Finzel S1, Kraus S, Figueiredo CP, Regensburger A, Kocijan R, Rech J, Schett G
1Department of Internal Medicine 3, Friedrich Alexander University Erlangen-Nurnberg and Universitaetsklinikum Erlangen, Erlangen, Germany.
Ann Rheum Dis. 2019 Sep;78(9):1186-1191. doi: 10.1136/annrheumdis-2018-214894. Epub 2019 May 29.
早期関節リウマチ(RA)における骨びらんの修復効果を、インターロイキン6(IL-6)受容体阻害薬と腫瘍壊死因子α阻害薬とで比較するため、前向き非無作為化観察研究を実施した。メトトレキサート(MTX)の効果が不十分な、骨びらんを有する活動性RA患者に対し、52週間のトシリズマブ(TOC)単独療法(33例)またはアダリムマブ(ADA)+MTX併用療法(33例)を行った。高解像度末梢骨用定量的CTを用い、ベースラインおよび52週の時点で中手骨頭および橈骨のびらん容積を測定した。CDAI、SADI、およびDAS28-ESRにより、12週ごとに臨床的反応をモニタリングした。DAS28-ESRに基づく疾患活動性は、TOC群(ベースライン時6.2±0.5、52週後2.3±1.0)、ADA/MTX群(6.3±0.6、2.8±1.2)ともに有意に低下した。しかし、中手骨頭および橈骨の骨びらん容積については、TOC群では有意な減少(P<0.001)がみられたものの、ADA/MTX群にはそのような減少はみられなかった(P=0.77)。中手骨頭および橈骨におけるびらん容積減少の平均値は、TOC群では-1.0±1.1 mm3と-3.3±5.9 mm3、ADA/MTX群では-0.05±0.9 mm3および-0.08±4.1 mm3であった。この研究によって、TOC単独療法の既存の骨びらんに対する修復効果はADA/MTXを上回ることが明らかとなった。RA患者の関節における骨の恒常性を妨げる主要な因子はIL-6である。
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バイオ製剤による1年未満の早期RA治療においてトシリズマブ(TOC)単独治療にアダリムマブ(ADA)+MTX治療とで、ほぼ臨床上の効果は同等であった。しかし、骨にたいする構造的変化については不明であった。本研究によりHR-PQCTを開いて、中手骨頭および橈骨における骨びらんの面積を測定したところ、いずれの場所においても、TOCは著明な改善修復を示したが、ADA/MTXでは悪化はなかったが、ほとんど変化がみられず、修復も認められなかった。この結果より、骨びらん形成にIL-6が深く関与し、TNF-αの関与は少ないことがあきらかとなった。またTOCのIL-6阻害が骨びらんの抑制を可能とすることが知られ、同じバイオでもIL-6の方が構造的寛解をもたらすことが期待された。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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