「難病Update」は、難病に関する最新情報を、ジャーナルを限定することなく、速報として現場の医療関係者の方に届けます。難病治療・研究に携わる医師・医療従事者の方々が対象です。内容は、基礎、疫学、臨床の分野別に、各編集委員の興味あるジャーナルから合計毎月3本程度選択をいただき、日本語に原稿を編集し、監修によるコメントも掲載します(任意)。掲載する項目は、日本語英語タイトル、著者、出典、日本語サマリー、原著リンク、キーワード、監修コメント、監修者名です。毎月1日を更新日とし、皆様に提供いたします。難病研究の支援になれば幸いです。
2024.06.26NEW
A041202試験の追跡調査は、高齢の慢性リンパ性白血病(CLL)患者におけるイブルチニブレジメンの持続的な有効性を示している
Follow-up from the A041202 study shows continued efficacy of ibrutinib regimens for older adults with CLL
A041202試験(NCT01886872)は、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)高齢患者を対象に、ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法(BR)を、イブルチニブ単独療法およびイブルチニブ+リツキシマブ併用療法(IR)と比較する第3相試験である。本試験の当初の結果で、イブルチニブを含むレジメンにおいて優れた無増悪生存(PFS)が示され、また、リツキシマブの追加による上乗せ効果は認められなかった。
2024.06.26NEW
IgG4関連疾患の臨床表現型の予測因子及び免疫応答の決定因子としての性差の違いの検討:米国リウマチ学会‐欧州リウマチ学会分類基準患者を対象とした後ろ向き研究による
Sex as a predictor of clinical phenotype and determinant of immune response in IgG4-related disease: a retrospective study of patients fulfilling the American College of Rheumatology–European League Against Rheumatism classification criteria
IgG4関連疾患は、多臓器の線維炎症性自己免疫疾患と考えられている。これまでの研究から性差により表現型の違いがあることが示されている。本研究は、単一施設における後ろ向きコホートによりIgG4関連疾患の患者の性差による病態と症状の違いを検討することを目的として行った。
2024.06.26NEW
REM睡眠行動障害を合併したパーキンソン病患者におけるグルタミン酸シグナル伝達
Glutamate Signaling in Patients With Parkinson Disease With REM Sleep Behavior Disorder
REM睡眠行動障害(RBD)を合併したパーキンソン病(PD)はさらに悪性の表現型であり、運動症状の進行が速く、非運動症状による負担が大きい。しかし、神経伝達系の不均衡に関するこのような臨床的相違の根底にある神経機構については依然として分かっていない。磁気共鳴(MR)スペクトロスコピーと[11C]ABP688 PETをPET/MRハイブリッドシステムで組み合わせて、PD患者における2つの異なるグルタミン酸シグナル伝達の機序を同時に検討した。
総監修 | 大阪大学 名誉教授 武田 裕 |
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監訳・コメント | 大阪大学大学院医学系研究科癌ワクチン療法学寄付講座 招へい教授 坪井昭博先生 元 大阪大学大学院医学系研究科癌幹細胞制御学寄附講座 寄附講座教授 岡芳弘先生 関西大学大学院社会安全学研究科公衆衛生学 特別契約教授 高鳥毛敏雄先生 国立病院機構大阪南医療センター 神経内科 狭間敬憲先生 |
主催 | 公益財団法人 大阪難病研究財団 |
編集・運営 | 株式会社アスカコーポレーション https://www.asca-co.com/ |
2022.07.26
炎症性腸疾患患者の卵巣予備能と体外受精治療の成績:システマティックレビューとメタアナリシス
Ovarian reserve and IVF outcomes in patients with inflammatory bowel disease: A systematic review and meta-analysis
炎症性腸疾患(IBD)は、生殖年齢期の女性の卵巣予備能を低下させているとの報告がある。それに対しIBDに対する体外受精(IVF)の治療が効果があるのかの検討が必要である。そこで、2022年5月までのIBDと卵巣予備能との関係に関連する研究論文を検索してメタ分析を行った。オッズ比(OR)、相対リスク、標準化平均差(SMD)またはハザード比(HR)などの必要な測定値、あるいはそれらを算出するデータが示されている論文を対象とした。
2022.06.29
成人のドラベ症候群患者における歩行・運動異常の進行性悪化
Progressive Worsening of Gait and Motor Abnormalities in Older Adults With Dravet Syndrome
研究の主要目的は、成人のドラベ症候群(Dravet syndrome:DS)患者の歩行・運動症状を調査することであった。この研究には、前向きに調査した1群が含まれ、6例(平均年齢32歳)をUnified Parkinson's Disease Rating Scale修正版(mUPDRS)を用いて2014年に調査し、2019年に再調査した。横断的調査群では、2014年に評価を受けていない患者にmUPDRSを用いた検査を行い、機器を用いた歩行解析(instrumental gait analysis:IGA)も行った。IGAは、センサーおよび矢状面と冠状面を撮影する2台のカメラを組み合わせた歩行マットを用いるProtoKineticsソフトウェアで行った。DS患者群17例(平均年齢31歳)を対象にIGAを行った。健康な81例(平均年齢62歳)を対照群とした。
2022.06.29
関節炎における軟骨変性とフィブリン沈着との関連の検討
Fibrin deposition associates with cartilage degeneration in arthritis
炎症性関節炎における軟骨損傷は、炎症性サイトカインおよびパンヌス(炎症により関節滑膜細胞が増殖形成してつくられる絨毛状組織)によっておこる。また、凝固系の活性化が関節炎、特に関節リウマチでみられる特徴の一つとなっている。このフィブリンと軟骨変性との関係について、関節組織を使い実験で確かめた。
