難病Update

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GATA3領域(rs10905284)KIAA1109領域(rs560026225)MUC5AC領域(rs11603634)ヨーロッパ系人種中等度・重度喘息遺伝子変異

2019.02.26

ヨーロッパ系血統の人種における中等度・重度喘息患者のゲノム解析

Moderate-to-severe asthma in individuals of European ancestry: a genome-wide association study

Shrine N*, Portelli MA, John C1, Soler Artigas M1, Bennett N1, Hall R, Lewis J, Henry AP, Billington CK, Ahmad A, Packer RJ1, Shaw D, Pogson ZEK, Fogarty A, McKeever TM, Singapuri A, Heaney LG, Mansur AH, Chaudhuri R, Thomson NC, Holloway JW, Lockett GA, Howarth PH, Djukanovic R, Hankinson J, Niven R, Simpson A, Chung KF, Sterk PJ, Blakey JD, Adcock IM, Hu S, Guo Y, Obeidat M, Sin DD, van den Berge M, Nickle DC, Bossé Y, Tobin MD, Hall IP, Brightling CE, Wain LV, Sayers I *Department of Health Sciences, University of Leicester, Leicester, UK. Lancet Respir Med. 2019 Jan;7(1):20-34. doi: 10.1016/S2213-2600(18)30389-8. Epub 2018 Dec 11. 中等度・重度喘息に関連する遺伝子変異を2段階の症例対照研究により検討した。1段階として、英国のコホートGASPイニシアチブ(Genetics of Asthma Severity and Phenotypes)とU-BIOPREDプロジェクト(Unbiased BIOmarkers in PREDiction of respiratory disease outcomes)の2つを使った。ヨーロッパ系の人種に限った症例と対照を1:5の比率で抽出した。患者の遺伝子データはUK Biobankを使用した。対照群は、喘息、鼻炎、湿疹、アレルギー、肺気腫又は慢性気管支炎などの診断を受けていない者とした。2段階では、症例と対照を1:5の比率で抽出した。遺伝子データは同じくUK Biobankを用い、1段階の症例と重複のない者を選んだ。1段階で中等度・重度喘息患者のゲノムワイド関連解析を実施した。2段階では、1段階でP<1×10-6の有意水準にあった遺伝子単独変異を抽出し、有意水準は、P<5×10-8であらゆるタイプの喘息に関係する遺伝子群を調査した。1段階は、症例群5,135例、対照群25,675例であった。2段階は、症例群5,414例、対照群21,471例であった。喘息に関連するシグナルを24特定できた。新規シグナルは3つ特定することができた。(1) GATA3領域のrs10905284(アレルA、オッズ比0.90[0.88 - 0.93])、(2) MUC5AC領域のrs11603634(アレルG、OR 1.09[1.06 - 1.12])、(3) KIAA1109領域のrs560026225(アレルGATT、OR 1.12[1.08 - 1.16])であった。 MUC5ACのシグナルは軽度喘息を含めた解析では関連が認められなかったが、rs11603634のGアレルは、気管支上皮擦過検体におけるrs11602802のproxy SNPを使ってMUC5AC mRNAの発現の増加に関連していることが明らかになった。MUC5AC mRNAは重度の喘息患者の気管支上皮検体で増加していた。発見した喘息関連遺伝子構造はムチン生成を調節する遺伝子変異であった。 コメント 人間の遺伝子データがデータベース化されるようになってきている。それを使い、患者群と対照群との遺伝子差異を検討した研究である。喘息に関連する3つの遺伝子群を初めて発見したとしている。それはムチン生成を調節する遺伝子変異であった。ヨーロッパ系人種だけに限ったものであるので他の人種でもこの遺伝子群が喘息と関連しているのかを検討する必要がある。また喘息の発病には環境要因も影響していることからこれだけで喘息の発病メカニズムが解明されたわけではない。しかし、発病リスクの高い人を識別し、予防指導に役立てることができるかもしれない。 監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生 PudMed:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30552067

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