難病Update

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ACR20反応率IL-17ATNF-α二重可変ドメイン免疫グロブリン製剤(ABT-122)無作為化二重盲検試験関節リウマチ(RA)

2019.01.26

メトトレキサートの効果が不十分な関節リウマチ患者に対する、腫瘍壊死因子およびインターロイキン17Aを標的とする二重特異性の二重可変ドメイン免疫グロブリン製剤ABT-122:無作為化二重盲検試験

ABT-122, a bispecific dual variable domain immunoglobulin targeting tumor necrosis factor and interleukin-17A, in patients with rheumatoid arthritis with an inadequate response to methotrexate: a randomized, double-blind study

Genovese MC*,Weinblatt ME, Aelion JA, Mansikka HT, Peloso PM, Chen K, Li Y, Othman AA, Khatri A, Khan NS, Padley RJ *Stanford University Medical Center, Palo Alto, California Arthritis Rheumatol. 2018 Nov;70(11):1710-1720. doi: 10.1002/art.40580. Epub 2018 Oct 10 ABT-122は、関節リウマチ(RA)の病態生理に寄与する腫瘍壊死因子(TNF)とインターロイキン17A(IL-17A)の両方を標的とする二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD-Ig)である。メトトレキサートの効果が不十分かつ生物学的製剤の投与歴のないRA患者を対象として、ABT-122の安全性と有効性を評価した。RA患者222例を、12週間のABT-122 60 mgの隔週投与、ABT-122 120 mgの隔週投与、ABT-122 120 mgの毎週投与、またはアダリムマブ40 mgの隔週投与に無作為に割り付けた。有効性主要評価項目である12週後のACR20反応率は、ABT-122 60 mgの隔週投与、ABT-122 120 mgの隔週投与、ABT-122 120 mgの毎週投与、アダリムマブ40 mgの隔週投与でそれぞれ62%、75%、80%、及び68%であった。ACR50およびACR70の反応率は、それぞれ35%、46%、47%、48%と、22%、18%、36%、21%であった。治験薬投与下で発現した有害事象(TEAE)はいずれの群も同様であり、重篤な有害事象やABT-122による全身性の過敏症反応は報告されなかった。メトトレキサート療法下にあるRA患者にABT-122 120 mgを隔週投与または毎週投与したときの有効性に、アダリムマブ40 mgの隔週投与との意味のある差はみられなかった。 コメント ターゲット分子の異なる抗体生物製剤を複数種投与することは経済的に高価であるため困難である。そのため1抗体で2分子を標的とする生物製剤の開発が期待された。ABT-122はTNFαとIL-17Aと2つの標的を同時に抑制することがin vitroで可能であることから、in vivoの実臨床での効果が期待された。しかしながらTNFα単独阻害剤であるアダリムマブとの有意差は認められなかった。本例は残念な結果であるが、今後高い効果が示される2ターゲット1抗体の出現に期待したい。 監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生 PudMed:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29855172

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