難病Update

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IgG4関連疾患monoclonal antibodyObexelimab全身性線維炎症性疾患

2023.08.28

IgG4関連疾患患者治療薬オベキセリマブの安全性、有効性、作用機序の評価:非盲検単群単一施設の第2相予備試験

Evaluation of the safety, efficacy, and mechanism of action of obexelimab for the treatment of patients with IgG4-related disease: an open-label, single-arm, single centre, phase 2 pilot trial

Cory A Perugino*, Zachary S Wallace*, Debra J Zack, Shauna M Quinn, Allen Poma, Ana D Fernandes*, Paul Foster, Steve DeMattos, Bart Burington, Hang Liu, Hugues Allard-Chamard, Nathan Smith, Xin Kai, Kelly Xing, Shiv Pillai, John H Stone*

*Division of Rheumatology, Allergy and Immunology, Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA, USA

Lancet Rheumatol 2023; 5: e442–50

血液中のIgG4が異常に上昇し、全身の臓器にIgG4産生細胞などが浸潤して腫れる原因不明の疾患としてIgG4関連疾患がある。それに対して免疫細胞がIgG4をつくることを阻害する治療薬としてヒト化モノクローナル抗体を使ったオベキセリマブ(obexelimab)が開発された。オベキセリマブについて、米国のマサチューセッツ総合病院において、2016年2月24日 - 2016年12月21日の間に登録された15例のIgG4関連疾患患者に対して非盲検単群の第2相予備試験を行った。患者の年齢中央値63歳、男性10例(67%)、女性5例(33%)、白人12例(80%)であった。対象患者は、年齢18 - 80歳の患者で、IgG4関連疾患レスポンダー指標スコア3以上の者を適格者とした。グルココルチコイドの使用患者は登録後2カ月間の使用中止後投与した。治療効果は、169日目時点で指標スコアがベースラインから2以上低下で評価した。有害事象は、有害事象共通用語基準評価スケール(4.3版)に従い5段階のスケールで評価した。探索検査として、B細胞CD19受容体占有率、形質芽細胞、フローサイトメトリーによるB細胞およびCD4+細胞傷害性T細胞の合計、ネフェロメトリーによる免疫グロブリン濃度の測定を行った。対象患者に対し、オベキセリマブ5 mg/kgを2週間間隔で24週間静脈内投与を行った。

その結果、15例中12例(80%)の患者の血清IgG4濃度の中央値が220 mg/dL(124 - 441)に上昇した。IgG4関連疾患レスポンダー指標スコアの中央値は12(7 - 13)であった。治療効果は15例中12例(80%)にあると判定された。何らかの治療反応が14例(93%)に認められた。追跡できた患者は最終投与42日以内に血清B細胞はベースライン濃度が75%まで回復した。有害事象は15例中13例(87%)に認められたが、治験中止の者は1例のみであった。つまり、オベキセリマブは異常なB細胞をリンパ器官または骨髄に隔離する作用があると示唆された。本研究の結果は、IgG4関連疾患に対する治療薬としてオベキセリマブの開発の継続を支持するものであった。

 

URL

https://www.thelancet.com/journals/lanrhe/article/PIIS2665-9913(23)00157-1/fulltext

コメント

IgG4関連疾患は全身の臓器にIgG4を作る形質細胞などが浸潤して腫れる原因不明の疾患である。IgG4関連疾患に対する治療薬としてグルココルチコイドが推奨されているが、副作用があり、減量または中止すると再燃する。他の免疫抑制剤についても継続した有効性を示すものがない。オベキセリマブは、B細胞限定表面タンパク質であるCD19と阻害性受容体FcγRIIbの両方に選択的に結合してB細胞活性を制御する新規のモノクローナル抗体を使った薬剤である。本研究はオベキセリマブの第2相試験で、24週間の治療により大幅な改善がみられ、中には完全寛解した者もいた。IgG4関連疾患に対する治療薬としてオベキセリマブの臨床開発研究を進める必要があることを裏付けるものであった。今後、その他の免疫介在性疾患に対する治療の薬剤研究につながるものである。

監訳・コメント:関西大学大学院 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生

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