「難病Update」は、難病に関する最新情報を、ジャーナルを限定することなく、速報として現場の医療関係者の方に届けます。難病治療・研究に携わる医師・医療従事者の方々が対象です。内容は、基礎、疫学、臨床の分野別に、各編集委員の興味あるジャーナルから合計毎月3本程度選択をいただき、日本語に原稿を編集し、監修によるコメントも掲載します(任意)。掲載する項目は、日本語英語タイトル、著者、出典、日本語サマリー、原著リンク、キーワード、監修コメント、監修者名です。毎月1日を更新日とし、皆様に提供いたします。難病研究の支援になれば幸いです。
2024.11.26NEW
前頭側頭葉変性症における脳体積および認知機能に対するTMEM106Bの遺伝子特異的な影響
Gene-Specific Effects on Brain Volume and Cognition of TMEM106B in Frontotemporal Lobar Degeneration
TMEM106B(Transmembrane protein 106B)は、特にGRN病原性変異キャリアにおけるFTLD-TDPの疾患リスクの修飾因子として提唱されてきた。本研究の目的は、一般的な遺伝性FTD群それぞれおよび孤発性FTD患者において、TMEM106Bが灰白質体積および認知機能に及ぼす影響を評価し比較することである。
2024.11.26NEW
mRNAワクチン接種後SARS-CoV-2特異的形質細胞は骨髄中の長寿命形質細胞分画で持続的に検出されない
SARS-CoV-2-specific plasma cells are not durably established in the bone marrow long-lived compartment after mRNA vaccination
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するmRNAワクチンは、重症疾患に至るのを防ぐ上で効果的であるが、SARS-CoV-2特異的形質細胞が骨髄に認められたとしても、防護作用を有する抗体は急速に減弱する。本研究では、この逆説的な現象を探究するため、SARS-CoV-2 mRNAワクチンの接種後2.5 - 33ヵ月の健康成人19例を登録し、骨髄中の長寿命形質細胞(LLPC)および非LLPCにおいて、インフルエンザ、破傷風、またはSARS-CoV-2に特異的な抗体分泌細胞(ASC)を測定した。
2024.11.26NEW
大うつ病性障害者における白質微小構造と認知機能低下との関連性:ドイツにおける前向き症例対照コホート研究から
Associations between white matter microstructure and cognitive decline in major depressive disorder versus controls in Germany: a prospective case-control cohort study
大うつ病性障害(MDD)者の主要障害として認知障害がある。MDDが進行すると認知障害が悪化し、これには白質微小構造の変化との関係があると考えられている。そこで、MDD者を対象に白質の変化と認知障害との間に関連があるのか、またMDDの進行との関連があるのか、について前向き追跡調査により検討を行った。
総監修 | 大阪大学 名誉教授 武田 裕 |
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監訳・コメント | 大阪大学大学院医学系研究科癌ワクチン療法学寄付講座 招へい教授 坪井昭博先生 元 大阪大学大学院医学系研究科癌幹細胞制御学寄附講座 寄附講座教授 岡芳弘先生 関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生 国立病院機構大阪南医療センター 神経内科 狭間敬憲先生 |
主催 | 公益財団法人 大阪難病研究財団 |
編集・運営 | 株式会社アスカコーポレーション https://www.asca-co.com/ |
2024.08.29
筋萎縮性側索硬化症の回復表現型の遺伝的関連
Genetic Associations With an Amyotrophic Lateral Sclerosis Reversal Phenotype
「ALS Reversal」とは、当初は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断基準を満たした、又は進行性筋萎縮(PMA)に最も合致する臨床的特徴が見られていたが、その後に大幅かつ持続的な臨床的改善が認められた患者を表す語である。このゲノムワイド関連解析(GWAS)の目的は、通常と異なるこの臨床表現型の相関を同定することである。
2024.08.29
パーキンソン病患者におけるリー・シルバーマン発声発話療法、NHSスピーチ言語療法、構音障害コントロールの比較研究(PD COMM Study):英国における多施設共同による3群の同時並行の非盲検無作為化対照試験
Lee Silverman voice treatment versus NHS speech and language therapy versus control for dysarthria in people with Parkinson’s disease (PD COMM): pragmatic, UK based, multicentre, three arm, parallel group, unblinded, randomised controlled trial
本研究は、パーキンソン病患者の構音障害に対するリー・シルバーマン・ラウド発声発話療法(LSVT LOUD)の有効性評価を、英国の多施設共同研究(PD COMM Study)の患者を使い、その他の2群と非盲検無作為化対照試験により行った。
2024.07.30
身体活動、フィットネスと筋萎縮性側索硬化症の長期リスク 前向きコホート研究
Physical Activity, Fitness, and Long-Term Risk of Amyotrophic Lateral Sclerosis A Prospective Cohort Study
