難病Update

難病Update

コホート研究全身性エリテマトーデス

2019.09.06

全身性エリテマトーデスの疾患活動性スコア(SLE-DAS)の導出と検証:疾患活動性の変化に対する感度の高いSLEの継続的指標

Derivation and validation of the SLE Disease Activity Score (SLE-DAS): a new SLE continuous measure with high sensitivity for changes in disease activity

Jesus D1, Matos A, Henriques C, Zen M, Larosa M, Iaccarino L, Da Silva JAP, Doria A, Inês LS

1Rheumatology Department, Centro Hospitalar e Universitário de Coimbra, Coimbra, Portugal

Ann Rheum Dis. 2019 Mar;78(3):365-371. doi: 10.1136/annrheumdis-2018-214502. Epub 2019 Jan 9.

 SLEDAI-2Kは広く使用されている全身性エリテマトーデス(SLE)の疾患活動性の指標であるが、これより優れた感度と同等の特異度を有する指標であるSLE Disease Activity Score(SLE-DAS)を作成し、検証することとした。第3次医療機関2施設のSLE患者520例において抽出コホートと検証コホートを規定し、来院の都度Physician Global Assessment(PGA)とSLEDAI 2000(SLEDAI-2K)を用いて各患者の疾患活動性を評価した。抽出コホートのデータを用い、PGAを従属変数とした多変量線形回帰分析に基づき17項目から成るSLE-DASを作成した。その後、検証コホートにおいて、SLE-DASとPGAおよびSLEDAI-2Kとの相関、SLEDAI-2KおよびSLE-DASの臨床的に意味のある疾患活動性の変化(PGAで0.3以上の変化と定義)の検出能、およびSLEDAI-2KおよびSLE-DASの損傷発生の予測能を評価し、SLE-DASを検証した。SLE-DASにはPGA(r=0.875、P<0.0005)およびSLEDAI-2K(r=0.943、P<0.0005)との高度の相関が認められた。臨床的に意味のある疾患活動性の変化を検出するSLE-DASの感度はSLEDAI-2Kより高かった一方(改善については89.5% vs 47.4%、P=0.008:悪化については95.5% vs 59.1%、P=0.008)、特異度は同等に維持された。損傷発生の予測能はSLE-DASの方がSLEDAI-2Kより優れていた。

コメント
 SLEの疾患活動性の評価はSLEDAI-2K(SLEDAI 2000)が用いられてきたが、より優れた評価基準が求められてきた。このため、新たにSLE-DASを作成した。このSLE-DASには関節痛、禿頭、心/肺異常、皮膚発赤、溶血性貧血、低補体価、高抗ds-DNA抗体、白血球減少、血管炎、粘膜潰瘍、筋肉炎、精神神経症状、血少板減少、漿膜炎、関節腫脹、等をパラメータとした計算式として表す。その結果、特異度、感度いずれも高い判定法が確立された。ただし、より詳細は所見及び精査を要す。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
PudMed:
[Click here to view Pubmed article]

一覧へ