「難病Update」は、難病に関する最新情報を、ジャーナルを限定することなく、速報として現場の医療関係者の方に届けます。難病治療・研究に携わる医師・医療従事者の方々が対象です。内容は、基礎、疫学、臨床の分野別に、各編集委員の興味あるジャーナルから合計毎月3本程度選択をいただき、日本語に原稿を編集し、監修によるコメントも掲載します(任意)。掲載する項目は、日本語英語タイトル、著者、出典、日本語サマリー、原著リンク、キーワード、監修コメント、監修者名です。毎月1日を更新日とし、皆様に提供いたします。難病研究の支援になれば幸いです。
2024.10.29NEW
発作中および発作外に抗MOG抗体陽性を認めた小児および成人における2023年のMOGAD診断基準の検討
Investigating the 2023 MOGAD Criteria in Children and Adults With MOG-Antibody Positivity Within and Outside Attacks
2023年の抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白抗体関連疾患(MOGAD)診断基準は、成人では有用であるが小児では評価されていない。この全国規模の前向き観察研究は、Institut d'Investigacions Biomèdiques August Pi i Sunyer-Hospital Clínic of Barcelona(スペイン)において、脱髄性症候群または脳炎を有し、血清または脳脊髄液(CSF)のMOG-免疫グロブリンG(IgG)陽性が認められた小児および成人の患者を対象とした。
2024.10.29NEW
マルチドメイン融合リガンドを有するレンチウイルスベクターを用いた、非ヒト霊長類におけるCAR T細胞のin vivo生成
In vivo CAR T-cell generation in nonhuman primates using lentiviral vectors displaying a multidomain fusion ligand
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は、B細胞性悪性疾患の治療において革新的な有効性を示した。しかし、その広範な使用を妨げている阻害要因として、高価であること、また製造工程が複雑であることなどが挙げられる。こうした阻害要因を克服するために、われわれは新規プラットフォームVivoVecを開発した。
2024.10.29NEW
Susac症候群のグルココルチコイド治療とそれに加えて免疫抑制薬または静注免疫グロブリン製剤を加えた治療の比較評価:フランスの全国患者のコホート研究
Immunosuppressive agents or intravenous immunoglobulin in addition to glucocorticoids in the treatment of Susac syndrome: a French national cohort study
Susac症候群は、主に若年女性に好発し、脳、網膜、内耳に限局した微小血管閉塞を特徴とした稀な疾患である。Susac症候群の治療に関する無作為化対照研究やコホート研究は見当たらなかった。Susac症候群の患者に対するグルココルチコイド単独治療と免疫抑制薬併用または静注免疫グロブリン剤を加えた併用治療について、前向きコホートを使い再発率を効果判定指標として評価した。
総監修 | 大阪大学 名誉教授 武田 裕 |
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監訳・コメント | 大阪大学大学院医学系研究科癌ワクチン療法学寄付講座 招へい教授 坪井昭博先生 元 大阪大学大学院医学系研究科癌幹細胞制御学寄附講座 寄附講座教授 岡芳弘先生 関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生 国立病院機構大阪南医療センター 神経内科 狭間敬憲先生 |
主催 | 公益財団法人 大阪難病研究財団 |
編集・運営 | 株式会社アスカコーポレーション https://www.asca-co.com/ |
2020.11.25
イタコン酸は肺線維症の重症度を制御する
Itaconate controls the severity of pulmonary fibrosis
特発性肺線維症(IPF)は死に至る肺の疾患であり、気道マクロファージ(AM)が深く関与している。イタコン酸はマクロファージからの炎症性サイトカインの分泌を抑制することが示されているが、線維症におけるその役割は明らかでない。本研究では、イタコン酸が肺における内因性抗線維化因子であることが示された。
2020.11.25
運動ニューロン疾患における脳の構造的・機能的コネクトーム 多施設共同MRI研究
Structural and functional brain connectome in motor neuron diseases A multicenter MRI study
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)、原発性側索硬化症(primary lateral sclerosis:PLS)、および進行性筋萎縮症(progressive muscular atrophy:PMA)における構造的・機能的神経機構を調査する。イタリアの3施設で、孤発性ALS患者173例、PLS患者38例、PMA患者28例、および健康な対照者79例を組み入れた。
2020.11.25
腎移植患者に対する自己血の制御性T細胞投与の安全性と治療効果:第I/IIa相臨床試験
Regulatory T cells for minimising immune suppression in kidney transplantation: phase I/IIa clinical trial
腎移植患者に自己採血中の制御性T細胞(以下、nTregと略す)投与が免疫制御にどう影響するのか検討を行った。研究はドイツ・ベルリンにあるシャリテ大学病院の生体腎移植を受けた患者を対象に行った。対象者を投与群11人、対照群9人に分けて比較評価した。
2020.10.27
ヒトCLEC9A抗体はWilms腫瘍遺伝子1(WT1)抗原をCD141陽性樹状細胞に送達し、WT1特異的なナイーブおよびメモリーCD8陽性T細胞を活性化する
