
2026.09.28
EOADシグネチャの萎縮で早期発症のアルツハイマー病によるMCIにおける認知症を予測:MRIに基づく予後予測バイオマーカー
EOAD-Signature Atrophy Predicts Dementia in Early-Onset MCI due to Alzheimer Disease: An MRI-Based Prognostic Biomarker
Thiago Paranhos*, Yuta Katsumi*, Michael Joseph Brickhouse*, Ani Eloyan, Ryan Eckbo*, Alexander Zaitsev*, Anna Du*, Renaud La Joie, Maryanne Thangarajah, Alexander Taurone, Prashanthi Vemuri, Clifford R Jack, as the LEADS Consortium; Dustin B Hammers, Paul S Aisen, Laurel A Beckett, Robert Koeppe, Walter A Kukull, Arthur W Toga, Alireza Atri, David Glenn Clark, Gregory S Day, Ranjan Duara, Neill R Graff-Radford, Ian M Grant, Lawrence S Honig, Erik Johnson, David T Jones, Joseph C Masdeu, Mario F Mendez, Erik S Musiek, Chiadi U Onyike, Meghan Riddle, Emily Rogalski, Stephen Salloway, Sharon J Sha, Raymond Scott Turner, Thomas Wingo, David A Wolk, Kyle B Womack, Maria C Carrillo, Gil Dan Rabinovici, Liana G Apostolova, Bradford Clark Dickerson*, Mark C Eldaief*, Alexandra Touroutoglou*
*Frontotemporal Disorders Unit and Massachusetts Alzheimer's Disease Research Center, Department of Neurology, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston.
Neurology. 2026 Oct 13;107(7):e218519. doi: 10.1212/WNL.0000000000218519. Epub 2026 Aug 26.
早発性アルツハイマー病(EOAD)では臨床的進行に大きなばらつきがみられ、軽度認知障害(MCI)から認知症への移行を予測する信頼性の高いバイオマーカーは依然として限られている。構造的MRIの指標は、遅発性アルツハイマー病の予後予測における価値が示されているが、EOADの進行予測における有用性についてはさほど十分に明らかにされていない。本研究の目的は、EOADによるMCIの患者において、ベースライン時の皮質萎縮が認知症への進行を予測するかどうかを検討することとした。
本研究では、大規模多施設自然歴研究であるLongitudinal Early-Onset Alzheimer's Disease Studyに登録されたEOAD患者から成る十分に特性評価されたコホートを対象とした。参加者は、ベースライン時に標準化された臨床評価および構造的MRI検査を受けた。参加者は40 - 64歳で、バイオマーカーにより裏付けられた孤発性EOADのMCI段階にあった。対照群よりもEOADで強い萎縮を示す、主として頭頂側頭領域の一群であるEOADシグネチャ内で皮質の萎縮を測定した。Global Clinical Dementia Rating(CDR)を用いて臨床的重症度、Cox比例ハザードモデルを用いて、ベースライン時のEOADシグネチャの萎縮負荷と、経時的にみた認知症への進行ハザードとの関連を推定した。赤池情報量規準(AIC)、およびHarrellの一致指数を用いて、EOADシグネチャの萎縮がベースライン時の臨床的重症度を超えて予後予測能を向上させるかどうかを評価した。
EOADによるMCIの患者計130例(平均年齢59.6±4.1歳、女性49%)と認知機能が正常な対照者97例(平均年齢56.9±6.0歳、女性64%)が組み入れられた。ベースライン時のEOADシグネチャ内の萎縮が強いほど、認知症への進行が速いことが予測された(萎縮が1標準偏差増加するごとのハザード比[HR]=1.24、95%CI 1.13 - 1.37、P<0.002)。ベースライン時の臨床的重症度を含めたモデルにEOADシグネチャの萎縮負荷を追加すると、モデルの適合度が有意に向上した(∆AIC=-4.5、尤度比検定のP=0.011)。
URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42647766/
コメント
ドナネマブ、レカネマブなどの病態修飾薬の出現により、アルツハイマー病の軽度認知障害の診断の重要性が注目されるようになった。今回は、アメリカ、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード大学からの論文である。ベースライン時のEOADシグネチャ内の皮質萎縮は、EOADにおけるMCIから認知症への進行を予測し、ベースライン時の臨床的重症度を超えた予後情報をもたらす。これらの結果は、EOADシグネチャの萎縮が、個別化された予後予測および臨床試験における層別化のための、MRIに基づくバイオマーカーとして、潜在的価値をもつことを支持するものである。臨床治験の効率化に寄与する論文であり、興味があり取り上げた。
監訳・コメント:国立病院機構 大阪南医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生