての申請書を読み3段階評価し、A評価に5点、B評価に3点、C評価に1点を与えました。研究グループに親族、所属など選考委員と利害関係がある場合には、当該委員はその申請の評価を行いませんでした。選考にあたっては、若手に幅広く助成するという考え方をとっています。

 本年度の医学研究助成には4,350万円の予算が当てられました。応募された81件を得点に基づいて選考しました結果、上位の37件に希望額を助成することといたしました。さらに、できるだけ広く助成を行うとの観点から上位に順ずる評価点を得た14件に50万円ずつ助成することを決定いたしました。残念ながら、30件につきましては選外とさせていただきました。
 次に国際交流助成について報告いたします。応募された2件は、どちらも国際共同研究によって難病研究に取り組むという内容で国際交流助成の趣旨に合致した優れた課題ですので、100万円ずつの助成を決定いたしました。
 採択されました課題は、いずれも助成の趣旨にかなったもので、研究の進展が期待できるものでありました。助成を受けられる皆様が所期の目標を目指し、大いに奮闘されますことを期待しております。

 この助成事業は、当財団の趣旨にご賛同いただいた皆様の寄附によって実施できるものであります。そのことを念頭に置いて助成金の有効な活用をお願いいたします。そして、来年5月末には立派な成果を報告書として提出いただくことを選考委員会としてお願いいたします。

 次に第3回籔本秀雄賞の選考について報告いたします。籔本秀雄先生は、大阪難病研究財団の創設者であります。一昨年の財団理事会におきまして、先生の長年にわたる難病研究へのご貢献を顕彰するとともに、難病克服へ向けた研究を奨励するため、先生の名を冠した賞を創設することが決定されました。具体的には、本財団の医学研究助成を受ける若手研究者を対象とし、得点上位の研究課題のうち本賞の趣旨に最も適した課題を申請した研究者1名を受賞者として選定します。受賞者には賞状と研究奨励金として副賞50万円を贈呈します。選定は選考委員長の責任において行い、理事会に報告することとしております。優秀な若手研究者による特に優れた難病研究に対し、籔本秀雄先生の名を冠した賞とともに助成を行い、難病研究を一層奨励するとともに、先生の長年にわたる難病研究へのご貢献を顕彰するとの趣旨であります。
 さて本年の第3回籔本秀雄賞の選考ですが、医学研究助成受領者51名のうち得点上位の4名を対象に選考を行いました。本賞の趣旨に最もふさわしいと判断した研究課題を応募された、大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学・特任助教の関戸 悠紀氏を受賞者として選定しました。関戸氏の研究課題は「ヒト腸管自然免疫細胞内に寄生する腸内細菌群に着目したクローン病の病態解明研究」です。本研究では、クローン病患者の腸管粘膜ミエロイド細胞にどのような細菌が寄生し、そのことが炎症性サイトカインの産生に関与するかを明らかにしようとしています。関戸先生、第3回籔本秀雄賞の受賞誠におめでとうございます。先生の難病研究が一層進展しますことを祈念しております。

 最後に、知識の普及啓発事業と委託研究についてご紹介します。難病に関する知識の普及啓発事業について、4件の応募があり、その内1件に助成を行うことを決定いたしました。また、当財団では、理事会で決定された難病に関するテーマを、然るべき研究者に特に委託し調査研究をお願いしています。本年度は1機関にお願いしております。

 以上の通り、大阪難病研究財団の2021年度の助成事業と第3回籔本秀雄賞についてご報告いたします。

選考委員長  木下 タロウ
(大阪大学微生物病研究所 教授)

2021年度 第27回 助成受贈者インタビュー【全体動画】

下記より個別のインタビュー動画をご覧いただけます。


第3回 籔本秀雄賞 受賞者
<医学研究助成>
大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科学  関戸 悠紀 氏
【研究課題】 ヒト腸管自然免疫細胞内に寄生する腸内細菌群に着目したクローン病の病態解明研究


助成受贈者代表
<医学研究助成>
大阪医科薬科大学 医学部 泌尿生殖・発達医学講座 泌尿器科学教室  小村 和正 氏
【研究課題】 化学療法体制尿路上皮がんに対する腫瘍合成致死誘導を利用した革新的新規治療法の確立



助成受贈者インタビュー
<医学研究助成>
大阪市立大学大学院医学研究科 臨床感染制御学  井本 和紀 氏
【研究課題】 COVID-19回複者の後遺症に関する横断研究(アンケート送付による調査)-大阪市立大学による多施設共同研究-


<医学研究助成>
山口大学大学院医学研究科 消化器・腫瘍外科学  中島 正夫 氏
【研究課題】 腫瘍および宿主両面からみた複合バイオマーカー探索にもとづく膵癌個別化治療への展開



<国際交流助成>
マウントサイナイ医科大学 精神科・神経科学・眼科  岡村 和哉 氏
【研究課題】 自閉スペクトラム症の社会行動異常に関連する神経回路の同定と、動物―ヒト共通の検査モジュールを用いた橋渡し研究による治療法・治療効果判定方法の開発



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