難病Update

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a population-based cohort studyAutoimmune rheumatic diseaseCOVID-19 pandemic地域集団全体のコホート研究新型コロナウイルスパンデミック自己免疫リウマチ疾患

2026.07.29

イングランドにおけるCOVID-19パンデミック前後の自己免疫リウマチ疾患の診断率の変化に関する研究:OpenSAFELYを用いた地域ベースのコホート研究

Trends in autoimmune rheumatic disease diagnoses before and after the COVID-19 pandemic in England: a population-based cohort study using OpenSAFELY

Mark D Russell*, Andrea Schaffer, Zijing Yang, Arti Mahto, Katie Bechman, Chris Wincup, Andrew Rutherford, Patrick Gordon, Elena Nikiphorou, Sophia Steer, Samir Patel, Kathryn Biddle, Jeremy Brown, Mark Gibson, Mrinalini Dey, Edward Alveyn, Victoria Allen, Seb Bacon, Amir Mehrkar, Brian MacKenna, Ben Goldacre, Sam Norton, Andrew P Cope, Elizabeth Price, James B Galloway

 

*Centre for Rheumatic Diseases, King's College London, London, UK. Electronic address: mark.russell@kcl.ac.uk.

 

Lancet Rheumatol 2026 Jun 30:S2665-9913(26)00142-6. doi: 10.1016/S2665-9913(26)00142-6. Online ahead of print.

 

COVID-19パンデミック初期に多くの国で自己免疫疾患の診断率が低下したとの報告がある。その後、診断率がパンデミック前のレベルに戻ったのかに関する報告はまだない。そこで、パンデミック前後の主な自己免疫疾患の診断率について、地域集団全体を網羅するデータを使い、疾患別、年齢グループ、性別、民族別、及び社会階層別に比較評価した。

本研究は、NHS Englandの承認を得てOpenSAFELYプラットフォームのデータを介してTPP医療記録ソフトウェアに登録されているイングランドの全成人(18歳以上)に関するプライマリケアおよび病院の入院データを使ったものである。10の自己免疫リウマチ疾患について、2016年4月1日 - 2025年3月31日に新規に診断された者の動向を比較評価した。パンデミック発生(2020年3月)後の予測診断率については、Prophet時系列予測ツールを用いてモデル化し比較した。

 

解析データは成人の23,353,040人であった。平均年齢は46.2歳(SD 18.8)、性別は女性11,776,490人(50.4%)、男性11,576,545人(49.6%)、人種別は、白人18,581,585人(79.6%)、アジア人またはアジア系英国人1,923,140人(8.2%)、黒人または黒人系英国人700,025人(3.0%)、混血332,490人(1.4%)、中国人またはその他691,475人(3.0%)、不明1,124,325人(4.8%)であった。パンデミック発生初年は小型血管炎を除く全ての自己免疫リウマチ疾患の診断率が急減していた。2025年3月時点の診断率の累積の低下状況は乾癬性関節炎(診断-12,320件、95%予測区間[PI]-12,780 - -11,860、パーセント差-24.9%、95%PI -25.6 - -24.2)、関節リウマチ(診断-11,690件、95%PI-13,280 - -10,110、パーセント差-9.8%、95%PI -11.0 - -8.6)、および巨細胞性動脈炎(診断-5,660件、95%PI-6,130 - -5,200、パーセント差-15.2%、95%PI-16.3 - -14.1)であり、これは持続していた。対照的に体軸性脊椎関節炎の診断件数はパンデミック前を上回るレベルに上昇していた(診断2,040件、95%PI 1,670 - 2,410、パーセント差8.9%、95%PI 7.1 - 10.7)、特に女性における診断率は2023年以降男性の診断率を上回っていた。結合組織疾患の診断率は早期に低下していたが、その反動からなのかパンデミック回復期間中に上昇していた。

 

乾癬性関節炎、関節リウマチ、および巨細胞性動脈炎の診断率の減少についてはパンデミックの5年後も継続していた。しかし体軸性脊椎関節炎の診断率はパンデミック後の増加は特に女性で目立った。医療データをリアルタイムに使うことにより、疾病動向の監視や変化要因の解明、診断の遅れの長期的な影響の把握につながる。

 

本研究は金銭的支援を受けていない。

 

URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42379213/

 

コメント

イングランドは、公的医療制度がつくられているためプライマリケアの場や病院の診断などの医療データを利活用した臨床や疫学研究がなされ、リアルタイムに報告されている。本研究は、イングランドの成人2,340万人の医療データを使いパンデミック前後で自己免疫疾患の診断率にどのような変化があったのかを検討して報告したものである。パンデミック後に乾癬性関節炎、巨細胞性動脈炎、関節リウマチの診断数は大幅に減少し、女性の体軸性脊椎関節炎の診断率は増加していたとしている。重要な点は、リアルタイムの医療データを使うことが可能である体制がつくられていることから疾患の増減を早期に把握でき、疾患別や社会集団別の対策戦略に役立てることができることである。日本でも電子カルテやマイナ保険証など医療DXが進められているが、本研究のようなものを行う体制には至っていない。本研究は医療データの利活用の日英の違いを認識させるものでもあった。

監訳・コメント:関西大学名誉教授、大阪大学大学院医学系研究科委託講師 高鳥毛敏雄先生

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