アバタセプト構造的寛解(St-REM)予測因子関節リウマチ(RA)関節破壊抑制効果
2019.06.26
アバタセプト使用下での構造的寛解の予測因子:ABROAD研究の結果
Predictive factors for structural remission using abatacept: Results from the ABROAD study
Murakami K*, Sekiguchi M, Hirata S, Fujii T, Matsui K, Morita S, Ohmura K, Kawahito Y, Nishimoto N, Mimori T, Sano H; ABROAD study investigators
* Department of Rheumatology and Clinical Immunology, Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto, Japan
Mod Rheumatol. 2019 May;29(3):406-412. doi: 10.1080/14397595.2018.1482609. Epub 2018 Jun 27.
実臨床において、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)の投与歴のない疾患活動性が中等度から高度の関節リウマチ(RA)患者を対象として、第一選択のbDMARDとしてのアバタセプトの関節破壊抑制効果を評価した。構造的変化は、van der Heijde's modified Total Sharp Score(mTSS)に基づき判定した。mTSSの年間の進行度(ΔmTSS)は、(mTSSのベースラインからの変化量/追跡した年数)として算出した。構造的寛解(St-REM)は、ΔmTSSが0.5以下と定義した。St-REMを達成した患者は118例中81例(67.5%)であった。ベースラインにおけるSt-REMの独立した予測因子は、年齢および性別とかかわりなく、罹病期間が3年未満であること(オッズ比[OR]3.152、P=0.007)およびX線画像上の進行が緩徐であること([ベースライン時のmTSS/罹病期間]が3未満と定義:OR 3.727、P=0.004)であった。アバタセプト治療開始後24週までに臨床的寛解(SDAIにより評価)を1回以上達成した患者は、St-REMに至る割合が有意に高かった。アバタセプト療法開始後のSt-REM維持の予測因子は、罹病期間が短期であること、ベースライン時のX線画像上の進行が緩徐であること、および臨床的反応が早いことであった。
コメント
RA治療において臨床的寛解を得ることは重要であるが、それ以上に予防において重要であるのは、関節破壊を来たさないように、構造的寛解を得ることである。アバタセプトにおける構造的改善あるいは進行抑制することは重要であったが、治療指標が不明であった。このたびアバタセプト治療により、改善あるいは進行抑制結果が得られた患者の特定が示唆されたことは大切な情報である。早期に治療を開始し、臨床的寛解を得るように治療する必要性がある。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
PudMed:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29807445/