難病Update

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プロテオミクス平均拡散能拡散テンソル画像拡散異方性白質統合性

2026.03.30

アミロイド病理の陽性者および陰性者を含む認知機能が正常な高齢者における白質統合性に関連するCSFプロテオミクスプロファイル

CSF Proteomic Profiles Associated With White Matter Integrity in Cognitively Normal Older Adults With and Without Amyloid Pathology

Luigi Lorenzini*, Mario Tranfa*, Mara Ten Kate*, Anouk den Braber, Lisa Vermunt, Flora H Duits, Senne B Lageman, Diederick de Leeuw, Charlotte E Teunissen, Sara Garbarino, Luca Roccatagliata, Matteo Pardini, Wiesje M Van Der Flier, Pieter Jelle Visser, Frederik Barkhof*, Betty M Tijms

*Department of Radiology and Nuclear Medicine, Amsterdam University Medical Centre, Vrije Universiteit, the Netherlands.

Neurology. 2026 Apr 14;106(7):e214675. doi: 10.1212/WNL.0000000000214675. Epub 2026 Mar 2.

アルツハイマー病(AD)の発症および進行に白質の損傷が関与している可能性を示すエビデンスが増えつつある。しかし、生体内における白質画像バイオマーカーの背景にある生物学的プロセスは依然として明らかになっていない。我々は、認知機能正常者(アミロイド病理陽性者と陰性者を含む)を対象に、白質統合性と関連する分子シグネチャーを明らかにしようと試みた。

Alzheimer Centrum Amsterdamから、認知症がなく(Clinical Dementia Rating<1)、拡散テンソル画像(DTI)およびCSFプロテオミクス(ノンターゲットタンデム質量分析[MS/MS])のデータが利用できる高齢者を選択した。白質全体および対象とした12の白質路について、拡散異方性(FA)および平均拡散能(MD)の値を算出した。線形モデルを用いて、蛋白レベル(予測変数)と、全白質および各白質路のFA値およびMD値(結果変数)との関連を検討した。

計96例を本研究に組み入れた(平均年齢67.82±6.93歳、男性45%)。計234の蛋白レベル(17.1%)が全体のDTI指標と有意に関連していた。このうち、29.9%はFAに特有で、29.9%はMDに特有であった。FAに特異的な蛋白は主に血液凝固と関連し、アストロサイトに多く発現しており、MDに特異的な蛋白は主にアクチンフィラメントに関係するプロセスと関連し、オリゴデンドロサイトに多く発現していた。アミロイド陽性の参加者では全白質のFAとMDの変化がいずれも軸索形成およびシナプス可塑性に関する生物学的プロセスと関連していた。各白質経路におけるFAおよびMDのばらつきと関連した明確に異なるプロテオミクスプロファイルが明らかとなり、シナプス可塑性と結びついたプロセスは特に辺縁系線維の統合性と関連していた。

URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41771010/

コメント

白質統合性とは、脳の白質線維の構造的なまとまりや機能的な完全性を指し、脳領域間の情報伝達に重要な役割を果たしていると考えられている。今回、ADのごく初期における白質統合性の障害は、神経可塑性およびオリゴデンドロサイトの統合性に関連した生物学的プロセスの変化と関係しているとみられる。本研究の結果は、白質統合性を制御するそれぞれ異なる生物学的機序、および白質統合性とAD病理との関係について新たな知見をもたらすものであり、アルツハイマー病(AD)の発症および進行に白質の損傷が関与している可能性を示すエビデンスの一つと考えられ、興味ある論文として取り上げた。

監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生

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