難病Update

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デスミノパチー筋原線維性ミオパチー表現型遺伝子型

2025.12.25

筋原線維性ミオパチーおよびMFM関連遺伝子に関連するミオパチーの自然経過および表現型のスペクトラム

Natural History and Phenotypic Spectrum of Myofibrillar Myopathies and Myopathies Associated With MFM-Related Genes

Thapat Wannarong*, Margherita Milone, Duygu Selcen, P James B Dyck, Teerin Liewluck

*Department of Neurology, Mayo Clinic, Rochester, MN

Neurology. 2025 Nov 25;105(10):e214255. doi: 10.1212/WNL.0000000000214255. Epub 2025 Nov 3.

 

筋原線維性ミオパチー(MFM)は、病理学的に定義されているが遺伝子的には多様なミオパチーである。MFMおよびMFM関連遺伝子に関連するミオパチーの自然経過は十分に明らかにされてはいない。1993年1月から2024年3月までにMayo Clinicで評価された患者のうち、病理学的にMFMと確認されたか、MFM関連遺伝子に関連するミオパチーを有する患者を後ろ向きにレビューした。

80例が同定され、そのうち56例について遺伝子の特徴が明らかになった(DES 23例、MYOT 10例、LDB3 9例、FLNC 2例、BAG3 2例、CRYAB 2例、FHL1 1例、その他7例)。生検を受けた65例のうち60例で筋原線維に病理が認められた。症状発現時の年齢の中央値は42.3歳(四分位範囲[IQR]20.2 - 57.0)であり、66例が筋症状での発症、14例が心症状での発症であった。46例が歩行補助具が必要になり(発症後中央値10.0年)、17例が車いす生活になった(発症後中央値19.0年)。60歳までに、デスミノパチーの患者では67%が歩行補助具が必要になり、31%が車いす生活になった。デスミノパチーの患者では、心臓障害がより早期かつ高率にみられた(P<0.001)。

URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41183253/

コメント

世界の筋肉病学をリードしてきたMayo Clinicからの論文である。MFMは筋線維の遺伝子異常による病理学的に定義された筋疾患である。遺伝子の多様性に基づき、骨格筋や心筋に存在するデスミン異常によるデスミン関連ミオパチーなど、今回提示されたように多種存在する。さらに、それぞれが実際の形質として現れる(表現型)には、生活環境や食生活などの外的要因が関わってくるため、同じ遺伝子型を持っていても、人によって異なる特徴が表れる。今回、示されたデスミノパチーでは心臓症状の出現時期および歩行補助具を必要とする時期が早く、心臓呼吸器障害の頻度が高いことが判明した。筆者らが述べているように、表現型の多様性を考えると、患者管理と予後評価において遺伝子診断は極めて重要である。教育的に高価値の論文であり、取り上げた。

監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生

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