2020.01.04
日本人関節リウマチ患者における基礎治療であるメトトレキサートの用量別のトファシチニブの有効性と安全性:臨床試験データの事後解析
Efficacy and safety of tofacitinib in Japanese patients with rheumatoid arthritis by background methotrexate dose: A post hoc analysis of clinical trial data
Takeuchi T1, Yamanaka H, Yamaoka K, Arai S, Toyoizumi S, DeMasi R, Fukuma Y, Hirose T, Sugiyama N, Zwillich SH, Tanaka Y
1Keio University , Tokyo , Japan
Mod Rheumatol. 2019 Sep;29(5):756-766. doi: 10.1080/14397595.2018.1553489. Epub 2019 Jan 11.
臨床試験2試験の併合データを用いた事後解析において、低用量(0 - 8 mg/週)または高用量(>8 mg/週)のメトトレキサート(MTX)の投与を受けている日本人RA患者254例を対象として、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬トファシチニブ1 mg/3 mg(低用量)、5 mg、10 mgの1日2回投与の有効性および安全性をプラセボと比較検討した。3カ月間の有効性(ACR20/50/70の各反応率、DAS28-4[ESR]2.6未満の達成率、DAS28-4(ESR)スコアおよびHAQ-DIスコアのベースラインからの変化量)および安全性(有害事象、有害事象による試験中止、重篤な有害事象、および死亡)を評価した。3カ月後のACR20/50/70の各反応率、DAS28-4(ESR)スコアおよびHAQ-DIスコアのベースラインからの変化量の平均値にMTXの用量による差は認められず、全般的にトファシチニブ投与群の方がプラセボ投与群より高値であった。MTXの用量別(低用量、高用量)の有害事象発現率は、プラセボではそれぞれ28.6%と52.9%、低用量のトファシチニブ(1日2回)では50.0%と66.7%、トファシチニブ5mg(1日2回)では56.5%と64.3%、トファシチニブ10mg(1日2回)では73.8%と67.7%であった。日本人RA患者におけるトファシチニブの有効性はMTXの用量に左右されないようであり、器官別大分類および臨床検査パラメータに明らかな差は認められなかった。
コメント
JAK阻害剤のトファシチニブ治療における日本人関節リウマチ患者に対する効果と安全性に関して、MTXの投与量によって差があるかどうかを検証した。その結果、トファシチニブの有効性はMTXの用量に差がなく、安全性においても有意な差を認められなかった。このことにより、MTX併用において用量に気をつけなくても、効果、安全性に差を考えなくても良いと思われる。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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