2025.08.28
乾癬性関節炎および体軸性脊椎関節炎に対するTNF阻害薬の目標達成漸減治療法の24ヵ月間の有効性評価:DRESS-PS試験の延長研究
Effectiveness of treat-to-target tapering of TNF inhibitors for psoriatic arthritis and axial spondyloarthritis in the Netherlands: 24-month follow-up of the DRESS-PS trial
Amy C D Peeters*, Celia A J Michielsens, Elien A M Mahler, Lise M Verhoef, Alfons A den Broeder, Nathan den Broeder, Noortje van Herwaarden
* Department of Rheumatology, Sint Maartenskliniek, Ubbergen, Netherlands. Electronic address: a.peeters@maartensklniek.nl.
Lancet Rheumatol. 2025 Sep;7(9):e642-e651. doi: 10.1016/S2665-9913(25)00070-0. Epub 2025 Jul 24.
DRESS-PS試験の乾癬性関節炎および体軸性脊椎関節炎患者に対するTNF阻害薬の目標達成漸減治療法は12ヵ月時点では治療効果が通常同一用量治療と比べて劣っていないことが示されている。本研究は、その対象者に対して観察期間を24ヵ月間に延長して評価したものである。研究の対象患者は、オランダのナイメーヘンおよびウールデンの病院(Sint Maartenskliniek)のDRESS-PS試験の参加者である。対象患者は乾癬性関節炎または体軸性脊椎関節炎の患者で、6ヵ月以上の間疾患活動性が安定している16歳以上の者としている。この患者を「目標達成漸減治療(treat-to-target tapering strategy)を行う介入群」と「漸減しない通常治療の対照群」の2群に無作為に割り付けた。介入群ではTNF阻害薬の1日投与量を100%、66%、50%、0%と計画的に漸減した。治療は医師と患者の両者の意思を確認して行った。主要アウトカムは24ヵ月時点の疾患活動性低下割合の差とし、これを無作為化時の層別化因子で補正して評価した。研究期間は2020年1月8日 - 2022年10月10日であった。DRESS-PS試験参加者122例中の114例が参加した。介入群79例(乾癬性関節炎40例、体軸性脊椎関節炎39例)、対照群35例(乾癬性関節炎18例、体軸性脊椎関節炎17例)、平均年齢は50.0歳(SD 14.5)、男性70例(61%)、女性44例(39%)であった。24ヵ月時点の低活動性者の割合は介入群67%(67例中45例)、対照群72%(32例中23例)であった。補正差は5%(95%CI:-15 - 24、p=0.64)であった。欠測データを補正すると差は2%(95%CI:-18 - 16、p=0.85)となった。期間中に1件以上の有害事象があった者の割合は介入群の79例中78例(99%)、対照群の35例中31例(89%)であった(95%CI:-1 - 21、p=0.060)。重要な有害事象(感染症および注入部位反応)については群間に有意差を認めなかった。つまり、TNF阻害薬のプロトコールに基づく漸減治療法はいずれの疾患に対しても24ヵ月の間活動性を低く維持し、効果も変わらず、安全であった。
URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40716447/
コメント:
本研究は乾癬性関節炎および体軸性脊椎関節炎患者に対するTNF阻害薬の目標達成漸減治療法(Treat-to-target tapering)の群(介入群)と通常の治療法の群(対照群)との間の治療効果を24ヵ月間観察し、両群で有意差を認めなかったとしている。TNF阻害薬の量は介入群の方が少なかった。TNF阻害薬の目標達成漸減治療法でも疾患活動性を低い状態に維持することが可能で、また最適量を決めることも可能であり、さらに効果的で安全な方法であると結論づけている。
監訳・コメント:関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生