CSF中白血球増加スウェーデンすくみ足歩行パーキンソン病(PD)パーキンソン症候群前向き研究嗅覚鈍麻尾状核ドパミントランスポーター活性低下死亡予測因子軽度認知障害
2019.01.26
パーキンソン症候群及びパーキンソン病における死亡の早期予測因子 地域住民を対象とした研究
Early predictors of mortality in parkinsonism and Parkinson disease: A population-based study
Bäckström D*, Granåsen G, Domellöf ME, Linder J, Jakobson Mo S, Riklund K, Zetterberg H, Blennow K, Forsgren L.
*From the Department of Pharmacology and Clinical Neuroscience (D.B., M.E.D., J.L., L.F.), Epidemiology and Global Health Unit, Department of Public Health and Clinical Medicine (G.G.), Department of Psychology (M.E.D.), and Department of Radiation Sciences, Diagnostic Radiology and Umeå Center for Functional Brain Imaging (S.J.M., K.R.), Umeå University; Institute of Neuroscience and Physiology (H.Z., K.B.), Department of Psychiatry and Neurochemistry, Sahlgrenska Academy at University of Gothenburg, Mölndal; Clinical Neurochemistry Laboratory (H.Z., K.B.), Sahlgrenska University Hospital, Mölndal, Sweden; Department of Molecular Neuroscience (H.Z.), University College London Institute of Neurology; and UK Dementia Research Institute at UCL (H.Z.), London, UK. david.backstrom@umu.se.
Neurology. 2018 Nov 27;91(22):e2045-e2056. doi: 10.1212/WNL.0000000000006576. Epub 2018 Oct 31.
地域住民を対象として、新たに発症したパーキンソン症候群及びパーキンソン病における死亡及び関連する危険因子(軽度認知障害、画像所見、及びCSF異常が及ぼし得る影響など)を調査する。2004年1月から2009年4月までの間に住民142,000人から成るスウェーデンのある診療圏で新たに発症した特発性パーキンソン症候群182例を診断した。多面的な研究計画に従って患者を包括的に調査し、最大13.5年にわたりプロスペクティブに追跡した。計109例の患者が死亡した。スウェーデンの一般集団の死亡率から標準化死亡比及び期待生存期間を算出し、Cox比例ハザードモデルを用いて死亡の独立予測因子を調査した。
全患者の標準化死亡比は1.84(95%信頼区間1.50 - 2.22、P<0.001)であった。非定型パーキンソン症候群患者(多系統萎縮症又は進行性核上性麻痺)の死亡比が最も高かった。早期のパーキンソン病では、軽度認知障害の診断、すくみ足歩行、嗅覚鈍麻、尾状核でのドパミントランスポーター活性の低下、及びCSF中の白血球増加が生存期間の短縮と有意に関連していた。
コメント
私が医師のcareerをスタートさせた約40年前は、パーキンソン病は平均寿命より約10年短命であると言われていた。医学の進歩により、最近では、日常生活動作も低下せず、天寿を全うできると考えられるようになった。本論文は、それを支持するものである。また、今回の指摘のように、生存期間は疾患の種類及び特徴によるところが大きく、進行性核上性麻痺などのパーキンソン症候群患者は生存期間が短縮する。認知機能が正常なパーキンソン病患者の平均余命は、大部分が標準的であるとの指摘、さらに、生存期間の短いパーキンソン病患者の初期に認知症があり、CSF中に微量の白血球が認められたとの指摘は、進行の修飾因子として、今後臨床的意義の解析は必要であるが、興味があり取り上げた。
監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30381367