
「難病Update」は、難病に関する最新情報を、ジャーナルを限定することなく、速報として現場の医療関係者の方に届けます。難病治療・研究に携わる医師・医療従事者の方々が対象です。内容は、基礎、疫学、臨床の分野別に、各編集委員の興味あるジャーナルから合計毎月3本程度選択をいただき、日本語に原稿を編集し、監修によるコメントも掲載します(任意)。掲載する項目は、日本語英語タイトル、著者、出典、日本語サマリー、原著リンク、キーワード、監修コメント、監修者名です。毎月1日を更新日とし、皆様に提供いたします。難病研究の支援になれば幸いです。
2025.11.27NEW
転写制御因子SATB1が慢性炎症および癌におけるCD8陽性T細胞の細胞数増加とエフェクター細胞への分化を制限する
Transcriptional regulator SATB1 limits CD8+ T cell population expansion and effector differentiation in chronic infection and cancer
今回、われわれはクロマチンオーガナイザーかつ転写制御因子であるSATB1がCD8陽性疲弊T細胞の分化に関する主要な制御因子であることを特定した。
2025.11.27NEW
ナトリウム・グルコース共輸送体-2阻害薬の自己免疫性リウマチ性疾患のリスク評価:地域ベースの大規模コホートによる研究
Sodium-glucose cotransporter-2 inhibitors and risk of autoimmune rheumatic diseases: population based cohort study
韓国の全国規模の地域住民のデータベースに2012 - 2022年に登録された18歳以上の2型糖尿病患者についてSGLT-2阻害薬の自己免疫性リウマチ性疾患のリスクを評価した。対象者は2,032,157例でSGLT-2阻害薬投与552,065例、スルホニル尿素薬投与1,480,092例であった。
2025.11.27NEW
Framingham Heart Studyの中年参加者における血小板凝集とアルツハイマー病病理のマーカーとの関連
Association of Platelet Aggregation With Markers of Alzheimer Disease Pathology in Middle-Aged Participants of the Framingham Heart Study
血管の機能障害はアルツハイマー病(AD)およびアルツハイマー病関連認知症(ADRD)に寄与しているが、根底にある機序は依然として明らかになっていない。本研究では、中年期における血小板凝集がAD病理の画像マーカーと関連しているかどうかを明らかにすることを目的とした。
| 総監修 | 大阪大学 名誉教授 武田 裕 |
|---|---|
| 監訳・コメント | 大阪大学大学院医学系研究科癌ワクチン療法学寄付講座 招へい教授 坪井昭博先生 大阪大学大学院医学系研究科癌幹細胞制御学寄附講座 寄附講座教授 岡芳弘先生 関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生 国立病院機構大阪南医療センター 神経内科 狭間敬憲先生 |
| 主催 | 公益財団法人 大阪難病研究財団 |
| 編集・運営 | 株式会社アスカコーポレーション https://www.asca-co.com/ |
2024.10.29
マルチドメイン融合リガンドを有するレンチウイルスベクターを用いた、非ヒト霊長類におけるCAR T細胞のin vivo生成
In vivo CAR T-cell generation in nonhuman primates using lentiviral vectors displaying a multidomain fusion ligand
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は、B細胞性悪性疾患の治療において革新的な有効性を示した。しかし、その広範な使用を妨げている阻害要因として、高価であること、また製造工程が複雑であることなどが挙げられる。こうした阻害要因を克服するために、われわれは新規プラットフォームVivoVecを開発した。
2024.10.29
Susac症候群のグルココルチコイド治療とそれに加えて免疫抑制薬または静注免疫グロブリン製剤を加えた治療の比較評価:フランスの全国患者のコホート研究
Immunosuppressive agents or intravenous immunoglobulin in addition to glucocorticoids in the treatment of Susac syndrome: a French national cohort study
Susac症候群は、主に若年女性に好発し、脳、網膜、内耳に限局した微小血管閉塞を特徴とした稀な疾患である。Susac症候群の治療に関する無作為化対照研究やコホート研究は見当たらなかった。Susac症候群の患者に対するグルココルチコイド単独治療と免疫抑制薬併用または静注免疫グロブリン剤を加えた併用治療について、前向きコホートを使い再発率を効果判定指標として評価した。
2024.09.27
非定型パーキンソン症候群患者における脳脊髄液中αシヌクレインシード増幅アッセイ
CSF α-Synuclein Seed Amplification Assay in Patients With Atypical Parkinsonian Disorders
大脳皮質基底核症候群(CBS)および進行性核上性麻痺(PSP)には疾患修飾薬が存在しない。シード増幅アッセイ(SAA)によって、αシヌクレイン(αSyn)共病理のような神経病理学的プロセスが検出できるようになり、将来の疾患修飾薬戦略の成功に影響を及ぼすものである。主要目的はCBSおよびPSPにおけるαSyn共病理の可能性を評価することとし、αSynのSAA(αSyn-SAA)を用いた脳脊髄液(CSF)からの検出によって評価した。
