「難病Update」は、難病に関する最新情報を、ジャーナルを限定することなく、速報として現場の医療関係者の方に届けます。難病治療・研究に携わる医師・医療従事者の方々が対象です。内容は、基礎、疫学、臨床の分野別に、各編集委員の興味あるジャーナルから合計毎月3本程度選択をいただき、日本語に原稿を編集し、監修によるコメントも掲載します(任意)。掲載する項目は、日本語英語タイトル、著者、出典、日本語サマリー、原著リンク、キーワード、監修コメント、監修者名です。毎月1日を更新日とし、皆様に提供いたします。難病研究の支援になれば幸いです。
2024.08.29NEW
B細胞を標的としたCAR T細胞療法はヒトおよび非ヒト霊長類においてCD8+細胞傷害性CARnegバイスタンダーT細胞を活性化する
B-cell-directed CAR T-cell therapy activates CD8+ cytotoxic CARneg bystander T cells in patients and nonhuman primates
本研究では、非ヒト霊長類(NHP)および患者に由来するT細胞について、B細胞を標的としたCAR T細胞療法後におけるCARneg T細胞のバイスタンダー活性化の表現型および転写に関する特徴を明かにするためにシングルセルRNAシークエンシングを実施した。
2024.08.29NEW
筋萎縮性側索硬化症の回復表現型の遺伝的関連
Genetic Associations With an Amyotrophic Lateral Sclerosis Reversal Phenotype
「ALS Reversal」とは、当初は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断基準を満たした、又は進行性筋萎縮(PMA)に最も合致する臨床的特徴が見られていたが、その後に大幅かつ持続的な臨床的改善が認められた患者を表す語である。このゲノムワイド関連解析(GWAS)の目的は、通常と異なるこの臨床表現型の相関を同定することである。
2024.08.29NEW
パーキンソン病患者におけるリー・シルバーマン発声発話療法、NHSスピーチ言語療法、構音障害コントロールの比較研究(PD COMM Study):英国における多施設共同による3群の同時並行の非盲検無作為化対照試験
Lee Silverman voice treatment versus NHS speech and language therapy versus control for dysarthria in people with Parkinson’s disease (PD COMM): pragmatic, UK based, multicentre, three arm, parallel group, unblinded, randomised controlled trial
本研究は、パーキンソン病患者の構音障害に対するリー・シルバーマン・ラウド発声発話療法(LSVT LOUD)の有効性評価を、英国の多施設共同研究(PD COMM Study)の患者を使い、その他の2群と非盲検無作為化対照試験により行った。
総監修 | 大阪大学 名誉教授 武田 裕 |
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監訳・コメント | 大阪大学大学院医学系研究科癌ワクチン療法学寄付講座 招へい教授 坪井昭博先生 元 大阪大学大学院医学系研究科癌幹細胞制御学寄附講座 寄附講座教授 岡芳弘先生 関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生 国立病院機構大阪南医療センター 神経内科 狭間敬憲先生 |
主催 | 公益財団法人 大阪難病研究財団 |
編集・運営 | 株式会社アスカコーポレーション https://www.asca-co.com/ |
2024.05.30
門脈周囲マクロファージは腸内細菌が誘導する肝炎に対して保護作用を有する
Periportal macrophages protect against commensal-driven liver inflammation
本研究では、生体内イメージングにより炎症反応がPV領域において抑制されていることが示された。領域別のシングルセル・トランスクリプトミクスにより、PV領域には免疫抑制作用を有するマクロファージが豊富に存在することが確認された。
2024.05.30
ダウン症候群と優性遺伝性アルツハイマー病の患者におけるタウ分布領域の比較:断面的調査研究
Comparison of tau spread in people with Down syndrome versus autosomal-dominant Alzheimer’s disease: a cross-sectional study
若年性アルツハイマー病患者の早期病理変化の分析を行うことが、予防介入する研究や臨床試験の実施には重要である。そこで、ダウン症候群と優性遺伝性アルツハイマー病の患者の脳内タウ蛋白質の分布の程度と空間的な範囲や時間的な分布順序を比較することにより検討した。
2024.04.26
神経疾患に対する遺伝子検査における格差
Disparities in Genetic Testing for Neurologic Disorders
遺伝子検査は現在、多くの神経疾患において標準治療となっている。神経疾患を有する成人において遺伝子検査へのアクセスとその結果が人種、民族、性別、社会経済的地位、保険によって異なるという仮説を検証した。
2024.04.26
2個の受容体、つまり抗体–T細胞受容体(Ab-TCR)および共刺激受容体を持つT細胞プラットフォームは、急性骨髄性白血病に対して特異性と効力を発揮する
A dual-receptor T-cell platform with Ab-TCR and costimulatory receptor achieves specificity and potency against AML
