2019.10.06
日中の過度の眠気とレビー病理の分布の拡大
Excessive daytime sleepiness and topographic expansion of Lewy pathology
Abbott RD1, Ross GW, Duda JE, Shin C, Uyehara-Lock JH, Masaki KH, Launer LJ, White LR, Tanner CM, Petrovitch H.
1From the Institute of Human Genomic Study (R.D.A., C.S.), Korea University College of Medicine, Ansan-si, Gyeonggi-do, South Korea; the Pacific Health Research and Education Institute (R.D.A., G.W.R., L.R.W., H.P.), Honolulu, HI; the Departments of Medicine (G.W.R.) and Pathology (J.H.U.-L.) and the John A. Hartford Foundation Center of Excellence in Geriatrics, Department of Geriatric Medicine (G.W.R., K.H.M., H.P.), John A. Burns School of Medicine, University of Hawaii, Honolulu; the Veterans Affairs Pacific Islands Health Care System (G.W.R., L.R.W., H.P.), Honolulu, HI; the Michael J. Crescenz Veterans Affairs Medical Center and the University of Pennsylvania Perelman School of Medicine (J.E.D.), Philadelphia; Kuakini Medical Center (K.H.M.), Honolulu, HI; the National Institute on Aging (L.J.L.), Bethesda, MD; and the San Francisco Veterans Affairs Medical Center and the Department of Neurology (C.M.T.), University of California-San Francisco. rda3e@virginia.edu.
Neurology. 2019 Aug 30. pii: 10.1212/WNL.0000000000008241. doi: 10.1212/WNL.0000000000008241. [Epub ahead of print]
日中の過度の眠気（excessive daytime sleepiness：EDS）は、パーキンソン病（Parkinson disease：PD）の臨床診断に先行しうるが、根底にあるPDの病態形成との関連は不明である。この研究の目的は、EDSが、PDの病態形成のマーカーである脳のレビー病理（Lewy pathology：LP）と関連しているかどうかをEDSの臨床評価と死後の追跡調査から明らかにすることである。LPの同定は、男性211例の検体での脳の複数領域におけるα-シヌクレインの染色に基づいて行われた。EDSに関するデータは、参加者が72 - 97歳であった1991 - 1999年に行われた臨床調査で収集された。
EDSは、LP存在下のほうが非存在下と比較して多かったが（P＝0.034）、この関連性は新皮質領域においてより強くなった。LPが嗅球、脳幹、および前脳基底核に限局していた場合（Braakステージ1 - 4）のEDSの頻度が10％（4/40）であったのに対し、LPが存在しなかった場合は17.5％（20/114）であった（P＝0.258）。一方、LPが前帯状回、島中間皮質、ならびに新皮質の前頭中部、側頭中部、頭頂下部に及んでいた場合（Braakステージ5）、LPが存在しなかった場合と比較してEDSの頻度は2倍となった（36.7％［11/30］、P＝0.023）。さらに新皮質の一次運動野および一次感覚野への浸潤を伴っていた場合（Braakステージ6）、EDSの頻度は3倍に上昇した（51.9％［14/27］、P＜0.001）。
コメント
PDはレム睡眠行動異常や中途覚醒、EDSなど、睡眠障害が多い。これらは、運動症状に対して非運動症状としてとらえられているが、発症前症状の一つとして重要視されている。しかし、EDSと病態形成のマーカーであるLPの関連を検討した報告はない。初めて検討された本報告では、EDSとPDとの関連としてLPの広い範囲への分布拡大との関係が挙げられ、新皮質は睡眠障害とミスフォールドしたα-シヌクレインの凝集およびLP形成との有害な関係の影響を特に受けやすい可能性のあることが指摘された。EDSとLPとの関連において有意義な結果であり、一方、睡眠関連特性全体をとおしてでは同程度であったが、今後EDSと発症様式の解析へ繋がる重要な報告と考えられ、興味があり取り上げた。
監訳・コメント：国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed：
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