2024.09.27
γδ T細胞‐IL-3シグナル伝達軸は感覚ニューロンを介してアレルギー反応を調節する
A γδ T cell–IL-3 axis controls allergic responses through sensory neurons
感覚ニューロンは皮膚を支配し、アレルゲンはこれに直接作用することで、掻痒感と局所的な自然免疫細胞活性化の両方を引き起こし、これによりアレルギー性免疫応答が誘導される。慢性アレルギー性炎症の場合、免疫学的因子が感覚ニューロンをプライミングし、アレルギー性の掻痒感を引き起こす。こうした双方向性の神経免疫回路はアレルゲンへの反応を誘導するが、ニューロンのアレルゲンによる活性の閾値が免疫細胞によって調節されるのか否かについては不明であった。
2024.09.27
イングランドにおける食物アレルギーの疫学動向:Clinical Practice Research Datalinkを使った観察データによる分析
Time trends in the epidemiology of food allergy in England: an observational analysis of Clinical Practice Research Datalink data
食物アレルギーの推定有病率はこれまで報告の間に大きなばらつきがあり、また成人のデータは乏しい状況にあった。そこでイングランドの1998 - 2018のデータ及びイングランドの主要病院の診療データ(Clinical Practice Research Datalink)を用いて、食物アレルギーの罹患率と有病率を算出、この間の疫学動向を分析した。
2024.08.29
B細胞を標的としたCAR T細胞療法はヒトおよび非ヒト霊長類においてCD8+細胞傷害性CARnegバイスタンダーT細胞を活性化する
B-cell-directed CAR T-cell therapy activates CD8+ cytotoxic CARneg bystander T cells in patients and nonhuman primates
本研究では、非ヒト霊長類(NHP)および患者に由来するT細胞について、B細胞を標的としたCAR T細胞療法後におけるCARneg T細胞のバイスタンダー活性化の表現型および転写に関する特徴を明かにするためにシングルセルRNAシークエンシングを実施した。
2024.08.29
筋萎縮性側索硬化症の回復表現型の遺伝的関連
Genetic Associations With an Amyotrophic Lateral Sclerosis Reversal Phenotype
「ALS Reversal」とは、当初は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断基準を満たした、又は進行性筋萎縮(PMA)に最も合致する臨床的特徴が見られていたが、その後に大幅かつ持続的な臨床的改善が認められた患者を表す語である。このゲノムワイド関連解析(GWAS)の目的は、通常と異なるこの臨床表現型の相関を同定することである。
2024.08.29
パーキンソン病患者におけるリー・シルバーマン発声発話療法、NHSスピーチ言語療法、構音障害コントロールの比較研究(PD COMM Study):英国における多施設共同による3群の同時並行の非盲検無作為化対照試験
Lee Silverman voice treatment versus NHS speech and language therapy versus control for dysarthria in people with Parkinson’s disease (PD COMM): pragmatic, UK based, multicentre, three arm, parallel group, unblinded, randomised controlled trial
本研究は、パーキンソン病患者の構音障害に対するリー・シルバーマン・ラウド発声発話療法(LSVT LOUD)の有効性評価を、英国の多施設共同研究(PD COMM Study)の患者を使い、その他の2群と非盲検無作為化対照試験により行った。
2024.07.30
身体活動、フィットネスと筋萎縮性側索硬化症の長期リスク 前向きコホート研究
Physical Activity, Fitness, and Long-Term Risk of Amyotrophic Lateral Sclerosis A Prospective Cohort Study
様々なスポーツにおいて、プロ選手は筋萎縮性側索硬化症(ALS)のリスクが高いことが観察研究で示されている。コホート研究を通じて、身体活動および体力の指標(自己報告による身体活動および安静時心拍数)とALSの長期リスクとの関連を評価することを目的とした。
2024.07.30
米国の2007 - 2021年の自己免疫性リウマチ性疾患の新規登録患者における疼痛管理方法の年次推移の検討:医療保険請求データを用いた研究
Annual trends in pain management modalities in patients with newly diagnosed autoimmune rheumatic diseases in the USA from 2007 to 2021: an administrative claims-based study
自己免疫性リウマチ性疾患患者の疼痛管理がとても重要な課題であるとなっていることから、その管理方法の年次的推移を検討した。分析患者は、2007 - 2021年の期間にMerative Marketscan Research Databaseに登録されていた強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、関節リウマチ、シェーグレン症候群、全身性硬化症、または全身性エリテマトーデス(SLE)の自己免疫疾患の新規登録患者である。