難病Update

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CAR-T療法CD22大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)

2021.05.26

CD22を標的とするCAR T細胞療法は、CD19を標的とするCARに不応の大細胞型B細胞リンパ腫患者の完全寛解を誘導する

CD22-directed CAR T-cell therapy induces complete remissions in CD19-directed CAR-refractory large B-cell lymphoma

John H Baird*, Matthew J Frank*, Juliana Craig*, Shabnum Patel, Jay Y Spiegel*, Bita Sahaf, Jean S Oak, Sheren F Younes, Michael G Ozawa, Eric Yang, Yasodha Natkunam, John Tamaresis, Zachary Ehlinger, Warren D Reynolds, Sally Arai*, Laura Johnston*, Robert Lowsky*, Everett Meyer*, Robert S Negrin*, Andrew R Rezvani*, Parveen Shiraz*, Surbhi Sidana*, Wen-Kai Weng*, Kara L Davis, Sneha Ramakrishna, Liora Schultz, Chelsea Mullins, Allison Jacob, Ilan Kirsch, Steven A Feldman, Crystal L Mackall*, David B Miklos*, Lori Muffl*

Division of Blood and Marrow Transplantation, Department of Medicine, Stanford University School of Medicine, Stanford, CA.

Blood. 2021 Apr 29;137(17):2321-2325. doi: 10.1182/blood.2020009432.

CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法(CAR19)後に増悪が認められた大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者の予後は不良である。第1相用量設定試験に組み入れられた自家CD19を標的としたCAR-T(CAR19)療法不応のLBCL患者3例に対し、CD22を標的とする自家CAR-T細胞(CAR22)(1×106 cell/kg)を単回投与した。CAR22療法の忍容性は相対的に良好であり、グレード3以上の非血液学的有害事象は観察されなかった。投与後、3例すべてが完全寛解を達成し、最終の追跡調査(平均7.8ヵ月、範囲6 - 9.3ヵ月)の時点で完全寛解は維持されていた。血中のCAR22細胞は3例すべてで有意に増加し(ピーク時の範囲、85.4 - 350 cell/L)、3ヵ月後以降も血液中で維持されていた。これに伴い画像上の奏効も投与後6ヵ月以降も持続した。またこの第1相試験ではさらに高用量のCAR22を投与する試験が実施中で、CAR19細胞療法不応症例におけるCAR22療法の役割が探索されている。

URL
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/33512414

コメント
大細胞型B細胞リンパ腫に対する治療としてはリツキシマブ(Rituximab)-CHOPが標準治療となっているが、不応例は存在する。再発・難治性の治療法としてCD19を標的とするCAR-T(CAR19)が本邦でも最近保健収載された。しかしCAR19不応例に対する有効な治療法は存在しなかった。本研究では標準治療、CAR19不応症例に対してCD22を標的としたCAR-T療法第1相試験の中間報告である。エントリー症例が3例と少数であるが、忍容性があり、完全寛解が3例とも得られたということで今後が期待される治療法と考えられる。

監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 癌ワクチン療法学寄付講座 寄附講座教授 坪井 昭博先生

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