難病Update

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コホート研究ハザード比発症リスク筋萎縮性側索硬化症観察研究

2024.07.30

身体活動、フィットネスと筋萎縮性側索硬化症の長期リスク 前向きコホート研究

Physical Activity, Fitness, and Long-Term Risk of Amyotrophic Lateral Sclerosis A Prospective Cohort Study

Anders M Vaage*, Haakon E Meyer*, Ida K Landgraff*, Marius Myrstad*, Trygve Holmøy*, Ola Nakken*


*From the Department of Neurology (A.M.V., T.H., O.N.), Akershus University Hospital, Lørenskog; Institute of Clinical Medicine (A.M.V., T.H.), University of Oslo; Department of Physical Health and Ageing (H.E.M.), Norwegian Institute of Public Health, Oslo; Department of Community Medicine and Global Health (H.E.M.), University of Oslo; and Department of Internal Medicine (I.K.L., M.M.), and Department of Medical Research (M.M.), Bærum Hospital, Vestre Viken Hospital Trust, Gjettum, Norway.


Neurology. 2024 Jul 23;103(2):e209575. doi: 10.1212/WNL.0000000000209575. Epub 2024 Jun 26.

 

様々なスポーツにおいて、プロ選手は筋萎縮性側索硬化症(ALS)のリスクが高いことが観察研究で示されている。コホート研究を通じて、身体活動および体力の指標(自己報告による身体活動および安静時心拍数)とALSの長期リスクとの関連を評価することを目的とした。ノルウェーの大規模な心血管健康調査(1985 - 99年)から、自己報告による余暇時間の身体活動、安静時心拍数、その他の心血管危険因子に関する情報を収集した。国民全員を対象とする健康レジストリからALS患者を特定した。比例ハザードモデルを当てはめ、自己報告による身体活動の水準を3つのカテゴリー(1:座りがちでほとんど体を動かさない、2:ウォーキングまたはサイクリングを最低4時間/週、3:娯楽的なスポーツまたはきついトレーニングを最低4時間/週)に分けてALSリスクを評価し、安静時心拍数を連続尺度と分布の四分位数の両方でモデル化した。


研究参加者373,696例(組入れ時平均40.9[SD 1.1]歳)のうち504例(女性41.2%)が、平均27.2(SD 5.0)年の追跡期間中にALSを発症した。身体活動が最低の水準の参加者と比較して、最高の水準の参加者のハザード比は0.71(95%CI 0.53 - 0.95)であった。男性のALSのハザード比は、身体活動を低水準と報告した人との比較で、中水準と報告した人では0.71(95%CI 0.53 - 0.95)、高水準と報告した人では0.59(95%CI 0.42 - 0.84)であった。


URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38924713/

コメント

サッカーやアメリカンフットボールなど、過激なスポーツは、ALSに罹患しやすく、寿命を縮めるという報告が散見される。原因も様々に推測されているが、明らかではない。今回の報告は、ノルウェーの全国規模でのコホート研究を通じて、身体活動および体力の指標(自己報告による身体活動および安静時心拍数)とALSの長期リスクとの関連を解析したものである。高水準の身体活動および体力を示す指標は、男性では30年以上経過後のALSリスクの低下と関連するが、女性では関連はみられなかった。逆は、必ずしも真ならずだが、十分な体力のある場合は、むしろALSの発症は少ないことが判明した。スポーツ家にとり、不安を払拭する報告と考えられ、取り上げた。



監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生

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