「難病Update」は、難病に関する最新情報を、ジャーナルを限定することなく、速報として現場の医療関係者の方に届けます。難病治療・研究に携わる医師・医療従事者の方々が対象です。内容は、基礎、疫学、臨床の分野別に、各編集委員の興味あるジャーナルから合計毎月3本程度選択をいただき、日本語に原稿を編集し、監修によるコメントも掲載します(任意)。掲載する項目は、日本語英語タイトル、著者、出典、日本語サマリー、原著リンク、キーワード、監修コメント、監修者名です。毎月1日を更新日とし、皆様に提供いたします。難病研究の支援になれば幸いです。
2024.04.26NEW
神経疾患に対する遺伝子検査における格差
Disparities in Genetic Testing for Neurologic Disorders
遺伝子検査は現在、多くの神経疾患において標準治療となっている。神経疾患を有する成人において遺伝子検査へのアクセスとその結果が人種、民族、性別、社会経済的地位、保険によって異なるという仮説を検証した。
2024.04.26NEW
2個の受容体、つまり抗体–T細胞受容体(Ab-TCR)および共刺激受容体を持つT細胞プラットフォームは、急性骨髄性白血病に対して特異性と効力を発揮する
A dual-receptor T-cell platform with Ab-TCR and costimulatory receptor achieves specificity and potency against AML
本研究はAMLにおける概念実証(proof of concept)を探索する目的として、いずれもほとんどのAML細胞において高発現が認められるWilms tumor 1 タンパク(WT1)およびCD33を標的とする新規T細胞プラットフォームを作製した。独自のプラットフォームは、新規に開発したTCR様抗体であるESK2(WT1由来RMFPNAPYL[RMF]エピトープ/HLA-A2複合体に特異的なTCR様モノクローナル抗体)を構成成分とするAbTCRと抗CD33キメラCSR(共刺激分子CD28のシグナル伝達ドメインに結合した抗CD33一本鎖可変フラグメント)を用いたものである。
2024.04.26NEW
患者の臨床症状及び生物学的所見をもとにしたシェーグレン病の患者のクラスター分類:横断的及び前向きの2つのコホートの患者データを用いた研究
Identification of distinct subgroups of Sjögren’s disease by cluster analysis based on clinical and biological manifestations: data from the cross-sectional Paris-Saclay and the prospective ASSESS cohorts
シェーグレン病は多様な病態を呈する自己免疫疾患であり、その研究を進展させるためには患者を詳細に分類する必要がある。これまでの症状に基づく分類では不十分であったので、臨床医学・生物学的なパラメーターを入れて患者のサブグループを同定し、予後を検討した。
総監修 | 大阪大学 名誉教授 武田 裕 |
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監訳・コメント | 大阪大学大学院医学系研究科癌ワクチン療法学寄付講座 招へい教授 坪井昭博先生 元 大阪大学大学院医学系研究科癌幹細胞制御学寄附講座 寄附講座教授 岡芳弘先生 関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生 国立病院機構大阪南医療センター 神経内科 狭間敬憲先生 |
主催 | 公益財団法人 大阪難病研究財団 |
編集・運営 | 株式会社アスカコーポレーション https://www.asca-co.com/ |
2022.08.25
遺伝子改変免疫エフェクター細胞による治療を受けた患者における続発性悪性腫瘍の発生に関する長期追跡研究
Long-term follow-up for the development of subsequent malignancies in patients treated with genetically modified IECs
続発性悪性腫瘍は、がん患者の長期の追跡においてみられる、過去に十分量の報告のある合併症である。最近、遺伝子改変免疫エフェクター(immune effector:IE)細胞を用いた治療が血液悪性腫瘍に有効であることが示され、また、固形腫瘍の臨床試験でも評価が行われつつある。IE細胞治療の短期的合併症については十分な報告があるが、続発性悪性腫瘍の発生を含む長期の追跡結果について述べた文献は限られている。我々は、当医療機関における小児および成人を対象とした医師主導臨床試験27試験で治療を受けた患者340例のデータを、後方視的に解析した。
2022.08.25
パーキンソン病に対する反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)の有効性評価:無作為化比較試験による研究のシステマティックレビューとメタアナリシスから
Efficacy of repetitive transcranial magnetic stimulation in Parkinson’s disease: A systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials
反復経頭蓋磁気刺激療法(Repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)は、運動機能改善やうつ病の治療に有効であることが確認されている。しかし、rTMSが、パーキンソン病(PD)に対して有効であるのかについて、まだ無作為化比較試験(RCT)による評価研究は少なく、正式な治療方法として認められていない。rTMSがPDの運動症状および非運動症状の改善につながるのかシステマティックレビューにより検証した。
2022.07.26
パーキンソン病におけるタンパク質症と認知機能の縦断的な低下
Proteinopathy and Longitudinal Cognitive Decline in Parkinson Disease
パーキンソン病(Parkinson disease:PD)患者には認知機能の低下が認められることが多く、これはα-シヌクレイン、タウ、およびβ-アミロイドの蓄積量の増加と関連している可能性がある。この研究では、それぞれのタンパク質がPDにおける認知機能の縦断的な低下の予測因子であるかどうかを検討する。
2022.07.26