2022.06.29
経口アザシチジンは測定可能残存病変の状態にかかわりなく寛解期の急性骨髄性白血病(AML)患者の生存期間を延長させる
Oral azacitidine prolongs survival of patients with AML in remission independently of measurable residual disease status
強力な化学療法施行後に寛解期にある急性骨髄性白血病(AML)患者の測定可能残存病変(measurable residual disease:MRD)は、早期再発および予後不良の予測因子である。MRD陰性の状態を延長させる、あるいはMRD陽性の患者のそれを陰性化させる寛解後の維持療法は、再発を遅延または予防し、全生存期間(overall survival:OS)を改善する可能性がある。第3相QUAZAR AML-001試験では、低メチル化剤である経口アザシチジン(経口AZA、旧名称CC-486)は、強力な化学療法後の第一寛解期にあって造血幹細胞移植の候補にならない55歳以上のAML患者のOSおよび無再発生存期間(relapse-free survival:RFS)をプラセボと比較して有意に延長させた。
2022.05.30
固形腫瘍ではCAR T細胞による癌細胞の傷害にIFNγR経路が必要であるが、白血病はこの経路を必要としない
CAR T cell killing requires the IFNγR pathway in solid but not liquid tumours
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は一部の白血病の治療に画期的な効果をもたらしたが、固形腫瘍に対するその効果は限定的である。固形腫瘍の細胞は、CAR T細胞による細胞傷害に対し固有の耐性機序を有する可能性がある。この耐性経路をバイアスのかからない方法でシステマティックに同定するため、CAR T細胞の有効性が限定的であることが判明している膠芽腫についてゲノムワイドCRISPRノックアウトスクリーニングを実施した。
2022.05.30
covid-19ワクチン接種者とSARS-CoV-2感染者における免疫介在性神経学的イベントの発生リスク:地域ベースの対照症例分析
Association between covid-19 vaccination, SARS-CoV-2 infection, and risk of immune mediated neurological events: population based cohort and self-controlled case series analysis
新型コロナウイルス感染症(covid-19)ワクチン接種と新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者において免疫介在性神経学的イベントのリスクが高まるのか明らかではない。そこで、英国とスペインの地域ベースのプライマリケアの記録を用いて検討を行った。対象者は、接種開始から英国では2021年5月9日、スペインでは2021年6月30日までの間の者とした。
2022.05.30
小脳性運動失調症患者とパーキンソン病患者における衝動性特性プロファイル
Impulsivity Trait Profiles in Patients With Cerebellar Ataxia and Parkinson Disease
小脳性運動失調症(cerebellar ataxia:CA)とパーキンソン病(Parkinson disease:PD)における衝動性特性プロファイルの違いを検討するため、Barratt衝動性尺度(Barratt impulsivity scale:BIS-11)を用いてCAにおける衝動性特性を評価し、PDと比較した。CA被験者とPD被験者をそれぞれコロンビア大学医療センターとヴァンダービルト大学医療センターの運動障害クリニックで連続的なサンプリングによって登録し、2施設横断研究を行った。
2022.04.26
クロイツフェルト・ヤコブ病の抗プリオン蛋白質に対するモノクローナル抗体(PRN100)を使ったはじめての治験
Prion protein monoclonal antibody (PRN100) therapy for Creutzfeldt–Jakob disease: evaluation of a first-in-human treatment programme
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は、急速に進行する致死率の高い神経変性疾患である。原因は神経細胞内にプリオン蛋白質(PrPC)が集積することによるもので、現在は効果的な治療法はない。近年、非臨床研究(動物実験)でPrPCを標的とした抗体が有効であることが示されたので、次にヒトに対する抗PrPCモノクローナル抗体(PRN100)を作製して、人に投与する治験を行った。
2022.04.26
封入体筋炎の血中T細胞およびNK細胞の免疫表現型決定
Immunophenotyping of Inclusion Body Myositis Blood T and NK Cells
封入体筋炎(inclusion body myositis:IBM)患者を対象に、T細胞およびナチュラルキラー(natural killer:NK)細胞コンパートメント内でキラー細胞レクチン様受容体サブファミリーGメンバー1(killer cell lectin-like receptor subfamily G member 1:KLRG1+)の高解像度マッピングを確立することによって、高分化T細胞を標的とする治療の可能性を評価する。
2022.04.26
副腎皮質ステロイド抵抗性または再発のITP(免疫性血小板減少症)に対する『オールトランス型レチノイン酸および低用量リツキシマブ併用療法』と『低用量リツキシマブ単独療法』の比較
All-trans retinoic acid plus low-dose rituximab vs low-dose rituximab in corticosteroid-resistant or relapsed ITP
本研究は、副腎皮質ステロイド抵抗性または再発の免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenia: ITP)患者を対象として、オールトランス型レチノイン酸(ATRA)および低用量リツキシマブ(LD-RTX)の併用療法とLD-RTX単独療法の有効性および安全性を比較することを目的として実施した。