難病Update

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2型糖尿病GIPGLP-1Retatrutideグルカゴン3重受容体作動薬

2026.07.29

食事と運動によって十分な血糖コントロールが得られていない2型糖尿病患者に対するGIP、GLP-1、グルカゴン受容体作動薬retatrutideの有効性及び安全性(TRANSCEND-T2D-1):二重盲検、無作為化、第3相試験

Efficacy and safety of retatrutide, a GIP, GLP-1, and glucagon receptor agonist, in people with type 2 diabetes and inadequate glycaemic control with diet and exercise (TRANSCEND-T2D-1): a double-blind, randomised, phase 3 trial

Harpreet S Bajaj*, Michelle Welch, Parag Shah, Eduardo Luna, Fatima-Zahra Jaouimaa, Bing Liu, Rong Liu, Yanyun Chen, Hiren Patel, Amy Bartee

 

*LMC Diabetes and Endocrinology, Brampton, ON, Canada. Electronic address: harpreet.bajaj@lmc.ca.

 

Lancet. 2026 Jun 13;407(10546):2402-2413. doi: 10.1016/S0140-6736(26)00967-0. Epub 2026 Jun 6.

 

背景:RetatrutideGIPGLP-1、グルカゴン3重受容体作動薬であり、2型糖尿病、肥満、および関連する合併症に対して臨床開発されている。われわれの目的は、食事と運動のみでは十分なコントロールが得られていない2型糖尿病患者を対象として、retatrutide単剤療法の有効性及び安全性を評価することである。

 

方法:40週間、第3相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の本試験は米国、メキシコ及びインドの48の治験実施医療機関で実施され、成人(18歳以上)の2型糖尿病患者で食事と運動のみでは十分なコントロールが得られていない(グリコヘモグロビン[HbA1c7.0% - 9.5%53 - 80mmol/mol]かつBMI 23 kg/m2以上)者を対象とした。治験参加者はretatrutide 4 mg9 mg又は12 mg)もしくはプラセボの週1回皮下投与に1:1:1:1で無作為に割り付けられた。主要評価項目はHbA1c濃度のWeek 40時点でのベースラインからの変化とした。主要な副次評価項目は体重のWeek 40時点でのベースラインからの変化とした。本試験はClinicalTrials.govに登録され(NCT06354660)、完了している。

 

結果:2024410日から2025421日の間に、930例の治験参加者がスクリーニングを受け、537例(うち女性296例[55%]、男性241例[45%])が無作為割付を受けた。134例がretatrutide 4 mg133例がretatrutide 9 mg136例がretatrutide 12 mg134例がプラセボに割り付けられた。ベースライン時の平均年齢は48.8歳(SD 12.1)、平均HbA1c濃度は7.9%SD 1.1)、平均糖尿病罹患期間は2.5年(SD 4.4)、平均BMI35.8 kg/m2SD 7.0)であった。490例(91%)の治験参加者が治験薬投与期間を完了し、504例(94%)が治験を完了した。治療レジメンの対象について、HbA1c濃度のベースラインからの変化の平均はretatrutide 4 mg 群で-1.69%SE 0.11)、9 mg群で-1.86%0.10)、12 mg群で-1.94%0.08)に対し、プラセボ群では-0.81%0.12)であり、したがってプラセボと比較した治療の差の推定値はretatrutide 4 mg群で-0.88%95% CI -1.18 - -0.59)、9 mg群で-1.04%-1.32 - -0.76)、12 mg群で-1.12%-1.39 - -0.85)(すべてP0.0001)であった。体重のベースラインからの変化割合の平均はretatrutide 4 mg 群で-11.5%SE 0.7)、9 mg群で-13.9%0.8)、12 mg群で-15.3%0.8)に対し、プラセボ群で-2.6%0.5)であった。最も頻度の高かったretatrutideの有害事象は胃腸関連事象で、概して中等度から重度であり、経時的に減弱した。有害事象による治験薬投与の中止はretatrutide群で2 - 5%、プラセボ群で0%であった。重度の低血糖は報告されなかった。本試験中に死亡は2例発現し、いずれもretatrutide 4 mg群で、治験薬との関連はなかった。

 

解釈:Retatrutide単剤療法は食事と運動のみでは十分なコントロールが得られていない成人の2型糖尿病患者において、血糖コントロール及び体重減少の著明な改善を示し、有害事象のプロファイルはGLP-1受容体アゴニスト作用を有する分子のものと一致していた。上記は、retatrutideが有効な2型糖尿病治療薬である可能性を支持するものである。

 

資金提供:イーライリリー・アンド・カンパニー。

 

URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42250575/

 

コメント:

2型糖尿病治療薬もしくは痩身治療薬としてGLP-1作動薬、GIPGLP1作動薬がすでに一般的に使われるようになっている。今回紹介する論文ではGIPGLP1加えてグルカゴン作動の機能も有している薬剤retatrutideを用いた第3相治験データである。グルカゴンは血糖低下時には膵α細胞から分泌されホルモンで血糖上昇作用にあるが、血糖上昇時には膵β細胞に働きかけてインスリン分泌を促す働きと消化管の運動を抑制する働きが知られている。2型糖尿病患者の血糖コントロール改善と体重の著減を認めた。GIPGLP1作用に加えてグルカゴンの作用が加わることで効果が増強された可能性がある。今後既存のGLP-1作動薬、GIPGLP1作動薬との比較検討がされることが期待される。

 

監訳・コメント:大阪大学大学院医学系研究科 癌ワクチン療法学寄附講座 招へい教授 坪井 昭博先生

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