いわゆる難病とは、原因が不明で治療方法が確立されていない疾患を総称するものです。その中には神経病疾患、謬原病、循環器系疾患、消化器系疾患など様々な疾患群が含まれており、この多くは有効な治療法や薬剤が見いだされず、患者は長期にわたる療養生活を余儀なくされています。また、家庭の介護機能の低下、不便な通院や長い待ち時間、緊急時の対応の不安、生活環境、収入など多くの問題に患者・家族の皆さんが悩んでおられるのが現状です。
このような難病が抱える医学的・社会的課題に対処するためには、脚光を浴びる「がん」や「再生医療」の研究に比べ満足とはいえない体制や研究費のもとに、地道な努力を積み重ねている難病研究者たちへの助成と、専門的な研究、さらには難病患者に対する良質なケアについての研究を進め、難病患者が在宅で安心して療養できる環境を整えていくことが大切です。
特に、核家族化や地域とのつながりの希薄さなど大都市特有の問題を抱える大阪において、地域性を重視した研究に取り組み、難病に関わる行政の方々と手を携えて公益事業を展開していく決意のもと、平成7 年3 月、財団法人大阪難病研究財団を設立。その後公益財団法人に移行、公益財団法人阪本精神疾患研究財団と合併し現在に至ります。
令和元年には助成事業も第25 回を迎え、若手研究者の更なる意欲向上と研究奨励のため、当財団初代理事長の名を冠した「籔本秀雄賞」を創設いたしました。助成事業においては年々応募される研究者、研究機関も全国区に広がりを見せており、難病研究の益々の発展と活性化のきっかけとなることを願います。
令和4年には難病についての調査研究に関する事業の一環として、当財団に研究所「22世紀難病ラボ」を設立いたしました。『基礎研究を創薬につなげる懸け橋となる研究所』『研究機関の垣根を越えた共同研究の実現』『勤務医として働きながら基礎研究・臨床研究が継続できる場の提供』の3つを主な目的として事業を進めて参ります。
今後とも、微力ながら精一杯努力してまいりますので、ご支援ご鞭撻をたまわりますようお願い申し上げます。
公益財団法人大阪難病研究財団
理事長 籔本 武志
公益財団法人 大阪難病研究財団は、
難病に関する調査研究、研究助成、国際交流助成、情報収集及び提供、知識の普及啓発、研修会参加開催
などの事業を行うことにより、難病医療や難病患者の支援の充実を図り、
難病の医療水準の向上と難病患者の在宅医療の推進に寄与することを目的としています。
1995年3月(平成7年) | 財団法人大阪難病研究財団 設立 籔本秀雄が初代理事長に就任 |
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2006年9月(平成18年) | ホームページ上に「難病Update」コンテンツを開設、掲載開始 |
2013年4月(平成25年) | 内閣総理大臣より公益認定を受け、公益財団法人大阪難病研究財団となり 事業の範囲を「大阪府及び近隣の府県」から「全国」へ拡大する |
2015年4月(平成27年) | 公益財団法人阪本精神疾患研究財団を吸収合併し、事業を引き継ぐ |
2019年6月(令和元年) | 助成事業第25回を記念し、「籔本秀雄賞」を創設 |
2022年9月(令和4年) | 研究所「22世紀難病ラボ」創設 |