「難病Update」は、難病に関する最新情報を、ジャーナルを限定することなく、速報として現場の医療関係者の方に届けます。難病治療・研究に携わる医師・医療従事者の方々が対象です。内容は、基礎、疫学、臨床の分野別に、各編集委員の興味あるジャーナルから合計毎月3本程度選択をいただき、日本語に原稿を編集し、監修によるコメントも掲載します(任意)。掲載する項目は、日本語英語タイトル、著者、出典、日本語サマリー、原著リンク、キーワード、監修コメント、監修者名です。毎月1日を更新日とし、皆様に提供いたします。難病研究の支援になれば幸いです。
2024.03.27NEW
重症筋無力症に対するアザチオプリンとミコフェノール酸モフェチルの有効性の比較評価(PROMISE-MG):前向きコホート研究
Comparative effectiveness of azathioprine and mycophenolate mofetil for myasthenia gravis (PROMISE-MG): a prospective cohort study
重症筋無力症は神経筋接合部が侵される自己免疫疾患であり、その治療薬として経口コリンエステラーゼ阻害薬、および免疫抑制薬、免疫調節薬が用いられている。免疫抑制薬としては、コルチコステロイド以外としてアザチオプリンとミコフェノール酸モフェチルが多く用いられている。本研究は、後者の2剤の有効性を比較評価するために行ったものである。対象患者は、カナダと米国の大学病院19施設による自己免疫性重症筋無力症の多施設コホート集団(PROMISE-MG)における免疫抑制薬の投与を受けたことのない18歳以上の患者とした。
2024.03.27NEW
孤発性REM睡眠行動障害におけるMCI同定および認知症予測のためのMontreal Cognitive AssessmentとClock Drawing Test
Montreal Cognitive Assessment and the Clock Drawing Test to Identify MCI and Predict Dementia in Isolated REM Sleep Behavior Disorder
孤発性/特発性REM睡眠行動障害(iRBD)患者は、軽度認知障害(MCI)およびレビー小体型認知症(DLB)の発症リスクが高い。この研究の目的は、iRBDにおいて、MCI患者およびDLB発症リスクのある患者を識別するための2種類のスクリーニング検査の心理測定特性を明らかにすることであった。2006 - 21年に睡眠クリニックを受診し睡眠ポリグラフ検査で確認されたiRBD患者64例(MCIあり32例[平均年齢68.44歳、男性72%]、MCIなし32例[67.78歳、男性66%])を後ろ向きに選択し、対照者32例(69.84歳、男性47%)と併せて追跡した。参加者にMCI診断のための神経学的評価と神経心理学的評価、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)とClock Drawing Test(CDT)も実施した。
2024.03.27NEW
B細胞促進機能を有する加齢関連CD陽性細胞は、自己免疫においてZEB2により調節される
Age-associated CD4+ T cells with B cell-promoting functions are regulated by ZEB2 in autoimmunity
自己免疫疾患は自己免疫寛容の破綻により引き起こされる。加齢は自己免疫における重要な危険因子であり、多くの自己免疫疾患は成人期に発症する傾向がある。本研究では、自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、特発性炎症性筋疾患)患者および健康対照者354例から採取した末梢血単核細胞中のCD4陽性T細胞サブセットについて、フローサイトメトリーとバルクRNAシークエンシングを用いて詳細な解析を行った。
総監修 | 大阪大学 名誉教授 武田 裕 |
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監訳・コメント | 大阪大学大学院医学系研究科癌ワクチン療法学寄付講座 招へい教授 坪井昭博先生 元 大阪大学大学院医学系研究科癌幹細胞制御学寄附講座 寄附講座教授 岡芳弘先生 関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生 国立病院機構大阪南医療センター 神経内科 狭間敬憲先生 |
主催 | 公益財団法人 大阪難病研究財団 |
編集・運営 | 株式会社アスカコーポレーション https://www.asca-co.com/ |
2023.12.25
KEYNOTE-087試験の5年間にわたる追跡調査:再発・難治性古典的ホジキンリンパ腫に対するペムブロリズマブ単独療法
Five-year follow-up of KEYNOTE-087: pembrolizumab monotherapy for relapsed/refractory classical Hodgkin lymphoma
ペムブロリズマブ単独療法による第2相試験であるKEYNOTE-087試験(NCT02453594)の以前の解析から、再発・難治性(R/R)の古典的ホジキンリンパ腫(cHL)を有する患者において、そのペムブロリズマブの効果的な抗腫瘍活性と許容できる安全性がすでに示されている。しかし、完全奏効(CR)を達成して治療を中止した後に2回目の治療コースを受けた患者の長期の奏功持続性および転帰は、依然として臨床的に重要な問題である。我々は、追跡調査期間中央値5年を超えたKEYNOTE-087試験のデータを提示する。
2023.12.25
地域住民を対象とした認知機能の老化に関する研究における抗アミロイド治療の適格性
Eligibility for Anti-Amyloid Treatment in a Population-Based Study of Cognitive Aging
アルツハイマー病(AD)の治療選択肢は限られており、主に対症療法と生活の質の改善に焦点が当てられてきた。最近、抗βアミロイドモノクローナル抗体(mAb)であるレカネマブが、バイオマーカーで確認された症候性ADの初期の治療薬として米国食品医薬品局から迅速承認を受けた。本研究の主要目的は、地域住民を対象としたMayo Clinic Study of Aging(MCSA)の初期AD参加者に臨床試験におけるレカネマブ治療の適格基準を適用して抗アミロイド治療の一般化可能性を評価することであった。
2023.11.29
