「難病Update」は、難病に関する最新情報を、ジャーナルを限定することなく、速報として現場の医療関係者の方に届けます。難病治療・研究に携わる医師・医療従事者の方々が対象です。内容は、基礎、疫学、臨床の分野別に、各編集委員の興味あるジャーナルから合計毎月3本程度選択をいただき、日本語に原稿を編集し、監修によるコメントも掲載します(任意)。掲載する項目は、日本語英語タイトル、著者、出典、日本語サマリー、原著リンク、キーワード、監修コメント、監修者名です。毎月1日を更新日とし、皆様に提供いたします。難病研究の支援になれば幸いです。
2025.09.29NEW
気管支拡張症患者の症状と将来の増悪リスク因子との関連及び長期マクロライド系薬療法の意義の検討:観察研究
Symptoms, risk of future exacerbations, and response to long-term macrolide treatment in bronchiectasis: an observational study
本研究では、増悪回数とは独立して「症状」が将来の増悪予測因子であるのかを検討し、また長期マクロライド系薬療法をすべきかどうかについて、検討した。
2025.09.29NEW
初期のアルツハイマー病におけるアミロイドリスク層別化のためのMRI体積と血漿p-tau217の統合
Integrating MRI Volume and Plasma p-Tau217 for Amyloid Risk Stratification in Early-Stage Alzheimer Disease
βアミロイド(Aβ)陽性の同定は、初期のアルツハイマー病(AD)におけるAβ標的療法の候補者の選択にきわめて重要である。我々は、初期ADにおけるAβPET陽性を効率的に予測するため、MRIに基づく特徴と血漿p-tau217を統合した2段階のワークフローを評価した。
2025.09.29NEW
樹状細胞の遊走を介して腸内細菌叢が牽引する抗腫瘍免疫
Microbiota-driven antitumour immunity mediated by dendritic cell migration
腸内細菌は免疫チェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果に影響を与えるが、その機序は十分に明らかになっていない。今回われわれは、PD-1(Programmed cell death 1)阻害剤が奏効した患者の糞便から分離したHominenteromicrobium属細菌の新規株(YB328と名付けられた)が、マウスにおいて抗腫瘍効果を増強することを示した。
総監修 | 大阪大学 名誉教授 武田 裕 |
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監訳・コメント | 大阪大学大学院医学系研究科癌ワクチン療法学寄付講座 招へい教授 坪井昭博先生 大阪大学大学院医学系研究科癌幹細胞制御学寄附講座 寄附講座教授 岡芳弘先生 関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生 国立病院機構大阪南医療センター 神経内科 狭間敬憲先生 |
主催 | 公益財団法人 大阪難病研究財団 |
編集・運営 | 株式会社アスカコーポレーション https://www.asca-co.com/ |
2022.02.25
インターロイキン-6の阻害が血液脳関門障害を抑制して視神経脊髄炎スペクトラム障害の発症を予防することが新たな血液脳関門モデルで明らかに
New BBB Model Reveals That IL-6 Blockade Suppressed the BBB Disorder, Preventing Onset of NMOSD
視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorder:NMOSD)の病態生理ならびにインターロイキン-6阻害薬(サトラリズマブ)の治療メカニズムと濃度を、特に血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)の破綻という観点から、新たなin vitroおよびex vivoヒトBBBモデルならびにin vivoモデルを用いて評価する。
2022.01.27
中等度進行パーキンソン病に対するAADC遺伝子治療の安全性:PD-1101試験の3年転帰
Safety of AADC Gene Therapy for Moderately Advanced Parkinson Disease: Three-Year Outcomes From the PD-1101 Trial
中等度進行パーキンソン病(Parkinson disease:PD)で運動の日内変動がある参加者を対象としたNBIb-1817(VYAADC01)のPD-1101試験における最終的な36カ月間の安全性および臨床転帰を報告する。
2022.01.27
誘導性遺伝子発現系を用いずに分化能を維持したヒト赤血球不死化細胞株の樹立
Establishment of an immortalized human erythroid cell line sustaining differentiation potential without inducible gene expression system
増殖し続けることのできる不死化赤芽球細胞株から産生した赤血球(RBC)は、今後の輸血治療での利用が期待されている。不死化赤芽球細胞株は、ヒトパピローマウィルス(HPV)の持つE6/E7遺伝子の導入により樹立することができる。しかし、不死化細胞株の分化および成熟を誘導するには、遺伝子導入システムによるHPV-E6/E7の発現の停止が不可欠であると考えられてきた。本研究では、簡易なHPV-E6/E7の発現を用いてヒトの骨髄から樹立した赤芽球細胞株は、遺伝子発現を停止しなくても正常な赤血球へと分化することができた。
2022.01.27
