難病Update

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ProtoKineticsUPDRSドラベ症候群歩行解析移行医療

2022.06.29

成人のドラベ症候群患者における歩行・運動異常の進行性悪化

Progressive Worsening of Gait and Motor Abnormalities in Older Adults With Dravet Syndrome

Arunan Selvarajah*, Carolina Gorodetsky*, Paula Marques*, Quratulain Zulfiqar Ali*, Anne T Berg*, Alfonso Fasano*, Danielle M Andrade*

*From the Institute of Medical Science, Faculty of Medicine (A.S., C.G., A.F., D.M.A.), and Division of Neurology, Department of Medicine (P.M., A.F., D.M.A.), University of Toronto; Adult Epilepsy Genetics Program, Department of Neurology, Krembil Research Institute (A.S., P.M., Q.Z.A., D.M.A.), and Krembil Brain Institute (C.G., A.F., D.M.A.), University Health Network, and Edmond J. Safra Program in Parkinson's Disease, Morton and Gloria Shulman Movement Disorders Clinic (C.G., A.F.), Toronto Western Hospital; Pediatric Neurology (C.G.), The Hospital for Sick Children, Toronto, Canada; Division of Neurology, Epilepsy Center (A.T.B.), Ann & Robert H. Lurie Children's Hospital of Chicago; and Department of Pediatrics (A.T.B.), Northwestern Feinberg School of Medicine, Chicago, IL.

Neurology.2022 Apr 31;22/e2210. doi: 10.1212/WNL.0000000000200341. Epub 2022 Apr 13.

 

研究の主要目的は、成人のドラベ症候群(Dravet syndrome:DS)患者の歩行・運動症状を調査することであった。この研究には、前向きに調査した1群が含まれ、6例(平均年齢32歳)をUnified Parkinson's Disease Rating Scale修正版(mUPDRS)を用いて2014年に調査し、2019年に再調査した。横断的調査群では、2014年に評価を受けていない患者にmUPDRSを用いた検査を行い、機器を用いた歩行解析(instrumental gait analysis:IGA)も行った。IGAは、センサーおよび矢状面と冠状面を撮影する2台のカメラを組み合わせた歩行マットを用いるProtoKineticsソフトウェアで行った。DS患者群17例(平均年齢31歳)を対象にIGAを行った。健康な81例(平均年齢62歳)を対照群とした。IGAおよびmUPDRSのデータについて、回帰分析を行った。

5年間の前向き評価を行った6例のうち5例に、歩行を含むパーキンソン様症状の悪化がみられた。対象者数を増やして行ったmUPDRSの横断的解析では、椅子からの立ち上がり(P=0.04)、身体の運動緩慢(P=0.01)、および歩行(P=0.0003)のスコア悪化に加齢との正の関連が示された。IGAの横断的調査群では、17例のDS患者全例に、検査した領域すべてにおいて歩行の測定値の異常がみられ、健康で年齢層の高い対照群よりも悪かった。

URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35418450/

コメント

てんかんは、全般てんかん、部分てんかんの2群に分類され、さらにそれぞれ特発性、症候性に分けられ、4群に分類するのが一般的である。症候性全般てんかん群は、てんかん性脳症と呼ばれ、本報告のDSはその1疾患である。難病情報センターの概要を引用すると、「1歳未満に発症し、全身強直間代発作や半身性間代発作を繰り返し、発熱誘発けいれん、けいれん重積を伴いやすい。1歳を過ぎると発達遅滞や運動失調が出現する。ミオクロニー発作や欠神発作を伴うこともある。原因としてSCN1A遺伝子の異常を高率に認める。薬物治療に抵抗性という特徴をもつが、てんかん治療の進歩で、けいれん重積の減少、各種てんかん発作の減少を期待できるようになった。」そして、主に成人を扱う神経内科医も、移行医療の考え方の導入も加わり、今後、成人に到達したDSを経験することが多くなることが予想される。

本報告で、成人DS患者では、運動症状と歩行は加齢に伴って進行性に悪化することが前向き横断研究で示された。加齢に伴っての歩行の増悪は、変性疾患であるパーキンソン病でも経験するところであるが、DS診療においても念頭に置くことの必要性を指摘した論文であり、明日からの臨床に役立つと考えられ取り上げた。

監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生

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