難病Update

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イネビリズマブリツキシマブ抗CD19抗体抗CD20抗体視神経脊髄炎スペクトラム障害

2026.05.28

視神経脊髄炎スペクトラム障害におけるイネビリズマブと低用量リツキシマブを比較したリアルワールドでの多施設共同コホート研究

Real-World Multicenter Cohort Study of Inebilizumab vs Low-Dose Rituximab in Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders

Qiao Xu*, Linming Zhang, Xinyi Duan, Kai Zhou, Zhizhong Li*, Xiaolin Yang*, Jing Wang*, Jinyu Jiang*, Ke Xu*, Gang Yu*, Peng Zheng*, Yongmei Li, Xinyue Qin*, Jingyuan Li, Wen Ya Wang, He Zhao, Dehui Huang, Hao Qu, Haibing Xiao, Bin Li, Lei Wu, Jinzhou Feng*


*Department of Neurology, The First Affiliated Hospital of Chongqing Medical University, China.


Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2026 Jul;13(4):e200586. doi: 10.1212/NXI.0000000000200586. Epub 2026 Apr 27.


イネビリズマブとリツキシマブ(RTX)はそれぞれB細胞を枯渇させる抗CD19抗体と抗CD20抗体である。いずれも視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の治療に用いられる。しかし、リアルワールドでの臨床応用については両薬剤ともデータが限られている。本研究は、後ろ向き-前向き多施設解析を通じてNMOSD患者におけるイネビリズマブと低用量RTXの有効性と安全性を比較評価することを目的とした。本研究では、中国の6都市において、アクアポリン4免疫グロブリンG血清陽性のNMOSD患者のうち、イネビリズマブまたは低用量RTX(500 mg)の投与を受け、1年フォローアップされた患者のデータを収集した。解析では治療の逆確率重み付けおよび二重ロバストモデルを用いてアウトカムを評価した。

計229例を組み入れ、このうちイネビリズマブ投与群は119例、低用量RTX投与群は110例であった。本コホートの大部分は女性であった(217/229、94.76%)。フォローアップ期間中央値は、イネビリズマブ群12.0ヵ月(範囲:4.0 - 12.0)、低用量RTX群12.0ヵ月(範囲:7.0 - 12.0)であった。再発例は、イネビリズマブ投与群では8/119例(6.72%)であったのに対し、低用量RTX投与群では24/110例(21.82%)であった(ハザード比[HR]3.77、95%信頼区間[CI]1.56 - 9.14、P=0.003)。調整後の年間再発率は、イネビリズマブ群(0.06)のほうが低用量RTX群(0.24)よりも有意に低く、対応する発生率比(IRR)は3.65(95%CI 1.59 - 8.39、P=0.003)であった。イネビリズマブ群では35例(29.42%)に有害事象(AE)が発現し、発現割合に群間で統計学的に有意な差は認められなかった。


URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42044464/

コメント

NMOSDは自己抗体である抗AQP4抗体が中枢神経のアストロサイトを標的に攻撃することで起こると考えられている。また、同じく脱髄疾患の多発性硬化症と比較して、二次的な神経細胞や軸索の変性は少ないが、症状が落ち着く「寛解期」が来ても、免疫の異常そのものは完全には消えていないためか、再発を起こしやすいと言われている。本論文は、CD19を標的とするイネビリズマブと、CD20を標的とし抗体を実際につくる形質細胞の一部は残りやすいとされるリツキシマブ(低用量であるが)のNMOSDに対する効果の違いをみたものである。この短期間の研究では、NMOSD患者において、イネビリズマブは低用量RTXと比較して再発リスク低下に関し高い有効性を示し、主な有害事象の発現割合も有意に低かった。これらの結果は、より広範なNMOSD集団においてイネビリズマブを有効かつ忍容性の良好な治療選択肢として用いることを支持している。今回の結果は、イネビリズマブの方が自己抗体産生に関わる細胞群をより広く抑える可能性があり、初期の炎症をより完全に抑える方が、再発が少なくなることを示唆しており、再発機序を考えるうえでも参考になる論文であり、取り上げた。



監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生

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