Runx1およびRunx2は造血幹細胞の細胞ニッチの線維化を阻害する
Runx1 and Runx2 inhibit fibrotic conversion of cellular niches for hematopoietic stem cells
骨髄では造血幹細胞(HSC)の維持にニッチと呼ばれる特別の微小環境が不可欠である。CAR細胞(CXCL12-abundant reticular cell:CXCケモカインリガンド12[CXCL12]を高発現する細網細胞)またはレプチン受容体を発現する間葉系幹細胞群は、HSCニッチの主要な構成要素である。分子レベルでのHSCニッチの調節機構についてはよく分かっていない。HSCニッチにおけるRunx転写因子であるRunx1及びRunx2の役割も依然として不明である。本研究により、Runx1は主にCAR細胞で発現すること、また
2022.07.26
炎症性腸疾患患者の卵巣予備能と体外受精治療の成績:システマティックレビューとメタアナリシス
Ovarian reserve and IVF outcomes in patients with inflammatory bowel disease: A systematic review and meta-analysis
炎症性腸疾患(IBD)は、生殖年齢期の女性の卵巣予備能を低下させているとの報告がある。それに対しIBDに対する体外受精(IVF)の治療が効果があるのかの検討が必要である。そこで、2022年5月までのIBDと卵巣予備能との関係に関連する研究論文を検索してメタ分析を行った。オッズ比(OR)、相対リスク、標準化平均差(SMD)またはハザード比(HR)などの必要な測定値、あるいはそれらを算出するデータが示されている論文を対象とした。
2022.06.29
成人のドラベ症候群患者における歩行・運動異常の進行性悪化
Progressive Worsening of Gait and Motor Abnormalities in Older Adults With Dravet Syndrome
研究の主要目的は、成人のドラベ症候群(Dravet syndrome:DS)患者の歩行・運動症状を調査することであった。この研究には、前向きに調査した1群が含まれ、6例(平均年齢32歳)をUnified Parkinson's Disease Rating Scale修正版(mUPDRS)を用いて2014年に調査し、2019年に再調査した。横断的調査群では、2014年に評価を受けていない患者にmUPDRSを用いた検査を行い、機器を用いた歩行解析(instrumental gait analysis:IGA)も行った。IGAは、センサーおよび矢状面と冠状面を撮影する2台のカメラを組み合わせた歩行マットを用いるProtoKineticsソフトウェアで行った。DS患者群17例(平均年齢31歳)を対象にIGAを行った。健康な81例(平均年齢62歳)を対照群とした。
2022.06.29
関節炎における軟骨変性とフィブリン沈着との関連の検討
Fibrin deposition associates with cartilage degeneration in arthritis
炎症性関節炎における軟骨損傷は、炎症性サイトカインおよびパンヌス(炎症により関節滑膜細胞が増殖形成してつくられる絨毛状組織)によっておこる。また、凝固系の活性化が関節炎、特に関節リウマチでみられる特徴の一つとなっている。このフィブリンと軟骨変性との関係について、関節組織を使い実験で確かめた。
2022.06.29
経口アザシチジンは測定可能残存病変の状態にかかわりなく寛解期の急性骨髄性白血病(AML)患者の生存期間を延長させる
Oral azacitidine prolongs survival of patients with AML in remission independently of measurable residual disease status
強力な化学療法施行後に寛解期にある急性骨髄性白血病(AML)患者の測定可能残存病変(measurable residual disease:MRD)は、早期再発および予後不良の予測因子である。MRD陰性の状態を延長させる、あるいはMRD陽性の患者のそれを陰性化させる寛解後の維持療法は、再発を遅延または予防し、全生存期間(overall survival:OS)を改善する可能性がある。第3相QUAZAR AML-001試験では、低メチル化剤である経口アザシチジン(経口AZA、旧名称CC-486)は、強力な化学療法後の第一寛解期にあって造血幹細胞移植の候補にならない55歳以上のAML患者のOSおよび無再発生存期間(relapse-free survival:RFS)をプラセボと比較して有意に延長させた。
2022.05.30
固形腫瘍ではCAR T細胞による癌細胞の傷害にIFNγR経路が必要であるが、白血病はこの経路を必要としない
CAR T cell killing requires the IFNγR pathway in solid but not liquid tumours
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は一部の白血病の治療に画期的な効果をもたらしたが、固形腫瘍に対するその効果は限定的である。固形腫瘍の細胞は、CAR T細胞による細胞傷害に対し固有の耐性機序を有する可能性がある。この耐性経路をバイアスのかからない方法でシステマティックに同定するため、CAR T細胞の有効性が限定的であることが判明している膠芽腫についてゲノムワイドCRISPRノックアウトスクリーニングを実施した。
2022.05.30
covid-19ワクチン接種者とSARS-CoV-2感染者における免疫介在性神経学的イベントの発生リスク:地域ベースの対照症例分析
Association between covid-19 vaccination, SARS-CoV-2 infection, and risk of immune mediated neurological events: population based cohort and self-controlled case series analysis
新型コロナウイルス感染症(covid-19)ワクチン接種と新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者において免疫介在性神経学的イベントのリスクが高まるのか明らかではない。そこで、英国とスペインの地域ベースのプライマリケアの記録を用いて検討を行った。対象者は、接種開始から英国では2021年5月9日、スペインでは2021年6月30日までの間の者とした。