Basu N1, Kaplan CM, Ichesco E, Larkin T, Harris RE, Murray A, Waiter G, Clauw DJ
1University of Aberdeen, Aberdeen, UK
Arthritis Rheumatol. 2018 Jul;70(7):1000-1007. doi: 10.1002/art.40451. Epub 2018 May 11.
多くの関節リウマチ(RA)患者には、免疫療法によって炎症がコントロールされているにもかかわらず疼痛がみられ、線維筋痛症(FM)の併発がこれに関与している可能性がある。この研究では、「『FMらしさ』の指標である米国リウマチ学会(ACR)FM調査基準のスコアが高値のRA患者には、FM患者と同様の機能的結合の異常がみられる」という仮説を検証することとした。患者54例(平均年齢54.9歳、75.9%が女性)に対し、11分間の機能的MRI(fMRI)による脳スキャンと、FMらしさの測定を含む臨床評価を実施した。これらの患者のFMらしさの平均スコアは13.2であった。fMRIの機能的結合性のデータから脳のネットワークを抽出した。次に、各患者について、ネットワークと脳全体との結合性の解析を行い、その後各ネットワークの結合性とFMらしさとの関連を評価するグループごとの回帰分析を実施した。脳全体の解析により、デフォルトモードネットワーク(DMN)と左側中部/前部との結合性と、FMらしさのスコアとの間に、有意な正の相関が認められた(r=0.58、ファミリーワイズエラー[FEW]で補正したP値=0.001)。FMらしさのスコアの高いRA患者は、FM患者に一貫して観察される神経生物学的特性を有すると考えられる。この研究によって、RAは混合性疼痛をもたらす疾患であり、多くのRA患者の症状は古典的な炎症機序より中枢神経系と関連することを裏付ける神経画像上のエビデンスが得られた。
コメント
線維筋痛症(FM)の疼痛と関節リウマチの疼痛の相違をMRI検査による脳スキャンを用いることによって疼痛度の共通性があることが知られた。主観的疼痛度を客観的検査によって評価できそうであることを示唆した貴重な結果である。しかし、更なる客観的な検索を要する。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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