
2026.01.28
高脂肪乳製品および低脂肪乳製品の摂取と認知症の長期リスク:25年間の前向きコホート研究から得られたエビデンス
High- and Low-Fat Dairy Consumption and Long-Term Risk of Dementia Evidence From a 25-Year Prospective Cohort Study
Yufeng Du*, Yan Borné, Jessica Samuelsson, Isabelle Glans, Xiaobin Hu*, Katarina Nägga, Sebastian Palmqvist, Oskar Hansson, Emily Sonestedt
*Department of Epidemiology and Statistics, School of Public Health, Lanzhou University, Gansu, China.
Neurology. 2026 Jan 27;106(2):e214343. doi: 10.1212/WNL.0000000000214343. Epub 2025 Dec 17.
乳製品の摂取と認知症リスクとの関連は、とくに脂肪含量の異なる乳製品に関して、依然として明らかになっていない。本研究の目的は、高脂肪乳製品および低脂肪乳製品の摂取と認知症リスクとの関連を検討することである。本研究では、スウェーデンの前向きコホートで、ベースライン時(1991 - 96年)に食事評価を受けた地域住民で構成されたMalmö Diet and Cancerコホートのデータを用いた。本研究の主要転帰は原因を問わない認知症とし、副次的転帰はアルツハイマー病(AD)および血管性認知症(VaD)とした。Cox比例ハザード回帰モデルを用いてハザード比(HR)と95%CIを推定した。
27,670例(ベースラインの平均年齢58.1歳、SD 7.6、女性61%)が本研究に組み入れられた。中央値で25年の追跡期間中、認知症の新規発症が3,208例記録された。高脂肪チーズ(脂肪20%超)を50 g/日以上摂取していた場合、摂取量が比較的少なかった場合(15 g/日未満)と比較して原因を問わない認知症(HR 0.87、95%CI 0.78 - 0.97)およびVaD(HR 0.71、95%CI 0.52 - 0.96)のリスクが低いことと関連していた。APOEε4非保有者では、高脂肪チーズとADとのあいだに逆相関が認められた(HR 0.87、95%CI 0.76 - 0.99、p-interaction=0.014)。高脂肪クリーム(脂肪30%超)を20 g/日以上摂取していた人は、摂取なしの人と比較して原因を問わない認知症のリスクが16%低かった(HR 0.84、95%CI 0.72 - 0.98)。高脂肪クリームの摂取には、ADおよびVaDのリスクと逆相関が認められた。
URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41406402/
コメント
USAのオバマ元大統領が、2015年米国一般教書演説でprecision medicine initiativeを提唱した。すなわち、これまでの治療法の多くは「平均的な患者(average patient)」向けにデザインされてきたが、これからは、遺伝子、環境、ライフスタイルに関する個人ごとの違いを考慮した予防や治療法の確立が必要であるとした。ライフスタイルの代表の食事は予防や治療法に最も関係すると個人的には考えているが、今回も、高脂肪チーズおよび高脂肪クリームの摂取量が多いことは、原因を問わない認知症のリスクが低いことと関連していた。これに対し、低脂肪チーズ、低脂肪クリーム、その他の乳製品には有意な関連は認められなかったなど、著者らが指摘するように、関係を明らかにすることには限界があった。しかし、食事を含めライフスタイルの、個別的治療・予防の考え方の重要性を指摘する内容であり、興味があり取り上げた。
監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生