
2026.06.26
SCN1Aの機能獲得型バリアントに関連する誘発性かつ反復性の日常的な視覚消失とナトリウムチャネル遮断薬への反応性
Elicited Repetitive Daily Blindness Associated With Gain-of-Function SCN1A Variants and Responsiveness to Sodium Channel Blockers
Sandrine Cestèle*, Alexander James Harper, Sebastian Marra*, Nathalie Leroudier*, Raffaella Rusconi*, Sandra Dhifallah*, Iain A Horrocks, Fenella Jane Kirkham, Iona Margaret Rose Morgan, Jaspal Singh, Daniel John Stobo, Joseph D Symonds, Sameer M Zuberi, Massimo Mantegazza*, Andreas Brunklaus
*Université Cote d'Azur, Valbonne, France
Neurol Genet. 2026 Apr 22;12(3):e200352. doi: 10.1212/NXG.0000000000200352. eCollection 2026 Jun.
誘発性かつ反復性の日常的な視覚消失(ERDB)は、可逆性の視覚消失発作が毎日繰り返される衰弱性の病態である。ERDBは、SCN1Aの病原性バリアントによって生じる家族性片麻痺性片頭痛3型(FHM3)の患者で報告されている。これまでに、2家系(家系1 - 2)でFHM3とERDBの共分離が報告されており、SCN1Aバリアントc.4467G>C/p.(Q1489H)およびc.4495T>C/p.(F1499L)との関連が認められている。我々は、3つの新規SCN1Aバリアントに起因するFHM3とERDBの共分離を示す新たな家系を4つ報告する。FHM3およびERDBを有する新たな4家系の発端者について、臨床面接および医療記録のレビューによりデータを収集した。可能な場合はその親にも、遺伝子解析を行った。ナトリウム電流を測定、ヒトNav 1.1電位依存性ナトリウムチャネル測定を行った。
典型的なFHM3とERDBを有する新たな4家系(家系3 - 6)について記述する。視覚消失発作は乳児期から9歳までに始まった。発作は1日に3~10回発生し、持続時間は最長30秒であった。遺伝子検査により、SCN1A遺伝子の新規ヘテロ接合性バリアントが家系3(c.4027G>T/p.[A1343S])、家系4(c.5350G>T/p.[V1784F])、家系5(c.5006C>T/p.[A1669F])、家系6(c.5006C>T/p.[A1669F])で明らかになった。電気生理学的検査により、Nav 1.1を介した電流に対する全体的な機能獲得が認められ、特に大脳皮質GABA作動性ニューロンに発現している場合に顕著であった。発端者4例全員がカルバマゼピンの投与に良好に反応し、片頭痛および視覚消失の発作の報告が減少した。
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SCN1A遺伝子異常症はSCN1A遺伝子に変異があることで起こる病気の総称であるが、SCN1A遺伝子が、脳内の神経細胞のNaチャンネルに関連しており、主な症状はてんかんである。私事で恐縮であるが、難病の臨床に長年携わってきたが、経験したことのある疾患は、Dravet症候群だけである。今回の論文はフランス南部コート・ダジュールの大学からのもので、SCN1A遺伝子異常症の代表疾患ではないが、比較的多い、ERDBである。臨床症状は、1日に何度も同じような「一時的な失明発作」が起こり、片目または両目が、数秒から数十秒ほど見えなくなり、光の変化、目をこする、立ち上がるなど、特定のきっかけで誘発されやすく、片頭痛やてんかんに関連した家族性の病気として報告されている。今回の研究は、ERDBがFHM3患者におけるNav 1.1の機能獲得型バリアントに起因する臨床的特徴であることを示している。さらに、本報告の患者は、ナトリウムチャネル遮断薬の投与に反応した。従来の研究の延長線上の結果であるが、指定難病のDravet症候群の新たな治療に繋がる論文であり、取り上げた。
監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生