難病Update

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HFE遺伝子p.C282Y変異他疾患罹患状況前向きコホート研究英国遺伝性ヘモクロマトーシス

2019.03.26

遺伝性ヘモクロマトーシスに関連する他疾患の罹患状況の検討:UK Biobankを使ったコホート研究

Common conditions associated with hereditary haemochromatosis genetic variants: cohort study in UK Biobank

Pilling LC*, Tamosauskaite J, Jones G, Wood AR, Jones L, Kuo CL, Kuchel GA, Ferrucci L, Melzer D *Epidemiology and Public Health Group, University of Exeter Medical School, RD&E Wonford, Exeter EX2 5DW, UK. BMJ. 2019 Jan 16;364:k5222. doi: 10.1136/bmj.k5222. イギリス全域をカバーしている大規模コホートUK Biobankの22施設(2006 - 2010年)の40 - 70歳のヨーロッパ系451,243人について、HFE遺伝子のp.C282Y変異(遺伝性ヘモクロマトーシス1型の原因)を有する者とその変異のない者における有病率、罹患率及び死亡率を比較検討した研究である。診断から死亡に到る平均追跡期間は7年(最大9.4年)であった。年齢、遺伝子配列型及び主要な遺伝的要因を調整し、ヘモクロマトーシス遺伝子変異の有無による疾患発生率のオッズ比及びCoxハザード比を性別に分けて算出した。p.C282Yホモ接合者2,890人(0.6%、1/156)の中で追跡終了までにヘモクロマトーシスと診断された者は男性21.7%(95%CI:19.5 - 24.1)、女性9.8%(CI:8.4 - 11.2)であった。 「40 - 70歳」の男性では、ヘモクロマトーシスのオッズ比411.1(CI:299.0 - 565.3、P<0.001)と高かったが、肝疾患4.30(CI:2.97 - 6.18、P<0.001)、関節リウマチ2.23(CI:1.51 - 3.31、P<0.001)、変形性関節症2.01(CI:1.71 - 2.36、P<0.001)及び糖尿病1.53(CI:1.16 - 1.98、P=0.002)であった。7年の追跡期間中にp.C282Y変異の遺伝子ホモ接合を有する男性において関連疾患が1つ以上の疾患を認めた者は15.7%であった。p.C282Y変異を有さない者では5.0%(P<0.001)であった。女性では各々10.1%と3.4%(P<0.001)であった。p.C282Y/p.H63Dのヘテロ接合の者のヘモクロマトーシスの罹患率はとても高かったが、その他の疾患の罹患率はそれ程高くはなかった。 コメント ヘモクロマトーシスは早期に発見すれば予防可能である。本研究で、HFE遺伝子p.C282Yホモ接合を有する者のヘモクロマトーシス罹患率はとても高いが、他方でこの遺伝子変異を持つ者はヘモクロマトーシス以外の疾病の罹患率はそれ程高くないことを明らかにしている。つまり、p.C282Y遺伝子検査により早期にヘモクロマトーシスの発症予防を行うことで、生命予後を高められる可能性を示すものである。遺伝子異常の中には早期に発見しても生命予後を変えられないものがあるが、本遺伝子変異の早期発見は、生命予後の改善につながる可能性があることを示唆している。 監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生 PudMed:

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