人工膝関節全置換手術後の疼痛に対するデキサメタゾンの鎮痛補助薬としての効能評価:無作為化臨床試験
Effect of dexamethasone as an analgesic adjuvant to multimodal pain treatment after total knee arthroplasty: randomised clinical trial
人工膝関節全置換術は世界的に普及してきているが、術後の痛みに対してマルチモーダル鎮痛治療が使われている。デキサメタゾンは、これまで術後の吐気と補助鎮痛効果を期待して投与されてきたが、エビデンスがまだ乏しい。そのために術後患者にデキサメタゾンを使った臨床評価を行うためにデンマークの5病院で2018年9月から2020年3月に人工膝関節全置換術を受けた成人患者485例を対象に、無作為化試験により効果を評価した。
2021.12.24
ミトコンドリア症の診断における全ゲノム解析の有用性の検討:コホート研究
Use of whole genome sequencing to determine genetic basis of suspected mitochondrial disorders: cohort study
ミトコンドリア症の診断に全ゲノム解析を行うことが有用かどうかについて、イングランドの100,000ゲノムプロジェクトの2015 - 2018年間に登録されているミトコンドリア症として確定ないし疑いと診断されていた345例に対して、全ゲノム解析を行った。対象者にショートリード全ゲノムシーケンシングを実施して、選択された遺伝子のパネルの表現型、ClinVarによる病原性変異体について、Exomiserツールを使って分析し、上位10の核DNAの変異体の優先順位付けを行った。
2021.12.24
筋萎縮性側索硬化症の前頭側頭型認知症:臨床スペクトル全体における神経相関の共通点と相違点
Amyotrophic Lateral Sclerosis Frontotemporal Dementia: Shared and Divergent Neural Correlates Across the Clinical Spectrum
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と行動障害型前頭側頭型認知症(behavioral variant of frontotemporal dementia:bvFTD)には、臨床的、遺伝的、病理学的なレベルでかなりの重複が認められている。症状の連続体のなかで、ALSによって自然に生じるものか、表現型とみなすべきかの点は、明らかではない。本研究では、MRIのコネクトミクスデータの数理モデルを用いて、ALS-FTDスペクトル全体における神経相関を読み解いた。
2021.12.24
新規の『RMFペプチド-MHC複合体に特異的なT細胞二重特異性抗体』を用いた急性骨髄性白血病の細胞内WT1を標的とした治療
Targeting intracellular WT1 in AML with a novel RMF-peptide-MHC specific T-cell bispecific antibody
抗体を用いた免疫療法は、化学療法に対する耐性を示す白血病細胞に対する有望な治療法であるが、従来の抗体療法の標的は細胞の系統に特異的な細胞表面抗原に限られている。細胞内の抗原を標的とすることで、白血病に関連するその他の多くの標的が抗体療法の対象になり得ると考えられる。本研究では、CrossMabおよびknob-into-holesの技術を用いて作製された新規T細胞二重特異性(T-cell bispecific: TCB)抗体を評価した。
2021.11.26
抗IgLON5抗体関連疾患:新たな球発症型運動ニューロン類縁症候群
Anti-IgLON5 Disease: A New Bulbar-Onset Motor Neuron Mimic Syndrome
抗IgLON5血清陽性で球麻痺型運動ニューロン疾患様の表現型を呈する5例を新たに加えることにより、抗IgLON5抗体関連疾患のスペクトルを拡大する。この5例の患者の臨床経過、脳MRIと検査の所見、および治療に対する反応の特徴を明らかにした。
2021.11.26
赤血球に発現するTLR9にDNAが結合すると、自然免疫の活性化と貧血が促進される
DNA binding to TLR9 expressed by red blood cells promotes innate immune activation and anemia
赤血球は血流を介して組織へ酸素を運搬することで細胞の好気呼吸に不可欠な役割をはたしている。これまで赤血球は免疫学的には不活性と考えられており、二次的な機能はほとんど確認されていない。本研究により、赤血球は核酸を感知するToll様受容体9(TLR9)を細胞表面に発現することにより重要な免疫センサーとして機能することが示された。
2021.11.26
EAS Familial Hypercholesterolaemia Studies Collaboration(FHSC)に登録されている家族性高コレステロール血症の診断と治療の現状に基づく今後の世界的な展望
Global perspective of familial hypercholesterolaemia: a cross-sectional study from the EAS Familial Hypercholesterolaemia Studies Collaboration (FHSC)
欧州アテローム性動脈硬化症協会によるFamilial Hypercholesterolaemia Studies Collaboration (FHSC)の登録者のデーターを使い、「ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症」の成人の診断と管理の現状について分析を行った。分析対象は、FHSCにおいて、臨床または遺伝子により診断されたヘテロ接合性家族性高コレステロール血症である可能性が高い、または確定された成人(18歳以上)の症例である。