難病Update

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BiTECD19xCD3 BiTEs二重特異性T細胞誘導関節リウマチ

2024.07.30

難治性関節リウマチに対する二重特異性T細胞誘導療法

Bispecific T cell engager therapy for refractory rheumatoid arthritis

Laura Bucci*, Melanie Hagen*, Tobias Rothe*, Maria Gabriella Raimondo*, Filippo Fagni*, Carlo Tur*, Andreas Wirsching*, Jochen Wacker*, Artur Wilhelm*, Jean-Philippe Auger*, Milena Pachowsky*, Markus Eckstein, Stefano Alivernini, Angelo Zoli, Gerhard Krönke*, Stefan Uderhardt*, Aline Bozec*, Maria-Antonietta D’Agostino, Georg Schett* & Ricardo Grieshaber-Bouyer *

 

*Department of Internal Medicine 3—Rheumatology and Immunology, Friedrich-Alexander-Universität Erlangen-Nürnberg and Universitätsklinikum Erlangen, Erlangen, Germany.

 

Nat Med. 2024 Jun;30(6):1593-1601. doi: 10.1038/s41591-024-02964-1. Epub 2024 Apr 26.

 

関節リウマチ(RA)は自己免疫性炎症疾患であり、RAの病理発生にはB細胞が密接に関与していることが示されている。RA治療は近年大幅に進歩してきたが、それでも治療効果が得られない患者がいる。こうした多剤抵抗性RAに対して、T細胞の活性化によりB細胞を傷害する二重特異性T細胞誘導(BiTE)が有望と考えられる。

 

本研究では、多剤抵抗性RA患者6例に対して、CD19CD3の両方を標的とするBiTEであるブリナツモマブにより治療を行った。ブリナツモマブはB細胞性急性リンパ性白血病を適応として承認されているが、本研究では非悪性疾患に対する初の使用であるため低用量を用いた。

 

低用量のブリナツモマブはB細胞枯渇と同時にT細胞減少を誘導し、同薬のエンゲ―ジャー機能が確認された。初回投与時に一過性の体温および急性期タンパク質の上昇がみられたが、臨床的に重要なサイトカイン症候群の徴候は認められず安全に施行された。ブリナツモマブにより、全患者でRAの臨床的活動性が速やかに低下し、超音波検査およびFAPI-PET-CT上で滑膜炎が改善し、自己抗体価が低下した。B細胞の高次元フローサイトメトリー解析から、活性化メモリーB細胞の枯渇を伴う免疫リセットが示され、これに対して非クラススイッチIgD陽性ナイーブB細胞の発現が認められた。

 

以上の結果を併せ考えると、RA治療におけるBiTE療法の実施可能性と効果が示唆される。BiTE療法について、他のB細胞介在自己免疫疾患に対するさらなる研究が必要である。

 

URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38671240/

コメント

白血病、リンパ腫、骨髄腫などの血液腫瘍を対象して研究・開発が進んできたBiTEであるが、自己抗体が発病に大きく関与する自己免疫疾患に対してCD19xCD3 BiTEsを用いて自己抗体産生細胞(CD19陽性B細胞、プラズマ細胞)を駆逐することで自己免疫疾患を治そうというアプローチである。本研究は難治性の関節リウマチ6名を対象としたパイロットスタディである。メモリーB細胞が駆逐される一方ナイーブB細胞が残ることでB細胞の再構築が示唆された。安全面で大きな問題が起きておらず臨床効果も出ており今後に期待がもてる結果が得られている。症例数を増やしたPhase I/II治験を期待したい。

 

また今回は関節リウマチが対象であったが他の自己免疫疾患を対象とした場合どうなのかも気になる所である。

 

監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 癌ワクチン療法学寄附講座 招へい教授 坪井 昭博先生

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