Zheng F1, Yan L, Zhong B, Yang Z, Xie W.
1From the Brainnetome Center (F.Z.), Institute of Automation, Chinese Academy of Sciences, Beijing, China; Institute of Cognitive Neuroscience (F.Z.), University College London; Department of Epidemiology and Biostatistics (L.Y., Z.Y., W.X.), School of Public Health, Imperial College London, UK; Department of Geriatric Psychiatry (B.Z.), Affiliated Wuhan Mental Health Center, Tongji Medical College of Huazhong University of Science & Technology, Wuhan; and Peking University Clinical Research Institute (W.X.), Peking University Health Science Center, Beijing, China.
Neurology. 2019 Jul 2;93(1):e20-e28. doi: 10.1212/WNL.0000000000007716. Epub 2019 May 24.
目的は、新規脳卒中発症の前後における認知機能低下の軌跡を明らかにすること。英国の老化に関する縦断研究(English Longitudinal Study of Ageing)のデータを用いて、認知症を発症しておらず、脳卒中の既往がなく、ベースライン(第1期)のほかに少なくとも1つの時点(第2 - 7期)で認知機能評価を受けた参加者9,278例を調査した。線形混合モデルを用いて反復測定データと縦断データを解析した。
参加者9,278例(56.8%が女性、平均年齢63.1±10.3歳)のうち、471例(5.1%)で新規脳卒中イベントが同定された。脳卒中を発症した参加者では、発症しなかった参加者と比較して、多変量調整後の脳卒中発症前の認知機能低下速度が、全体的な認知機能、記憶、意味流暢性、時間見当識においてそれぞれ-0.029、-0.016、-0.022、-0.024 SD/年速かった。脳卒中発症後、全体的な認知機能は経時的に低下し、多変量調整後の低下速度は-0.064 SD/年と発症前よりも速かった。
コメント
つい最近の当難病updateで、生活習慣病のコントロールは認知症の予防にあまり意味がないという海外の報告を取り上げた。その時のコメントで、生活習慣病のコントロールが厳密ではなく、厳密にした場合は、意味があるであろうと推論した。本報告は、英国のデータを基に、中国の施設が解析したものである。脳卒中の発症前と発症後の認知機能低下の加速は、12年間の追跡期間をとおして新規脳卒中発症と関連していた。
本報告が指摘するように、脳卒中生存者の認知機能に関する長期的な問題に注意を向けるべきである。また、脳血管疾患のリスクおよび関連する認知機能障害を減らすために主要な血管系リスクファクターに関する介入と管理を人生の早期または中期から開始すべきである。危険因子のコントロールで脳血管障害を防ぐことができれば、認知症は予防可能であることを示唆する論文で興味があり取りあげた。
監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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