Hammer HB1, Michelsen B, Sexton J, Haugen IK, Provan SA, Haavardsholm EA, Uhlig T, Kvien TK
1Department of Rheumatology, Diakonhjemmet Hospital, Oslo, Norway hbham@online.no.
Ann Rheum Dis. 2019 Sep;78(9):1179-1185. doi: 10.1136/annrheumdis-2019-215321. Epub 2019 Jun 6.
関節の腫脹および圧痛は関節リウマチ(RA)の炎症の指標とみなされているが、滑膜炎の有無に関する臨床評価と超音波所見には不一致がみられる。超音波検査で確認された滑膜炎、関節の腫脹、圧痛、および患者が報告した関節痛(PRJP)の関連性および評価の一致度を、患者レベルと関節レベルで評価した。RAと確定診断された患者209例を対象に、12カ月間に6回、上肢または下肢の32関節の腫脹、圧痛、グレースケール(GS)/パワードップラー(PD)画像上の滑膜炎、人体図におけるPRJPを評価した。Spearmanの順位相関係数(r)を用いて腫脹関節数、圧痛関節数、GSとPDの総スコア、およびPRJPの総スコアの相関を患者レベルで評価し、さらにCohenのκ係数を用いてこれらの診断の一致度を関節レベルで明らかにし、ロジスティック回帰モデルにより関節の評価とGS/PDスコアとの関連を検討した。GS/PDの総スコアは関節腫脹と強く相関していた一方(r=0.64 - 0.88)、圧痛には主にPRJPとの関連が認められた(r=0.54 - 0.68)。GS/PDで確認された病態と腫脹との一致度(κ係数0.54 - 0.57)は、圧痛(0.20 - 0.21)あるいはPRJP(0.23 - 0.25)との一致度を上回った。圧痛の有無にかかわりなく、GS/PDスコアが高値であるほど腫脹関節の割合が増加した。しかし、圧痛にはGS/PDスコアとの関連は認められなかった。受信者動作特性(ROC)曲線により、(圧痛関節ではなく)腫脹関節とGS/PDスコアとの関連が示された。これらの結果は、RA患者の炎症の指標として圧痛関節を用いることへの疑問を提起している。
コメント
リウマチにおける活動性の評価に、DAS-28、CDAI、SDAI等を用いるが、その成分に関節圧痛と関節腫脹が含まれている。近年超音波検査が施行されることによって、滑膜肥厚と血管新生の程度が客観的に把握可能となり、従来の主観的評価である圧痛関節と関節腫脹との一致性が検討されるようになった。
本研究により、関節腫脹が超音波検査値(GS/PD)と強く相関することが認められた。このことにより、主観的関節評価においても関節圧痛よりは関節腫脹の方が重きをなすことが示唆された。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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