本研究はAMLにおける概念実証(proof of concept)を探索する目的として、いずれもほとんどのAML細胞において高発現が認められるWilms tumor 1 タンパク(WT1)およびCD33を標的とする新規T細胞プラットフォームを作製した。独自のプラットフォームは、新規に開発したTCR様抗体であるESK2(WT1由来RMFPNAPYL[RMF]エピトープ/HLA-A2複合体に特異的なTCR様モノクローナル抗体)を構成成分とするAbTCRと抗CD33キメラCSR(共刺激分子CD28のシグナル伝達ドメインに結合した抗CD33一本鎖可変フラグメント)を用いたものである。
2024.04.26
患者の臨床症状及び生物学的所見をもとにしたシェーグレン病の患者のクラスター分類:横断的及び前向きの2つのコホートの患者データを用いた研究
Identification of distinct subgroups of Sjögren’s disease by cluster analysis based on clinical and biological manifestations: data from the cross-sectional Paris-Saclay and the prospective ASSESS cohorts
シェーグレン病は多様な病態を呈する自己免疫疾患であり、その研究を進展させるためには患者を詳細に分類する必要がある。これまでの症状に基づく分類では不十分であったので、臨床医学・生物学的なパラメーターを入れて患者のサブグループを同定し、予後を検討した。
2024.03.27
重症筋無力症に対するアザチオプリンとミコフェノール酸モフェチルの有効性の比較評価(PROMISE-MG):前向きコホート研究
Comparative effectiveness of azathioprine and mycophenolate mofetil for myasthenia gravis (PROMISE-MG): a prospective cohort study
重症筋無力症は神経筋接合部が侵される自己免疫疾患であり、その治療薬として経口コリンエステラーゼ阻害薬、および免疫抑制薬、免疫調節薬が用いられている。免疫抑制薬としては、コルチコステロイド以外としてアザチオプリンとミコフェノール酸モフェチルが多く用いられている。本研究は、後者の2剤の有効性を比較評価するために行ったものである。対象患者は、カナダと米国の大学病院19施設による自己免疫性重症筋無力症の多施設コホート集団(PROMISE-MG)における免疫抑制薬の投与を受けたことのない18歳以上の患者とした。
2024.03.27
孤発性REM睡眠行動障害におけるMCI同定および認知症予測のためのMontreal Cognitive AssessmentとClock Drawing Test
Montreal Cognitive Assessment and the Clock Drawing Test to Identify MCI and Predict Dementia in Isolated REM Sleep Behavior Disorder
孤発性/特発性REM睡眠行動障害(iRBD)患者は、軽度認知障害(MCI)およびレビー小体型認知症(DLB)の発症リスクが高い。この研究の目的は、iRBDにおいて、MCI患者およびDLB発症リスクのある患者を識別するための2種類のスクリーニング検査の心理測定特性を明らかにすることであった。2006 - 21年に睡眠クリニックを受診し睡眠ポリグラフ検査で確認されたiRBD患者64例(MCIあり32例[平均年齢68.44歳、男性72%]、MCIなし32例[67.78歳、男性66%])を後ろ向きに選択し、対照者32例(69.84歳、男性47%)と併せて追跡した。参加者にMCI診断のための神経学的評価と神経心理学的評価、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)とClock Drawing Test(CDT)も実施した。
2024.03.27
B細胞促進機能を有する加齢関連CD陽性細胞は、自己免疫においてZEB2により調節される
Age-associated CD4+ T cells with B cell-promoting functions are regulated by ZEB2 in autoimmunity
自己免疫疾患は自己免疫寛容の破綻により引き起こされる。加齢は自己免疫における重要な危険因子であり、多くの自己免疫疾患は成人期に発症する傾向がある。本研究では、自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、特発性炎症性筋疾患)患者および健康対照者354例から採取した末梢血単核細胞中のCD4陽性T細胞サブセットについて、フローサイトメトリーとバルクRNAシークエンシングを用いて詳細な解析を行った。
2024.02.28
UKバイオバンクデータを使った認知症前の精神疾患診断と全原因による認知症関連の多遺伝子性認知症リスクとの関連の検討
Association between pre-dementia psychiatric diagnoses and all-cause dementia is independent from polygenic dementia risks in the UK Biobank
認知症前の精神疾患(predementia psychiatric disorder:PDPD)が、認知症の確立された遺伝的リスクといかに関係しているかを理解することは認知症予防にとって重要なことである。そこで、UKバイオバンクのデータ(UKB)を用いて、アルツハイマー病の多遺伝子リスクスコア(AD PRS)、PDPD、アルコール使用障害(AUD)、およびその後の認知症発症との因果関係があるのかについて検討を行った。
2024.02.28
効果が中等度ないし高い疾患修飾薬による治療を受けた多発性硬化症女性における子宮頸部異常のリスク
Risk of Cervical Abnormalities for Women With Multiple Sclerosis Treated With Moderate-Efficacy and High-Efficacy Disease-Modifying Therapies
免疫調節療法が子宮頸部の前癌病変および浸潤癌の発生リスクに及ぼす影響は、多発性硬化症(MS)女性の健康および安全にとって重要である。疾患修飾薬(DMT)の投与を受けたMS女性における子宮頸部異常のリスクを検討した。