難病Update

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乳児症例対照研究米国胎児自閉症スペクトラム障害農薬環境曝露

2019.05.26

胎児と乳児の農薬の環境曝露と自閉症スペクトラム障害との関連の検討:地域ベースの症例対照研究から

Prenatal and infant exposure to ambient pesticides and autism spectrum disorder in children: population based case-control study

von Ehrenstein OS*, Ling C, Cui X, Cockburn M, Park AS, Yu F, Wu J, Ritz B *Department of Community Health Sciences, Fielding School of Public Health, University of California, PO Box 951772, Los Angeles, CA 90095-1772, USA ovehren@ucla.edu. BMJ. 2019 Mar 20;364:l962. doi: 10.1136/bmj.l962. 自閉症スペクトラム障害と遺伝的要因との関係が強いことが明らかにされている。しかし、農薬など環境要因との関連性も疑われている。そこで、米国の代表的な農業地帯であるカリフォルニア州セントラルバレーの1998 - 2010年の出生データを用いて農薬の環境暴露との関連についての症例対照研究により検討した。「症例」は、知的障害を伴う445例と自閉症スペクトラム障害とカリフォルニア州発達障害支援サービス部により診断された2,961例である。症例1人に対し性別及び出生年をマッチさせた者10人を出生データの中から選んで「対照」とした。農薬曝露の推定は、農薬使用報告データを使い、農薬が使用されていたところから母子居住地が2km以内の使用農薬量を算出し、地理情報システムツールを用いた。農薬は生体内又は試験管内で神経発達毒性があると知られているもので、使用頻度が高いもの11を選択した。農薬曝露は「あり」「なし」に分けて多変量ロジスティック回帰を用いてオッズ比とその95%信頼区間を計算した。自閉症スペクトラム障害の発生リスクは、グリホサート(オッズ比1.16、95%CI:1.06 - 1.27)、クロルピリホス(1.13、1.05 - 1.23)、ダイアジノン(1.11、1.01 - 1.21)、マラチオン(1.11、1.01 - 1.22)、アベルメクチン(1.12、1.04 - 1.22)及びペルメトリン(1.10、1.01 - 1.20)であった。農薬暴露と障害の発生との間に有意な関連を認めた。知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害では、グリホサート(1.33、1.05 - 1.69)、クロルピリホス(1.27、1.04 - 1.56)、ダイアジノ(1.41、1.15 - 1.73)、ペルメトリン(1.46、1.20 - 1.78)、臭化メチル(1.33、1.07 - 1.64)及びミクロブタニル(1.32、1.09 - 1.60)であった。農薬暴露ありの者の発生リスクが30%程度高かった。一部の農薬物質に対しては50%程度も高かった。 コメント 自閉症スペクトラム障害は先天的な要因が大きいと報告されている。また動物実験で神経毒性のある農薬の神経発達影響が確かめられている。本論文は、症例対照研究で、神経の発達過程に影響を与える11種の農薬に暴露された胎児や出生児の自閉症スペクトラム障害の発症リスクを分析し、農薬の暴露と自閉症スペクトラム障害の発生の間に強い関係があることを裏付ける結果を示している。本研究の結果を踏まえると、妊婦や乳幼児の周辺では潜在的に神経発達毒性がある農薬を使用しない予防措置を講じる必要がある。 監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生 PudMed:

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