Human CLEC9A antibodies deliver Wilms' tumor 1 (WT1) antigen to CD141 + dendritic cells to activate naïve and memory WT1-specific CD8 + T cells
Wilms腫瘍遺伝子1(WT1)遺伝子産物(WT1抗原)に特異的なCD8陽性T細胞を誘導するがんワクチンが有望視されているが、その免疫原性及び臨床的奏効率は、WT1抗原をCD141陽性樹状細胞に送達することによって高まる可能性がある。Cタイプレクチン様受容体CLEC9Aは、CD141陽性樹状細胞のみに発現し、CD8陽性T細胞の反応を制御する。我々は、ヒト抗CLEC9A抗体をWT1抗原に融合させた新規がんワクチンを開発し、ヒトCD141陽性樹状細胞を標的とする能力と、WT1特異的なナイーブおよびメモリーCD8陽性T細胞を活性化する能力を評価した。
2020.10.27
パーキンソン病における無感情と衝動制御障害の併発
Co-occurrence of apathy and impulse control disorders in Parkinson’s disease
無感情と衝動制御障害(impulse control disorder:ICD)が独立に、動機付けスペクトラムの対極にあるものかどうかを実証的に検証する。単施設横断研究で、三次医療センターに通院する特発性パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)患者887例の人口統計学的データと臨床データを後ろ向きに収集した。
2020.10.27
デンマーク人女性における4価ヒトパピローマウイルスワクチン接種と自律神経障害を伴う特定の症候群との関連性:地域ベースのコホート内症例対照分析
Association between quadrivalent human papillomavirus vaccination and selected syndromes with autonomic dysfunction in Danish females: population based, self-controlled, case series analysis
ヒトパピローマウイルスに対する4価ヒトパピローマウイルスワクチン接種は、自律神経障害を伴う特定の症候群(ここでは慢性疲労症候群、複合性局所疼痛症候群、体位性起立性頻脈症候群の3つとしている。以下には自律神経障害症候群と称す)の発生との関連が疑われている。そこで、デンマークの国民を対象とした地域住民のコホートを使い、デンマーク生まれで、2007 - 2016年の10 - 44歳の女性137万5,737人を対象とし、その中で特定された自律神経障害症候群と判定された869例を症例として、コホート内における症例対照分析を行った。分析にあたって、症例群と対照群の年齢及び季節要因を補正した。
2020.10.06
脊髄小脳失調症(SCA)の1、2、3、6型遺伝子変異保有の症状発現時期とその進展に関する検討:RISCAコホートを使った追跡研究
Conversion of individuals at risk for spinocerebellar ataxia types 1, 2, 3, and 6 to manifest ataxia (RISCA): a longitudinal cohort study
脊髄小脳失調症(SCA)は常染色体優性遺伝性の神経変性疾患である。遺伝変異型SCA1、SCA2、SCA3、SCA6により運動失調の発現時期や進展の状況を検討した。対象者は、ヨーロッパ7カ国の14の拠点の専門医療施設の疾患情報を集約したRISCAコホートから選んだ。
2020.10.06
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーにおける2年間の炎症性病変の評価
Evaluation of inflammatory lesions over 2 years in facioscapulohumeral muscular dystrophy
顔面肩甲上腕筋ジストロフィー(facioscapulohumeral muscular dystrophy :FSHD)患者に対し2年間の経時的な検査を行って追跡し、炎症性病変が常に脂肪置換に先行するかどうか、筋肉の変性を伴わずに炎症が消失するかどうか、筋肉の炎症性病変ののちに常に脂肪交換が生じるかどうかを検討した。
2020.10.06
SARS-CoV-2に対する遺伝子組換えスパイクタンパク質ナノ粒子ワクチンの第I/II相試験
Phase 1-2 Trial of a SARS-CoV-2 Recombinant Spike Protein Nanoparticle Vaccine
新型コロナウイルスの表面はスパイクタンパクで覆われているため、このスパイクタンパクを標的としたワクチン開発が精力的に行われている。新型コロナウイルスは重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS)とよく似た構造をしていることからウイルス名はSARS-CoV-2と呼ばれている。今回紹介する論文ではワクチン開発では先頭集団を走っているNovavax社によって開発が進められているSARS-CoV-2の改変全長スパイクタンパクをワクチン製剤に用いた第I/II相試験の結果を報告している。
2020.09.09
システマティックレビューとネットワークメタ解析による関節リウマチに対する生物学的製剤の治療効果の比較
Comparative effectiveness of biological medicines in rheumatoid arthritis: systematic review and network meta-analysis including aggregate results from reanalysed individual patient data
メトトレキサート剤が無効である関節リウマチ患者に、メトトレキサートとどの生物学的製剤を併用するのが有効なのか厳密に行われた治療比較研究がない。そこで、本研究では、2017年までに実施された報告や論文のデータ、及び2017年2月までに蓄積された慢性関節リウマチの主要転帰に関する個別患者のデータベースのデータを集めて再解析するシステマティックレビューとネットワークメタ解析を用いて治療効果の比較を試みた。