難病Update

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関節リウマチ

2020.03.18

関節リウマチ患者における48週間のウパダシチニブまたはアダリムマブとメトトレキサート併用(効果不十分の場合はもう一方の治療に切替え)の有効性および安全性

Safety and effectiveness of upadacitinib or adalimumab plus methotrexate in patients with rheumatoid arthritis over 48 weeks with switch to alternate therapy in patients with insufficient response

Fleischmann RM1, Genovese MC, Enejosa JV, Mysler E, Bessette L, Peterfy C, Durez P, Ostor A, Li Y, Song IH.

1Medicine, University of Texas Southwestern, Dallas, Texas, USA rfleischmann@arthdocs.com.

Ann Rheum Dis. 2019 Nov;78(11):1454-1462. doi: 10.1136/annrheumdis-2019-215764. Epub 2019 Jul 30.

 この無作為化二重盲検SELECT-COMPARE試験では、メトトレキサート(MTX)の基礎治療を受ける関節リウマチ患者を、48週間のウパダシチニブ、プラセボ、またはアダリムマブの投与に無作為に割り付けた。圧痛関節数または腫脹関節数の改善が20%未満(14週、18週および22週の時点)およびCDAI 10超(26週の時点)の場合、プラセボ群またはアダリムマブ群の患者はウパダシチニブ、ウパダシチニブ群の患者はアダリムマブによる救済治療に切り替えた。切替えに際し休薬期間は設けなかった。低疾患活動性、臨床的寛解、疼痛および機能の改善により評価した有効性は、試験期間を通してウパダシチニブ群の方がアダリムマブ群より良好であった。また、X線検査で進行が認められなかった患者の割合は、ウパダシチニブ群の方がプラセボ群より高かった(いずれも無作為化された当初の投与群で評価)。救済治療に切り替えた患者では、アダリムマブからウパダシチニブに切り替えた患者の方が6ヵ月後にCDAI 10以下を達成した患者の割合が高かった。安全性の結果は、26週後、48週後ともに同様であった。アダリムマブまたはウパダシチニブの効果が不十分な患者は、休薬期間を置かずにもう一方の薬剤に切り替えることで、臨床的に意味のある効果を安全に達成することができた。

コメント
 最近は生物学的製剤の注射薬よりJAK阻害剤の経口投与が好まれている。このたび、JAK1阻害のウパダシチニブのRA患者の活動性、臨床データ、症状によりTNF-α阻害の生物学的製剤、アダリムマブとhead to headで効果の比較を行ったところ、48週間での観察であるが、わずかにウパダシチニブの方が効果が良いことが認められた。ただいずれかが効果不十分例については途中で交換した方が少し良いことが示された。今後JAK阻害剤が経口剤であることから、増加すると思われるが、細胞内に入って作用するため、他の生理的異常が生じるかどうか、慎重に観察すべきである。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
PudMed:
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