
2026.03.30
骨髄増殖性腫瘍の線維化進行における単球中CD38の役割
The role of CD38 in monocytes during fibrotic progression of myeloproliferative neoplasms
Yiru Yan*, Jinqin Liu*, Songyang Zhao*, Fuhui Li*, Lin Yang*, Zefeng Xu*, Tiejun Qin*, Xiaofan Zhu*, Wenbin An*, Zhongxun Shi, Wenyi Shen, Peihong Zhang*, Gang Huang, Raajit K Rampal, Zhijian Xiao*, Bing Li*
*State Key Laboratory of Experimental Hematology, National Clinical Research Center for Blood Diseases, Haihe Laboratory of Cell Ecosystem, Institute of Hematology and Blood Diseases Hospital, Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical College, Tianjin, China.
Blood. 2026 Feb 26;147(9):946-959. doi: 10.1182/blood.2025028703.
炎症誘発性シグナル伝達は、骨髄増殖性腫瘍の特徴である。複数の研究により、単球が炎症誘発性サイトカインの主な発生源であり、単球由来の線維細胞が骨髄線維症(MF)の病因として重要な役割を果たしていることが示されている。MFにおける単球の役割をさらに調査するため、われわれはNrasG12D/+Jak2V617F/+(NJ)誘導型マウスを作製した。NJの骨髄(BM)細胞を移植されたレシピエントはMFを発症し、貧血と単球増加症が早期に出現した。In vitroでは、NJレシピエントのBM有核細胞において、CD45+CollagenI+線維細胞の量が増加を示した。この線維細胞は主にLy6chigh単球由来であった。RNAシーケンシングにより、NJマウスのLy6chigh単球でCD38(NAD+加水分解酵素の一種)の発現が有意に増加していることが判明し、結果としてNAD+が著しく低濃度となっていた。ヒトでは、MF患者から得られたCD14+単球がコントロールと比較して有意に高いCD38発現を示した。また、Grade 1の線維化を伴う真性多血症の患者から得られた単球では、線維化のない患者の単球と比較してCD38の発現が増加していた。さらに、薬理学的なCD38ターゲティングまたはNAD+前駆体の抑制によってNAD+を増加させると、in vitroでは線維細胞への分化が抑制され、CD38ターゲティングはin vivoでの線維化の発症を防ぐことに成功した。全体として、われわれの知見はCD38の単球における役割に新しい光を当て、CD38を線維化進行のバイオマーカーとして用いたり、MF患者にCD38抑制を行ったりといった臨床応用の可能性を示唆する。
URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41417923/
コメント:
真性多血症や本態性血小板血症などの骨髄増殖性腫瘍では15%程度骨髄線維化が起こることが知られている。炎症性サイトカインやモノサイト由来の繊維細胞が線維化に対して重要な役割を果たすことは報告されているが、詳細なメカニズムは不明であった。本研究では炎症性サイトカインのTNFαがモノサイトに作用してCD38(NAD+加水分解酵素)を誘導し、結果NAD+が減少すること、NAD+の減少が単球細胞の繊維細胞への分化につながることを示した。CD38のインヒビターを用いたマウス動物実験でNAD+の増加、線維化の抑制が示された。今後の展開として単球でのCD38発現が線維化のバイオマーカーになるかの検証と、線維化抑制としてCD38のインヒビターが新しい治療法になるか今後の治験が待たれる。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 癌ワクチン療法学寄附講座 招へい教授 坪井 昭博先生