「難病Update」は、難病に関する最新情報を、ジャーナルを限定することなく、速報として現場の医療関係者の方に届けます。難病治療・研究に携わる医師・医療従事者の方々が対象です。内容は、基礎、疫学、臨床の分野別に、各編集委員の興味あるジャーナルから合計毎月3本程度選択をいただき、日本語に原稿を編集し、監修によるコメントも掲載します(任意)。掲載する項目は、日本語英語タイトル、著者、出典、日本語サマリー、原著リンク、キーワード、監修コメント、監修者名です。毎月1日を更新日とし、皆様に提供いたします。難病研究の支援になれば幸いです。
2025.08.28NEW
乾癬性関節炎および体軸性脊椎関節炎に対するTNF阻害薬の目標達成漸減治療法の24ヵ月間の有効性評価:DRESS-PS試験の延長研究
Effectiveness of treat-to-target tapering of TNF inhibitors for psoriatic arthritis and axial spondyloarthritis in the Netherlands: 24-month follow-up of the DRESS-PS trial
DRESS-PS試験の乾癬性関節炎および体軸性脊椎関節炎患者に対するTNF阻害薬の目標達成漸減治療法は12ヵ月時点では治療効果が通常同一用量治療と比べて劣っていないことが示されている。本研究は、その対象者に対して観察期間を24ヵ月間に延長して評価したたものである。
2025.08.28NEW
AChR自己抗体の病原性特性は重症筋無力症患者において不均一に分布し経時的に変化
AChR Autoantibody Pathogenic Properties Are Heterogeneously Distributed and Undergo Temporal Changes Among Patients With Myasthenia Gravis
アセチルコリン受容体(AChR)自己抗体は、補体の活性化、受容体の内在化、アセチルコリン(ACh)結合部位の遮断という3つの機序によって重症筋無力症(MG)の病態形成に関与する。AChR自己抗体のレパートリーにおけるさまざまな病原性機序、アイソタイプ、およびIgGサブクラスの現れ方を理解することで、治療薬をより的確に適用できるようになる可能性がある。
2025.08.28NEW
免疫性血小板減少症を有する成人患者におけるプラセボと比較したリルザブルチニブの安全性および有効性:第3相LUNA3試験
Safety and efficacy of rilzabrutinib vs placebo in adults with immune thrombocytopenia: the phase 3 LUNA3 study
リルザブルチニブは共有結合型の可逆的ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬であり、免疫性血小板減少症(ITP:immune thrombocytopenia)に関連する複数のメカニズムを標的としている。第3相LUNA3試験を実施し、持続性・慢性のITPがあり以前に治療を受けた成人患者に対して、24週間にわたってリルザブルチニブ400 mgを1日2回経口投与した群(n=133)と、プラセボ群(n=69)を比較して評価を行った。
総監修 | 大阪大学 名誉教授 武田 裕 |
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監訳・コメント | 大阪大学大学院医学系研究科癌ワクチン療法学寄付講座 招へい教授 坪井昭博先生 大阪大学大学院医学系研究科癌幹細胞制御学寄附講座 寄附講座教授 岡芳弘先生 関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生 国立病院機構大阪南医療センター 神経内科 狭間敬憲先生 |
主催 | 公益財団法人 大阪難病研究財団 |
編集・運営 | 株式会社アスカコーポレーション https://www.asca-co.com/ |
2024.04.26
患者の臨床症状及び生物学的所見をもとにしたシェーグレン病の患者のクラスター分類:横断的及び前向きの2つのコホートの患者データを用いた研究
Identification of distinct subgroups of Sjögren’s disease by cluster analysis based on clinical and biological manifestations: data from the cross-sectional Paris-Saclay and the prospective ASSESS cohorts
シェーグレン病は多様な病態を呈する自己免疫疾患であり、その研究を進展させるためには患者を詳細に分類する必要がある。これまでの症状に基づく分類では不十分であったので、臨床医学・生物学的なパラメーターを入れて患者のサブグループを同定し、予後を検討した。
2024.03.27
重症筋無力症に対するアザチオプリンとミコフェノール酸モフェチルの有効性の比較評価(PROMISE-MG):前向きコホート研究
Comparative effectiveness of azathioprine and mycophenolate mofetil for myasthenia gravis (PROMISE-MG): a prospective cohort study
重症筋無力症は神経筋接合部が侵される自己免疫疾患であり、その治療薬として経口コリンエステラーゼ阻害薬、および免疫抑制薬、免疫調節薬が用いられている。免疫抑制薬としては、コルチコステロイド以外としてアザチオプリンとミコフェノール酸モフェチルが多く用いられている。本研究は、後者の2剤の有効性を比較評価するために行ったものである。対象患者は、カナダと米国の大学病院19施設による自己免疫性重症筋無力症の多施設コホート集団(PROMISE-MG)における免疫抑制薬の投与を受けたことのない18歳以上の患者とした。
2024.03.27
孤発性REM睡眠行動障害におけるMCI同定および認知症予測のためのMontreal Cognitive AssessmentとClock Drawing Test
Montreal Cognitive Assessment and the Clock Drawing Test to Identify MCI and Predict Dementia in Isolated REM Sleep Behavior Disorder
