
2026.01.28
CD27刺激は抗腫瘍免疫に重要な長期生存CD4 T細胞のワクチン応答を亢進させる
CD27 agonism enhances long-lived CD4 T cell vaccine responses critical for antitumor immunity
Bin-Jin Hwang*, Erika J Crosby*, David T Severson*, Timothy N Trotter*, Jason McBane*, Li-Chung Tsao*, Tao Wang*, Cong-Xiao Liu*, Xiao-Yi Yang*, Gangjun Lei*, Junping Wei*, Xingru Ma*, Bushanqing Liu*, Amy Hobeika*, Michael Morse, Jesuchristopher Joseph*, Ethan Agritelley, Elishama Kanu*, Karrie Comatas*, Tibor Keler, Li-Zhen He, Herbert Kim Lyerly*, Zachary C Hartman*
1Department of Surgery, Duke University, Durham, NC, USA.
Sci Immunol. 2025 Dec 19;10(114):eadz2294. doi: 10.1126/sciimmunol.adz2294. Epub 2025 Dec 19.
腫瘍抗原に対するワクチンはがんの治療アプローチとして魅力的だが、現在のところがんの標準治療として実現はしていない。ワクチンの長期での有効性を調べるため、我々はヒト上皮細胞増殖因子受容体2(human epidermal growth receptor 2:HER2)陽性乳がん患者でHER2標的ワクチンを投与され、かつ18年を超えて生存した患者について後ろ向き分析を行った。PBMC分析により、HER2特異的なCD27陽性CD4およびCD8 T細胞の存在が明らかになり、CD27シグナリングが長期的な免疫記憶を支えている可能性が示唆された。ヒトCD27トランスジェニックマウスにおいて、HER2ワクチンを抗CD27刺激とともに投与するとHER2特異的な応答が亢進し、とくに長期生存するCD4メモリーT細胞の応答が亢進した。マウスモデルにおいてワクチン単独投与が最大6%の腫瘍縮小を示したのに対し、この併用療法は最大40%の腫瘍縮小を示した。追加のシングルセルRNA-seq解析を実施したところ、特有の遺伝子発現プロファイルを有するCD4 T細胞が特定され、depletion実験およびadoptive transfer実験によりCD4 T細胞が上記の効果に不可欠であることが示された。以上の知見は、CD27刺激がワクチン誘発性の抗原特異的なCD4 T細胞応答を促進し、CD8 T細胞のみに依存しない持続可能な抗腫瘍免疫を可能にしていることを示唆する。
URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41417923/
コメント
チェックポイント阻害剤の登場により腫瘍免疫ががん治療の前線に組み込まれてきた。一方、その登場以前から開発が進められていたがん特異的抗原を標的とした免疫療法については期待されたほどの効果をあげられずにいる。本研究ではHER-2ペプチドをパルスしたDC(DCワクチン)を用いた進行乳がんを対象とした臨床試験でロングサバイバーとHER2特異的CD27陽性メモリーT細胞に相関があることを示した。またマウスモデルではあるがCD27アゴニストと腫瘍抗原ワクチンの併用は強い抗腫瘍効果を発揮し、その際CD4陽性T細胞の貢献が大きいこと、プライミングフェーズでのみCD27刺激が重要あることを示した。またチェックポイント阻害剤を上乗せすることで腫瘍拒絶を達成する割合が増強した。今後行われるであろう臨床試験の結果が楽しみである。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 癌ワクチン療法学寄附講座 招へい教授 坪井 昭博先生