1990 - 2019年の世界的、地域別および国別にみた脊髄損傷の負担:Global Burden of Disease Study 2019の系統的解析
Global, regional, and national burden of spinal cord injury, 1990–2019: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019
脊髄損傷は、早期の死亡や長期の障害などの健康上の問題をもたらし、またそのケアに対する社会負担が大きい重大な障害である。本研究は、Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study(GBD)2019のデータを用いて、1990 - 2019年の間の脊髄損傷について、年齢、性別、年数、損傷の原因の推移を明かにするために行ったものである。
2023.11.29
前頭側頭葉変性症患者における脈絡叢の容積と血清バイオマーカー、臨床的特徴、および疾患重症度との関連
Association of Choroid Plexus Volume With Serum Biomarkers, Clinical Features, and Disease Severity in Patients With Frontotemporal Lobar Degeneration Spectrum
神経変性疾患の病態生理において、脈絡叢(ChP)が重要な脳構造であることがわかってきている。この観察研究で、前頭側頭葉変性症(FTLD)スペクトラムの患者の大規模コホートでChPの容積を調べ、ChPの容積とその他の疾患特異的バイオマーカーとの間に関連がみられる可能性を探った。
2023.11.29
再発・難治性多発性骨髄腫に対するelranatamab:MagnetisMM-1第1相試験
Elranatamab in relapsed or refractory multiple myeloma: the MagnetisMM-1 phase 1 trial
多発性骨髄腫(MM)はB細胞成熟抗原(BCMA)を発現する形質細胞の悪性腫瘍である。Elranatamabは二重特異性抗体であり、MMのBCMAとT細胞のCD3に結合する。MagnetisMM-1試験ではelranatamabの安全性、薬物動態、有効性を評価した。
2023.10.31
COVID-19ワクチン接種後のギラン・バレー症候群のリスク:全国規模の自己対照症例シリーズ研究
Risk of Guillain-Barré Syndrome Following COVID-19 Vaccines: A Nationwide Self-controlled Case Series Study
ギラン・バレー症候群(GBS)は、いくつかのCovid-19ワクチンとの関連が示されているが、一貫性に欠ける。本研究では、大規模集団においてCovid-19ワクチンの種類によるGBSのリスクを定量化することを目的とした。
2023.10.31
再発・難治性多発性骨髄腫に対するCD38 × CD3 T細胞エンゲ―ジャーであるISB 1342の前臨床における特性解析
Preclinical characterization of ISB 1342, a CD38 × CD3 T-cell engager for relapsed/refractory multiple myeloma
抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブによる多発性骨髄腫(MM)患者の治療はその生存を大きく延長させるが、治療抵抗性が生じることは避けがたい。ISB 1342は、ダラツムマブに対して感受性の低い再発・難治性多発性骨髄腫(r/r MM)患者を標的とするようにデザインされたものである。ISB 1342は、BEAT(Bispecific Engagement by Antibodies based on the TCR)プラットフォームを用いて開発された二重特異的抗体であり、
2023.10.31
インターフェロンフリー時代におけるC型肝炎治療成功患者の生命予後:地域ベースのコホート研究
Mortality rates among patients successfully treated for hepatitis C in the era of interferon-free antivirals: population based cohort study
C型肝炎患者に対し、インターフェロンを使用しなくても、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)を使うことによりC型肝炎ウイルス(HCV)を体内から排除してウイルス学的治癒をさせることができるようになっている。インターフェロンフリー時代における治療成功患者の生命予後について、一般人口集団と比較して検討した。
2023.09.28
PD-1阻害により幹細胞様CD8 T細胞の自己複製が増加して、エフェクター分化による同細胞の減少を補う
PD-1 blockade increases the self-renewal of stem-like CD8 T cells to compensate for their accelerated differentiation into effectors
PD-1陽性TCF-1陽性幹細胞様CD8 T細胞には、プログラム細胞死蛋白質-1(PD-1)阻害療法後にエフェクターCD8 T細胞分化の亢進がみられる。しかし、これに伴ってこれらの幹細胞様前駆細胞数が減少するかどうかは不明である。そこでこの研究では、慢性リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)感染マウスモデルを用いて、このことについて検討した。
2023.09.28
オーストラリア全住民を対象とした認知症の低減可能リスクの集団寄与危険割合の人種別の検討:横断調査データを用いた解析
Potentially modifiable dementia risk factors in all Australians and within population groups: an analysis using cross-sectional survey data
認知症は、オーストラリア住民の疾病負担として2番目に大きい問題である。オーストラリアの全住民(先住民族、ヨーロッパ系およびアジア系の人々)を対象として、認知症の予防に関わるとして社会的に知られている12の要因(教育歴、難聴、高血圧、肥満、喫煙、うつ、社会的孤立、運動不足、糖尿病、過度の飲酒、大気汚染、外傷性脳損傷)の集団寄与危険割合(PAF)を試算してみた。