孤発性/特発性REM睡眠行動障害(iRBD)患者は、軽度認知障害(MCI)およびレビー小体型認知症(DLB)の発症リスクが高い。この研究の目的は、iRBDにおいて、MCI患者およびDLB発症リスクのある患者を識別するための2種類のスクリーニング検査の心理測定特性を明らかにすることであった。2006 - 21年に睡眠クリニックを受診し睡眠ポリグラフ検査で確認されたiRBD患者64例(MCIあり32例[平均年齢68.44歳、男性72%]、MCIなし32例[67.78歳、男性66%])を後ろ向きに選択し、対照者32例(69.84歳、男性47%)と併せて追跡した。参加者にMCI診断のための神経学的評価と神経心理学的評価、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)とClock Drawing Test(CDT)も実施した。
2024.03.27
B細胞促進機能を有する加齢関連CD陽性細胞は、自己免疫においてZEB2により調節される
Age-associated CD4+ T cells with B cell-promoting functions are regulated by ZEB2 in autoimmunity
自己免疫疾患は自己免疫寛容の破綻により引き起こされる。加齢は自己免疫における重要な危険因子であり、多くの自己免疫疾患は成人期に発症する傾向がある。本研究では、自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、特発性炎症性筋疾患)患者および健康対照者354例から採取した末梢血単核細胞中のCD4陽性T細胞サブセットについて、フローサイトメトリーとバルクRNAシークエンシングを用いて詳細な解析を行った。
2024.02.28
UKバイオバンクデータを使った認知症前の精神疾患診断と全原因による認知症関連の多遺伝子性認知症リスクとの関連の検討
Association between pre-dementia psychiatric diagnoses and all-cause dementia is independent from polygenic dementia risks in the UK Biobank
認知症前の精神疾患(predementia psychiatric disorder:PDPD)が、認知症の確立された遺伝的リスクといかに関係しているかを理解することは認知症予防にとって重要なことである。そこで、UKバイオバンクのデータ(UKB)を用いて、アルツハイマー病の多遺伝子リスクスコア(AD PRS)、PDPD、アルコール使用障害(AUD)、およびその後の認知症発症との因果関係があるのかについて検討を行った。
2024.02.28
効果が中等度ないし高い疾患修飾薬による治療を受けた多発性硬化症女性における子宮頸部異常のリスク
Risk of Cervical Abnormalities for Women With Multiple Sclerosis Treated With Moderate-Efficacy and High-Efficacy Disease-Modifying Therapies
免疫調節療法が子宮頸部の前癌病変および浸潤癌の発生リスクに及ぼす影響は、多発性硬化症(MS)女性の健康および安全にとって重要である。疾患修飾薬(DMT)の投与を受けたMS女性における子宮頸部異常のリスクを検討した。
2024.02.28
転移性ぶどう膜悪性黒色腫に対するtebentafusp治療による3年全生存率
Three-Year Overall Survival with Tebentafusp in Metastatic Uveal Melanoma
Tebentafuspは、糖タンパク100(glycoprotein 100, gp100)とCD3を標的とするT細胞受容体二重特異性分子であり、HLA-A*02:01陽性で切除不能または転移性ぶどう膜悪性黒色腫を有する成人患者を適応として承認されている。ここで述べる第3相試験の主要解析から、同薬による治療と関連した長期の生存ベネフィットが裏付けられた。本オープンラベル第3相試験での3年間の有効性および安全性の結果を報告する。
2024.01.31
神経セロイドリポフスチン症2型(CLN2)の小児におけるセルリポナーゼ アルファ:オープンラベル延長試験
Safety and efficacy of cerliponase alfa in children with neuronal ceroid lipofuscinosis type 2 (CLN2 disease): an open-label extension study
神経セロイドリポフスチン症2型(CLN2)は遺伝子TPP1の変異により引き起こされる疾患である。セルリポナーゼ アルファは、遺伝子組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)酵素補充薬である。本研究は、CLN2患児に対するセルリポナーゼ アルファ脳室内の長期投与の安全性・有効性を明かにすることを目的としたものである。本研究はドイツ、イタリア、英国および米国の病院5施設で行った。
2024.01.30
移植片対宿主病予防を目的としたCD24Fcの第2相試験
A phase 2 trial of CD24Fc for prevention of graft-versus-host disease
骨髄破壊的前処置を用いたヒト白血球抗原適合非血縁ドナー(MUD)からの同種造血幹細胞移植(HSCT)を受ける血液腫瘍患者は、標準的なカルシニューリン阻害薬ベースの予防投与とメトトレキサートの併用投与を受けていても、急性移植片対宿主病(GVHD)を発症することが多い。本試験では、新規のヒトCD24融合タンパク(CD24Fc/MK-7110)の評価を行った。
2024.01.30
孤発性REM睡眠行動障害における起立性低血圧の頻度:North American Prodromal Synucleinopathyコホート
Frequency of Orthostatic Hypotension in Isolated REM Sleep Behavior Disorder The North American Prodromal Synucleinopathy Cohort
起立性低血圧(OH)は、孤発性REM睡眠行動障害(iRBD)における自律神経機能障害の初期の特徴である可能性があるが、iRBDにおけるOHの頻度を検討した大規模研究はない。本研究では、大規模な多施設共同iRBDコホートにおいてOHの頻度を前向きに評価した。