難病Update

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ミリキズマブ抗インターロイキン23抗体(抗IL-23抗体)潰瘍性大腸炎

2023.07.26

潰瘍性大腸炎に対する導入療法および維持療法としてのミリキズマブ

Mirikizumab as Induction and Maintenance Therapy for Ulcerative Colitis

Geert D'Haens*, Marla Dubinsky*, Taku Kobayashi*, Peter M Irving*, Stefanie Howaldt*, Juris Pokrotnieks*, Kathryn Krueger*, Janelle Laskowski*, Xingyuan Li*, Trevor Lissoos*, Joe Milata*, Nathan Morris*, Vipin Arora*, Catherine Milch*, William Sandborn*, Bruce E Sands*; LUCENT Study Group

*From the Department of Gastroenterology and Hepatology, Amsterdam University Medical Centers, Amsterdam (G.D.); Dr. Henry D. Janowitz Division of Gastroenterology, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, New York (M.D., B.E.S.); the Center for Advanced IBD Research and Treatment, Kitasato University, Kitasato Institute Hospital, Tokyo (T.K.); Guy's Hospital, St. Thomas' Hospital, and the School of Immunology and Microbial Sciences, King's College London - all in London (P.M.I.); Research Institute for IBD-HaFCED, Hamburg, Germany (S.H.); Riga Stradins University, Riga, Latvia (J.P.); Eli Lilly, Indianapolis (K.K., J.L., X.L., T.L., J.M., N.M., V.A., C.M.); and the University of California San Diego, La Jolla (W.S.).

N Engl J Med. 2023 Jun 29;388(26):2444-2455. doi: 10.1056/NEJMoa2207940.

インターロイキン23のp19サブユニットを標的とする抗インターロイキン23抗体ミリキズマブは、第2相試験で潰瘍性大腸炎の治療における有効性を示した。中等症 - 重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する成人を対象として、ミリキズマブの第3相ランダム(無作為化)二重盲検プラセボ対照試験を2件行った。導入療法試験では、患者をミリキズマブ群(300 mg)とプラセボ群に3:1の割合で無作為に割り付け、4週ごとに12週間静脈内投与した。維持療法試験では、ミリキズマブ導入療法に反応した患者を、ミリキズマブ群(200 mg)とプラセボ群に2:1の割合で無作為に割り付け、4週ごとに40週間皮下投与した。主要エンドポイントは、導入療法試験の12週の時点と維持療法試験の40週(全体の52週)の時点での臨床的寛解とした。重要な副次的エンドポイントは、臨床的反応、内視鏡的寛解、便意切迫の改善などとした。導入療法試験で反応しなかった患者は、維持療法試験の最初の12週間に、延長導入療法としてミリキズマブの非盲検投与を受けてもよいこととした。安全性も評価した。

導入療法試験では1,281例が無作為化され、ミリキズマブに反応した544例が維持療法試験で再び無作為化された。臨床的寛解が得られた患者の割合は、導入療法試験の12週の時点(24.2% 対 13.3%、P<0.001)と維持療法試験の40週の時点(49.9% 対25.1%、P<0.001)で、ミリキズマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に高かった。いずれの試験でも、すべての重要な副次的エンドポイントの基準が満たされた。鼻咽頭炎と関節痛の有害事象の発現頻度は、ミリキズマブ群のほうがプラセボ群よりも高かった。2試験の対照期と非対照期(非盲検延長導入療法期と非盲検維持療法期を含む)にミリキズマブが投与された1,217例のうち、15例に日和見感染(6例の帯状疱疹感染を含む)、8例に癌(3例の大腸癌を含む)が発現した。導入療法試験でプラセボが投与された患者のうち、1例に帯状疱疹感染が発現し、癌が発現した患者はいなかった。中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎患者において、ミリキズマブは、プラセボよりも臨床的寛解の導入と維持における有効性が高かった。日和見感染と癌は、ミリキズマブ群の少数の患者に発現した。(イーライリリー社から研究助成を受けた。LUCENT-1試験:ClinicalTrials.gov登録番号NCT03518086、LUCENT-2試験:ClinicalTrials.gov登録番号NCT03524092)

URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37379135/

コメント

潰瘍性大腸炎はクローン病とならんで難病に指定されている炎症性腸疾患であり、既存治療でコントロールできない症例に対して有効な治療が望まれている。本研究ではIL-23に対する抗体であるミリキズマブとプラセボ製剤を比較するランダム化ダブルブラインドの第3相試験が実施された。

IL-23はp40とp19の二つのサブユニットからなる炎症誘発性サイトカインで、ミリキズマブはp19に特異的に結合するヒト化IgG4タイプのモノクローナル抗体である。他のIL-23に対する抗体療法(グセルクマブ)は乾癬、掌蹠膿疱症を適応疾患としてすでに発売されている。IL-23抗体薬は難治性の炎症疾患の治療薬として注目されている。

潰瘍性大腸炎に対してミリキズマブ投与群はプラセボ群と比較して有効性が高く、安全性についても許容範囲のレベルに思われる。今後FDAや日本で薬事承認されるのか注目していきたい。

監訳・コメント:大阪大学大学院 医学系研究科 癌ワクチン療法学寄附講座 招へい教授 坪井 昭博先生

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