難病Update

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ドパミントランスポーターパーキンソン病フィンランド安静時振戦振幅

2026.04.28

パーキンソン病における線条体ドパミントランスポーターと安静時振戦:臨床評価

Striatal Dopamine Transporter and Rest Tremor in Parkinson Disease: A Clinical Validation

Kalle J Niemi*, Elina Jaakkola*, Elina Maaria Myller*, Mikael R E Eklund*, Simo Nuuttila, Tuomas Mertsalmi, Kirsi-Marja Murtomäki, Reeta Levo, Tomm Noponen, Toni Ihalainen, Filip Scheperjans, Juho Joutsa*, Valtteri Kaasinen


*Turku Brain and Mind Center, University of Turku, Finland.


Neurology. 2026 Apr 14;106(7):e214811. doi: 10.1212/WNL.0000000000214811. Epub 2026 Mar 19.

 

パーキンソン病(PD)における振戦発生の背景にある機序は依然として明らかになっていない。我々は以前、Parkinson Progression Markers Initiativeコホートにおいて、安静時振戦の振幅と、同側の線条体におけるドパミントランスポーター(DAT)の結合性の高さとの関連を示した。今回は、パーキンソン病様の運動症状と線条体におけるDAT結合との関連を検討した。この横断的観察研究では、フィンランドのTurku大学病院およびHelsinki・Uusimaa病院地区において、臨床的に不確定なパーキンソン症候群または振戦が認められたために[123I]FP-CIT SPECTを実施すべく紹介された右利きの患者を組み入れ、各患者に包括的な臨床評価と追跡調査(中央値3.0年[四分位範囲(IQR)2.5])を行った。主要アウトカム指標は、安静時振戦の振幅と線条体におけるDAT結合との関連とした。


追跡期間終了時点で、組み入れられた414例(年齢中央値68歳[IQR 14]、女性49.4%)のうち、148例がPDと評価され、79例が線条体におけるDAT欠乏を伴う他のパーキンソン症候群と評価された。全体として187例で正常な結合が認められた。PD患者では、右側及び左側の安静時振戦の振幅に同側の線条体におけるDAT結合との正の関連が認められた(β=+0.12[95%CI+0.05、+0.19]及び+0.10[+0.05、+0.15]特異的結合比[SBR]/点、それぞれPFWE + Bonf.<0.05)。右側及び左側の運動緩慢(β=-0.16[-0.22、-0.09]及び-0.18[-0.25、-0.10]SBR/5点、それぞれPFWE + Bonf.<0.05)及び硬直(β=-0.07[-0.08、-0.04]及び-0.08[-0.11、-0.05]SBR/点、それぞれPFWE + Bonf.<0.05)には主として、対側の線条体におけるDAT結合との負の関連が認められた。非PD群では、一貫した関連は認められなかった。


URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41855450/

コメント

今回の検討でも、PD患者集団における安静時振戦の振幅と同側の線条体におけるDAT結合との正の関連が確認された。すなわち、ドパミントランスポーターの機能低下は、対側の、いわゆるシーソー現象的だが、アセチルコリン系ニューロンの機能亢進による、振戦振幅の大きさをもたらした。このように、振戦は患者にとり病期の進行を示すよくない兆候であるが、パーキンソン病人生の最終章に入ると振戦は陰性になることが多い。私は一臨床家として、患者をはげます時使う言葉、「振戦があるからまだ人生は残っている」は、あながち間違いではないようである。しかし本論文の主な論点である、非PD群は診断が多様であり、疾患特異性について結論できなかった。臨床家は、MIBG心筋シンチよりも、Dat scanのearly SPECTを診断の参考にすることができるため、多用する傾向が多いと考えられる。しかし特異性上はMIBG心筋シンチを実施すべきことを再確認させる、私にとり戒めになる興味ある報告である。



監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生

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