難病Update

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Long CovidSARS-CoV-2SubtypeSystematic reviewサブタイプロングCOVID

2026.01.28

COVID-19によるLong COVID(罹患後の長期症状)のサブタイプの検討:システマティックレビュー

Identifying subtypes of Long COVID: a systematic review

Bingyi Wang*, Xufei Luo*, Meihua Wu, Zijun Wang*, Jie Zhang*, Zijing Wang, Qianling Shi, Jiayi Liu, Wenhao Cao, Xiaoying Gu, Yaolong Chen*, Bin Cao, and Janne Estill*

 

*Evidence-Based Medicine Center, School of Basic Medical Sciences, Lanzhou University, Lanzhou, Gansu, 730000, China.

 

eClinicalMedicine 2025 Dec 18:91:103705. doi: 10.1016/j.eclinm.2025.103705. eCollection 2026 Jan.

 

SARS-CoV-2感染後、長期にわたり多臓器に多様な症状が持続することがある。これがLong COVIDである。その治療管理には症状の分類やクラスター化を行い、病態生理学的メカニズムを解明する必要がある。本研究は、PubMed、Embase、Web of Science、Google Scholarの論文データベースを用いて、PRISMAガイドラインにより関連する論文を抽出した。2025年1月21日までの系統的検索を行い、さらに2025年10月1日までのものを再検索した。適格な研究かどうかデータ抽出と品質の評価を行い、また個々の症状のクラスターの決定要因の探索的解析を実施した。対象研究としたコホート研究は47件、横断研究は17件であり、患者数は20ヵ国にまたがる243万人であった。コホート研究の質の評価得点(Newcastle–Ottawaスケールスコア平均:7.5/9)は高かった。横断研究の評価得点は中程度(Joanna Briggs Instituteツールスコア平均:0.61/1.00)であった。症状については、症状の共存に関するもの30件(46.9%)、臓器系の症状に関するもの16件(25.0%)、重症度分類に関するもの9件(14.1%)、臨床指標に関するもの3件(4.7%)、その他の分類の方法に関するもの6件(9.4%)に分類された。症状併存研究の30件において併記が最も多かった症状は「疲労」であった(15件)。ペアワイズ共起分析により高頻度の病態は、嗅覚障害-味覚障害(10回)、不安-抑うつ(10回)、関節痛・腫脹・筋痛(9回)であった。「疲労」はどの病態にも重複したコア症状であり、関節痛・腫脹(9回)、筋痛(7回)、認知症状(7回)、呼吸困難(7回)に高頻度で併存していた。

 

臓器系に基づくサブタイプの結果では呼吸器症状クラスタープールの割合が最も高く47%(95%CI:29 - 65)、次いで神経系31%(3- 60)、消化器系クラスター28%(0 - 57)であった。16の臓器系のサブタイプ分類に関する患者の症状クラスターの割合は一般人口集団における症状クラスターの有病率を示したものとは言えない。探索的解析による症状のサブタイプは、性別、年齢、ウイルスの変異、併存疾患などによる影響があった。本研究によりLong COVIDの患者の症状を分類する4つの主要なアプローチ法が特定することができた。「症状の共存」と「臓器系」の分類が最も一般的に用いられているサブタイプであった。「疲労」と「嗅覚・味覚障害」は複数のサブタイプに共通して繰り返し出現する中核症状であった。

 

本研究は、K. C. Wong Education Foundation, Hong Kong、Chinese Academy of Medical Sciences Innovation Fund for Medical Sciences(2024-I2M-ZD-011)、Beijing Nova Program(20240484523)、Elite Medical Professionals Project of China–Japan Friendship Hospital(NO. ZRJY2024-GG03)、National High Level Hospital Clinical Research Fundingから支援を受けた。

 

URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41509610/

 

コメント:

COVID-19の患者の中にはLong COVIDの症状に苦しんでいる者がいる。本研究は、システマティックレビューにより患者の症状を分類し、クラスター化し、包括的、統合的にその症状の分析を試みたものである。「疲労」が中核的症状であったが、症状は臓器系の呼吸器系、神経系、消化器系など多臓器性であった。患者の治療にはサブタイプを行い、特異的介入検証研究が必要である。各症状に共通する病態生理学的メカニズムがあるのかの検討も必要である。分類の標準化やマルチオミクスデータの統合を行うことにより根本メカニズムの解明やプレシジョン・メディシンの進展につなげていけるかもしれない。

 

監訳・コメント:関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生

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