様々なスポーツにおいて、プロ選手は筋萎縮性側索硬化症(ALS)のリスクが高いことが観察研究で示されている。コホート研究を通じて、身体活動および体力の指標(自己報告による身体活動および安静時心拍数)とALSの長期リスクとの関連を評価することを目的とした。
2024.07.30
米国の2007 - 2021年の自己免疫性リウマチ性疾患の新規登録患者における疼痛管理方法の年次推移の検討:医療保険請求データを用いた研究
Annual trends in pain management modalities in patients with newly diagnosed autoimmune rheumatic diseases in the USA from 2007 to 2021: an administrative claims-based study
自己免疫性リウマチ性疾患患者の疼痛管理がとても重要な課題であるとなっていることから、その管理方法の年次的推移を検討した。分析患者は、2007 - 2021年の期間にMerative Marketscan Research Databaseに登録されていた強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、関節リウマチ、シェーグレン症候群、全身性硬化症、または全身性エリテマトーデス(SLE)の自己免疫疾患の新規登録患者である。
2024.07.30
難治性関節リウマチに対する二重特異性T細胞誘導療法
Bispecific T cell engager therapy for refractory rheumatoid arthritis
関節リウマチ(RA)は自己免疫性炎症疾患であり、RAの病理発生にはB細胞が密接に関与していることが示されている。RA治療は近年大幅に進歩してきたが、それでも治療効果が得られない患者がいる。こうした多剤抵抗性RAに対して、T細胞の活性化によりB細胞を傷害する二重特異性T細胞誘導(BiTE)が有望と考えられる。本研究では、多剤抵抗性RA患者6例に対して、CD19とCD3の両方を標的とするBiTEであるブリナツモマブにより治療を行った。
2024.06.26
A041202試験の追跡調査は、高齢の慢性リンパ性白血病(CLL)患者におけるイブルチニブレジメンの持続的な有効性を示している
Follow-up from the A041202 study shows continued efficacy of ibrutinib regimens for older adults with CLL
A041202試験(NCT01886872)は、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)高齢患者を対象に、ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法(BR)を、イブルチニブ単独療法およびイブルチニブ+リツキシマブ併用療法(IR)と比較する第3相試験である。本試験の当初の結果で、イブルチニブを含むレジメンにおいて優れた無増悪生存(PFS)が示され、また、リツキシマブの追加による上乗せ効果は認められなかった。
2024.06.26
IgG4関連疾患の臨床表現型の予測因子及び免疫応答の決定因子としての性差の違いの検討:米国リウマチ学会‐欧州リウマチ学会分類基準患者を対象とした後ろ向き研究による
Sex as a predictor of clinical phenotype and determinant of immune response in IgG4-related disease: a retrospective study of patients fulfilling the American College of Rheumatology–European League Against Rheumatism classification criteria
IgG4関連疾患は、多臓器の線維炎症性自己免疫疾患と考えられている。これまでの研究から性差により表現型の違いがあることが示されている。本研究は、単一施設における後ろ向きコホートによりIgG4関連疾患の患者の性差による病態と症状の違いを検討することを目的として行った。
2024.06.26
REM睡眠行動障害を合併したパーキンソン病患者におけるグルタミン酸シグナル伝達
Glutamate Signaling in Patients With Parkinson Disease With REM Sleep Behavior Disorder
REM睡眠行動障害(RBD)を合併したパーキンソン病(PD)はさらに悪性の表現型であり、運動症状の進行が速く、非運動症状による負担が大きい。しかし、神経伝達系の不均衡に関するこのような臨床的相違の根底にある神経機構については依然として分かっていない。磁気共鳴(MR)スペクトロスコピーと[11C]ABP688 PETをPET/MRハイブリッドシステムで組み合わせて、PD患者における2つの異なるグルタミン酸シグナル伝達の機序を同時に検討した。
2024.06.04
日本の全国調査における慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーの有病率、臨床プロファイルおよび予後
Prevalence, Clinical Profiles, and Prognosis of CIDP in Japanese Nationwide Survey
慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)の現在の疫学、臨床プロファイル、治療を日本の全国調査を用いて検討する。2021年に確立された疫学的手法を用いて、全国調査を行った。日本全国の病院の脳神経内科および小児科に質問票を送付した。一次調査で患者数と有病率を明らかにし、二次調査で詳細な臨床情報を収集した。
2024.05.30
門脈周囲マクロファージは腸内細菌が誘導する肝炎に対して保護作用を有する
Periportal macrophages protect against commensal-driven liver inflammation
本研究では、生体内イメージングにより炎症反応がPV領域において抑制されていることが示された。領域別のシングルセル・トランスクリプトミクスにより、PV領域には免疫抑制作用を有するマクロファージが豊富に存在することが確認された。