「難病Update」は、難病に関する最新情報を、ジャーナルを限定することなく、速報として現場の医療関係者の方に届けます。難病治療・研究に携わる医師・医療従事者の方々が対象です。内容は、基礎、疫学、臨床の分野別に、各編集委員の興味あるジャーナルから合計毎月3本程度選択をいただき、日本語に原稿を編集し、監修によるコメントも掲載します(任意)。掲載する項目は、日本語英語タイトル、著者、出典、日本語サマリー、原著リンク、キーワード、監修コメント、監修者名です。毎月1日を更新日とし、皆様に提供いたします。難病研究の支援になれば幸いです。
2025.03.25NEW
NALCNおよびUNC80に関連する障害の遺伝子型と表現型の概観
Genotype-Phenotype Landscape of NALCN and UNC80-Related Disorders
本研究の目的は、これらの症候群に関連する表現型を拡張し、遺伝子型と表現型の潜在的な関連を探索することである。本研究は、NALCNおよびUNC80に病原性バリアントまたは病原性である可能性の高いバリアントを有する患者を対象とした横断的研究である。表現型は、構造化面接、質問票、医療記録のレビューにより評価した。バリアント、臨床的特徴、症候群のあいだの関連を分析した。
2025.03.25NEW
アスピリンは血小板TXA2によるT細胞免疫の抑制を抑えることで転移を予防する
Aspirin prevents metastasis by limiting platelet TXA2 suppression of T cell immunity
本研究では、アスピリンを含むシクロオキシゲナーゼ1(COX-1)阻害薬が、血小板におけるトロンボキサンA2(TXA2)の産生を抑制し、TXA2によるT細胞の抑制を解除することでがん転移に対する免疫を増強することを示した。TXA2がT細胞を抑制する機序は、グアニン交換因子ARHGEF1に依存する免疫抑制経路の活性化により、T細胞のT細胞受容体(TCR)誘発キナーゼシグナル伝達、増殖、およびエフェクター機能を抑制するというものである。
2025.03.25NEW
サーファクタント関連疾患の小児期間質性肺疾患におけるLAMP3の両対立遺伝子変異の分析
Bi-allelic LAMP3 variants in childhood interstitial lung disease: a surfactant-related disease
本研では、小児期間質性肺疾患(以下、chILD)の患者1例から2つのLAMP3バリアントを同定し、これまでに報告されているバリアントの機能的検証を行い、chILDの病理発生におけるLAMP3の役割を明らかにすることを目的として行ったものである。
総監修 | 大阪大学 名誉教授 武田 裕 |
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監訳・コメント | 大阪大学大学院医学系研究科癌ワクチン療法学寄付講座 招へい教授 坪井昭博先生 大阪大学大学院医学系研究科癌幹細胞制御学寄附講座 寄附講座教授 岡芳弘先生 関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生 国立病院機構大阪南医療センター 神経内科 狭間敬憲先生 |
主催 | 公益財団法人 大阪難病研究財団 |
編集・運営 | 株式会社アスカコーポレーション https://www.asca-co.com/ |
2023.11.29
再発・難治性多発性骨髄腫に対するelranatamab:MagnetisMM-1第1相試験
Elranatamab in relapsed or refractory multiple myeloma: the MagnetisMM-1 phase 1 trial
多発性骨髄腫(MM)はB細胞成熟抗原(BCMA)を発現する形質細胞の悪性腫瘍である。Elranatamabは二重特異性抗体であり、MMのBCMAとT細胞のCD3に結合する。MagnetisMM-1試験ではelranatamabの安全性、薬物動態、有効性を評価した。
2023.10.31
COVID-19ワクチン接種後のギラン・バレー症候群のリスク:全国規模の自己対照症例シリーズ研究
Risk of Guillain-Barré Syndrome Following COVID-19 Vaccines: A Nationwide Self-controlled Case Series Study
ギラン・バレー症候群(GBS)は、いくつかのCovid-19ワクチンとの関連が示されているが、一貫性に欠ける。本研究では、大規模集団においてCovid-19ワクチンの種類によるGBSのリスクを定量化することを目的とした。
2023.10.31
再発・難治性多発性骨髄腫に対するCD38 × CD3 T細胞エンゲ―ジャーであるISB 1342の前臨床における特性解析
Preclinical characterization of ISB 1342, a CD38 × CD3 T-cell engager for relapsed/refractory multiple myeloma
抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブによる多発性骨髄腫(MM)患者の治療はその生存を大きく延長させるが、治療抵抗性が生じることは避けがたい。ISB 1342は、ダラツムマブに対して感受性の低い再発・難治性多発性骨髄腫(r/r MM)患者を標的とするようにデザインされたものである。ISB 1342は、BEAT(Bispecific Engagement by Antibodies based on the TCR)プラットフォームを用いて開発された二重特異的抗体であり、
2023.10.31
インターフェロンフリー時代におけるC型肝炎治療成功患者の生命予後:地域ベースのコホート研究
