
2026.05.28
一次性免疫性血小板減少症におけるMezagitamabの無作為化第2相試験
A Phase 2 Randomized Trial of Mezagitamab in Primary Immune Thrombocytopenia
David J Kuter*, Katsuhiro Miura, Andrea Patriarca, Dražen Pulanić, Atanas Radinoff, Katya Sapunarova, Antonia Syrigou, Renchi Yang, Van Anh Nguyen, Emily Skelton, Scarlett Wang, Donald L Yee, Parth Patwari; Mezagitamab ITP Phase 2 Trial Investigators
*Hematology Division, Massachusetts General Hospital, Boston.
N Engl J Med. 2026 Apr 9;394(14):1388-1398. doi: 10.1056/NEJMoa2513120.
背景:免疫性血小板減少症(ITP:immune thrombocytopenia)は血小板破壊の亢進と血小板産生の抑制が起こる疾患で、出血リスクの上昇および生活の質の障害と関連している。少なくとも20%の症例で、利用可能な治療法は無効である。Mezagitamabは形質細胞、形質芽細胞、およびナチュラルキラー細胞を標的とする抗CD38抗体である。
方法:我々は多施設共同、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験を実施し、持続性または慢性ITP(平均血小板数が2回以上の測定で3万/µL未満)の患者に対してMezagitamabを100 mg、300 mg、または600 mgの用量で週1回、8週間皮下投与した際のMezagitamabの安全性および有効性を(プラセボと比較して)評価した。主要評価項目は有害事象とした。主な副次評価項目は、血小板奏効(血小板数5万/µL以上かつベースライン値より2万/µL以上の上昇と定義)をWeek16までの任意の時点における2回以上の来院で認めることとした。
結果:Mezagitamab群は合計(28例)で、平均年齢は50歳(24 - 88歳)およびITPの前治療数の平均は4(1 - 9)であった。プラセボ群は合計(13例)で、平均年齢は39歳(20 - 65歳)およびITPの前治療数の平均は4(1 - 13)であった。ベースラインの血小板数の平均はMezagitamab群およびプラセボ群でそれぞれ19,100/µLおよび17,300/µLであった。有害事象はMezagitamab群の合計28例中19例(68%)で報告され、プラセボ群の合計13例中9例(69%)で報告された。グレード3以上の有害事象はMezagitamab群およびプラセボ群でそれぞれ、28例中5例(18%)および13例中3例(23%)に報告された。また、重篤な有害事象は各群でそれぞれ、28例中4例(14%)および13例中1例(8%)に報告された。Week16までの期間で、血小板奏効はMezagitamab 600 mg群の11例中10例(91%)、プラセボ群の合計13例中3例(23%)で認められた。
結論:Mezagitamabによる治療は血小板数を上昇させ、この治療の持続性または慢性ITPを有する被験者における安全性プロファイルはプラセボのものと類似していた。(Takeda Development Center Americasから研究助成を受けた。ClinicalTrials.gov登録番号NCT04278924)
URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41950473/
コメント:
タイトルはPhase2ではあるが安全性、効果から至適投与量を決定するPhase1的な治験となっている。そのため3群の用量漸増試験で各群約10例ずつと少数となっている。免疫性血小板減少症(ITP)では様々な機序が考えられているが、抗血小板抗体が病態の主軸と考えられているため抗体を産生する形質細胞に発現するCD38を標的とした抗CD38抗体を治療に用いるのは理にかなっている。今回の治験では治験薬Mezagitamab投与はプラセボと比べて有害事象の発生割合、重症度に明らかな違いはなく、血小板数増加効果は用量依存的に増強することが示された。ただ予想外の現象として投与後1週目で血小板数の増加が見られた。抗体の半減期は約20日とされているので形質細胞の排除だけでは説明がつかないことよりITPの発生機序としてCD38発現NK細胞またはCD38発現T細胞の関与も示唆されると考察されている。今後症例数を増やした第3相試験が待たれる。
監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 癌ワクチン療法学寄附講座 招へい教授 坪井 昭博先生