難病Update

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IBM封入体筋炎縁取り空胞臨床的多様性表現型

2023.04.26

封入体筋炎患者の臨床サブグループおよび進行に関連する要因

Clinical Subgroups and Factors Associated With Progression in Patients With Inclusion Body Myositis

Elizabeth Harlan Michelle*, Iago Pinal-Fernandez*, Maria Casal-Dominguez*, Jemima Albayda*, Julie J Paik*, Eleni Tiniakou*, Brittany Adler*, Christopher A Mecoli*, Sonye K Danoff*, Lisa Christopher-Stine*, Andrew L Mammen*, Thomas E Lloyd

*From the Departments of Neurology (E.H.M., I.P.-F., M.C.-D., A.L.M., T.E.L.), and Medicine (J.A., J.J.P., E.T., B.A., C.A.M., S.K.D., L.C.-S.), Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD; Muscle Disease Unit (I.P.-F., M.C.-D., A.L.M.), Laboratory of Muscle Stem Cells and Gene Regulation, National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases, National Institutes of Health, Bethesda, MD; and Faculty of Health Sciences and Faculty of Computer Science (I.P.-F.), Multimedia and Telecommunications, Universitat Oberta de Catalunya, Barcelona, Spain.

Neurology. 2023 Mar 28;100(13):e1406-e1417.

doi: 10.1212/WNL.0000000000206777. Epub 2023 Jan 23.

孤発性の封入体筋炎(IBM)は、多くの治療法が検討されているものの、概して効果に乏しく、臨床的多様性が治療への反応に影響すると考えられる。この研究の目的は、大規模なIBMコホートにおける臨床的に異なるサブグループの特定、および疾患進行の予後規定因子の特定である。2003-18年にJohns Hopkins Myositis Centerの縦断的コホートに登録されたIBM患者を対象にした。Griggs基準などを満たす場合に組み入れ、単変量解析、多変量解析、およびグラフ解析を用いてIBM患者の予後規定因子を特定し、修正不能な危険因子(性別、人種、罹病期間、最初の症状が現れた年齢)を回帰分析の調整共変量として用いた。

IBMの組入れ基準を満たした335例のうち64%が男性で、平均発症年齢は58.7歳、診断までの期間は5.2年であった。黒人患者は、腕の外転筋、股関節の屈曲筋、および膝関節の屈曲筋がほかの人種よりも有意に弱かった。女性は、指の屈曲筋および膝の伸筋が男性よりも強かった。若年(50歳未満)での発症に筋力低下の増大との関連は認められなかった。

URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36690456/

コメント

孤発性のIBMは主に50歳以上で発症する慢性の経過をとる筋疾患の一つで、筋萎縮の部位が比較的特異的で、大腿部は大腿四頭筋、手指筋は屈筋群の筋肉が萎縮し、筋力が低下するため、階段が登りにくい、指先で物がつまみにくいと言ったような症状で発症する。骨格筋には縁取り空胞と呼ばれる特徴的な封入体が見られ、名前の由来になっている。これら比較的特異的な臨床像に比べ、ステロイドの治療に反応しないことが多いこと、治療法は確立されていないことなど、臨床的多様性を示唆する報告も多い。今回の論文はIBMの多様性を解析し、女性患者および黒人患者の臨床表現型および軌跡がほかとは異なることを示していた。また、これらのサブグループは治療への反応が異なる可能性も指摘していた。遺伝的背景の相違などによる表現型の多様性への示唆は、IBMにおける今後の、より病態修飾的治療法開発から臨床試験へのデザインに影響を及ぼす論文と考えられ取り上げた。

監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生

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