Moon SJ1, Bae JM, Park KS, Tagkopoulos I, Kim KJ
1Division of Rheumatology, Department of Internal Medicine, Uijeongbu St Mary's Hospital, College of Medicine, The Catholic University of Korea, Seoul, Republic of Korea
Ann Rheum Dis. 2019 Jun;78(6):817-825. doi: 10.1136/annrheumdis-2018-214778. Epub 2019 Apr 5.
全身性硬化症(SSc)は臨床像が多様であるため治療が困難である。患者の分類および新薬の標的への理解を深めるため、皮膚のトランスクリプトーム関連分子を選出し、それに関する解析を行った。8件のデータセットから、17,424の遺伝子を含むSSc患者173例の344の皮膚検体に関するデータを収集した。発現変動遺伝子(DEG)の機能的ネットワーク解析を行い、非負値行列因子分解を用いて検体を分類し、さらにgene set enrichment analysis(GSEA)解析により皮膚の線維化に関与するシグナル伝達経路とバイオマーカーを調査することとした。上方制御された1,089のDEGが同定された。シグナル伝達経路に従って患者を分類したところ、活性化のシグネチャーが異なる4つの患者群が明らかとなった。このうち、炎症性のサブタイプには、追跡調査時に皮膚線維化の有意な改善がみられた。PI3K-Aktのシグナル伝達経路には、皮膚線維化スコアとの最も強い相関が認められた。COMP、THBS1、THBS4、FN1およびTNC遺伝子は、皮膚の線維形成におけるPI3K-Akt経路の主導的遺伝子であった。PI3K-Akt経路とその主導的役割を担う遺伝子は治療の標的として有望である。
コメント
全身性硬化症は皮膚の硬化を示す、特異的な膠原病で、病型により治療法が異なり、治療が困難である。この度、皮膚硬化において、変動遺伝子を同定することができた。あるタイプにPI3K-Aktのシグナル伝達に関与する5種の遺伝子が同定された。皮膚線維化形成遺伝子として注目される。しかし直接治療と関連するかどうかは不明である。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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