Mortality rates among patients successfully treated for hepatitis C in the era of interferon-free antivirals: population based cohort study
C型肝炎患者に対し、インターフェロンを使用しなくても、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)を使うことによりC型肝炎ウイルス(HCV)を体内から排除してウイルス学的治癒をさせることができるようになっている。インターフェロンフリー時代における治療成功患者の生命予後について、一般人口集団と比較して検討した。
2023.09.28
PD-1阻害により幹細胞様CD8 T細胞の自己複製が増加して、エフェクター分化による同細胞の減少を補う
PD-1 blockade increases the self-renewal of stem-like CD8 T cells to compensate for their accelerated differentiation into effectors
PD-1陽性TCF-1陽性幹細胞様CD8 T細胞には、プログラム細胞死蛋白質-1(PD-1)阻害療法後にエフェクターCD8 T細胞分化の亢進がみられる。しかし、これに伴ってこれらの幹細胞様前駆細胞数が減少するかどうかは不明である。そこでこの研究では、慢性リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)感染マウスモデルを用いて、このことについて検討した。
2023.09.28
オーストラリア全住民を対象とした認知症の低減可能リスクの集団寄与危険割合の人種別の検討:横断調査データを用いた解析
Potentially modifiable dementia risk factors in all Australians and within population groups: an analysis using cross-sectional survey data
認知症は、オーストラリア住民の疾病負担として2番目に大きい問題である。オーストラリアの全住民(先住民族、ヨーロッパ系およびアジア系の人々)を対象として、認知症の予防に関わるとして社会的に知られている12の要因(教育歴、難聴、高血圧、肥満、喫煙、うつ、社会的孤立、運動不足、糖尿病、過度の飲酒、大気汚染、外傷性脳損傷)の集団寄与危険割合(PAF)を試算してみた。
2023.09.28
レビー小体型認知症患者における血漿中のリン酸化タウとneflamapimod投与に対する反応との関連
Association of Plasma Phosphorylated Tau With the Response to Neflamapimod Treatment in Patients With Dementia With Lewy Bodies
レビー小体型認知症(DLB)患者の一部には、アルツハイマー病(AD)の共通病理との関連がみられ、これが認知機能低下の加速および皮質の萎縮範囲の拡大に結び付く。今回の目的は、AD共通病理のバイオマーカーである血漿中タウの181番目の残基のリン酸化(ptau181)と、DLBのコリン作動性変性過程を標的とするp38αキナーゼ阻害薬neflamapimodの投与効果との関連を評価することであった。
2023.08.28
後天性重症再生不良性貧血の初回治療としての、移植後シクロホスファミドを用いた代替ドナーからの骨髄移植
Alternative donor BMT with posttransplant cyclophosphamide as initial therapy for acquired severe aplastic anemia
我々は、SAA患者に対する初回治療として、強度減弱前処置(reduced intensity conditioning)によるHLA半合致ドナーからの骨髄移植と移植後シクロホスファミド(PTCy)による移植片対宿主病(GVHD)予防を用いた前向き第2相試験を行った。
2023.08.28
多発性硬化症患者における細胞特異的なエピジェネティクス的年齢の加速の評価
Evaluation of Cell-Specific Epigenetic Age Acceleration in People With Multiple Sclerosis
多発性硬化症(MS)では、免疫系の老化(免疫老化)の加速が疾患の発症に関連したり進行を引き起こしたりする可能性がある。DNAメチル化(DNAm)はリンパ球のサブタイプによって異なるエピジェネティックな因子であり、MS患者における細胞特異的なエピジェネティクス的年齢の加速(epigenetic age acceleration:EAA)を、このデータを用いて検証する。
2023.08.28
IgG4関連疾患患者治療薬オベキセリマブの安全性、有効性、作用機序の評価:非盲検単群単一施設の第2相予備試験
Evaluation of the safety, efficacy, and mechanism of action of obexelimab for the treatment of patients with IgG4-related disease: an open-label, single-arm, single centre, phase 2 pilot trial
血液中のIgG4が異常に上昇し、全身の臓器にIgG4産生細胞などが浸潤して腫れる原因不明の疾患としてIgG4関連疾患がある。それに対して免疫細胞がIgG4をつくることを阻害する治療薬としてヒト化モノクローナル抗体を使ったオベキセリマブ(obexelimab)が開発された。オベキセリマブについて、米国のマサチューセッツ総合病院において、2016年2月24日 - 2016年12月21日の間に登録された15例のIgG4関連疾患患者に対して非盲検単群の第2相予備試験を行った。